"新幹線で母娘の席を奪った女、現れた女性を見て絶句" 第4話
奪われた座席と元の荷物
「変! いなんだから、く洗面台で洗いした方がいいわよ!」
母親は胸元をハンカチで押さえる私に向かって、でまくしてました。 「が経つとシミになっちゃうわよ! ほら、くく!」
その親切ぶった急きて方に、私はパニックになっていました。 このブラウスは、飾ブランドをちげた私の実の姉が、「帰省のときに着てね」とプレゼントしてくれた、世界に点しかない特注のだったのです。
「……パニミ、ごめんね。ちょっと洗面所でお拭いてくるね」 「うん、パニミも緒にく!」
私は座席のに自分の提げバッグを置き、「荷物を置いてあるので席をします」と周囲に分かるようにしました。 そしてパニミのを引いて、両の端にある洗面台へと急ぎました。
洗面台の鏡のにち、ペーパータオルをで濡らして必にブラウスを叩きました。 けれど、染み込んだコーヒーは繊維の奥くまで入り込み、叩けば叩くほど輪ジミが広がっていくだけでした。
「ママ、おまっくろになっちゃったね……」 パニミが泣きそうな顔で私のを見つめています。
「丈夫だよ、パニミ。網棚のバッグに着替えのTシャツが入ってるから、席に戻って着替えようね」 私は娘に配をかけまいと笑顔を作り、洗面台をあとにしました。
広告
席してから、ほんの分らずのことでした。 両の扉をけ、自分たちの座席へを踏み入れた瞬、私の目は点になりました。
「……え?」
そこには、あの派な母親と娘が、何わぬ顔で私たちの席に腰掛けていたのです。 母親はを組み、リクライニングを倒してスマートフォンを眺めていました。
そして、私が座席のに置いていたはずの提げバッグは――。 埃っぽい通側の、母親のヒールの元に、まるでゴミのように無造作に放りされていたのです。
「ちょっと……! そこ、私たちの席ですけれど!」 私が声を荒らげると、母親はスマホからゆっくりと顔をげました。
そして、元をニヤリと歪めてせせら笑ったのです。
「はあ? 何言ってるのかしら。自由席はい者勝ちでしょ?」
「い者勝ちって……! 私たちが最初から座っていた席ですよ! 荷物を置いて、を洗いにっただけじゃないですか!」
「荷物なんてらなかったわよ。に落ちてたから避けてあげただけじゃない」 母親は爪をいじりながら、平然と言い放ちました。
「体ね、席を空けたのはあなたでしょ? 席をった点で、占権は消滅するのよ。文句があるなら掌さんにでも言えば?」
「そんな……! 席を空けたのは、あなたがコーヒーをぶっかけたからでしょう!?」
私の叫びに、母親はフンとを鳴らしました。
「だから、わざとじゃないって言ったじゃない。が揺れたせいよ。 あんたがボーッと突っってたからかかったんでしょ。自己責任よ、自己責任」
その瞬、すべての点と線がつながりました。
コーヒーをわざとこぼしたのも。 「く洗面所へけ」と親切そうに急きてたのも。 すべては、私たちを席から追いし、自分と娘が座るための卑劣な罠だったのです。
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
腎臓をあげた私に離婚届――夫の隣には若い女
三歳の娘を育てる裕子は、重い腎臓病になった夫・英司を救うため、自分の腎臓を一つ提供した。ところが手術後、体調を崩した裕子を待っていたのは、夫からの暴言と冷たい仕打ちだった。やがて英司は、若い女との新生活を理由に離婚届を突きつけ、娘まで奪おうとする。そんな裕子の味方になったのは、意外にも義母だった。命を救ってくれた妻を平然と捨てようとする夫。すべてを失いかけた裕子は、娘と自分の人生を守るため、反撃を決意する。夫婦|真実|裏の顔|真相|第二の人生1.4万字5 416 -
完結第12話
新婚旅行に便乗する義母を空港に残した結果
新婚旅行で大阪へ向かうみちると健二。ところが、何かと二人の予定に入りたがる義母・恵子が「私の航空券も買って!」と空港から電話をかけてきた。何度断っても諦めない義母を避け、二人は夜行バスで出発。これで夫婦水入らずの旅行になるはずだった。しかし恵子は、二人の荷物に目をつけ、とんでもない方法で後を追おうとする。さらに健二の友人・圭司の借金騒動まで絡み、大阪では思いもよらない珍事件が発生。暴走する義母と、それに振り回される人々のドタバタコメディ。嫁姑|夫婦|真相1.3万字5 477 -
完結第16話
午前3時、警察から「夫を迎えに」――私は独身なのに
神堂グループを率いる美桜のもとに、午前3時、警察から奇妙な電話が入る。「ご主人を迎えに来てください」。しかし、美桜は一度も結婚したことがなかった。保護された男性が持っていたのは、5年前の爆発事故で亡くなったはずの婚約者・一条蓮との婚姻届の控え。半信半疑で警察署へ駆けつけた美桜は、信じられない光景を目にする。空白の5年間に何があったのか。そして、なぜ今になって彼が現れたのか。かつての事故をめぐる疑惑と、身近な人物の隠された思惑が、少しずつ明らかになっていく。夫婦|裏の顔|真相2.7万字5 531 -
完結第10話
144枚の給与明細
金型の仕上げ職人として20年以上の経験を持つ宮下明。会社の危機を救うほどの腕前を持ちながら、12年間、月給は19万円のままだった。それでも創業者への恩を忘れず、黙々と働いてきた宮下だったが、ある日、専務から突然の配置転換を命じられる。職人としての誇りを踏みにじられ、退職を決意した翌朝、会長が自宅へ駆けつけてきた。「年収1200万円では足りないのか?」――その一言から、会社の金をめぐる不可解な事実が明らかになり始める。職場逆転|第二の人生|修羅場1.7万字5 275 -
完結第10話
消えた卵の秘密
茜の家では、父の再婚相手・美津江が届けてくれる卵が、なぜか毎回なくなっていた。夜中につまみ食いをする夫の陽斗を疑っていた茜だったが、ある日、卵をこっそり持ち出す小学一年生の娘・凛を目撃する。「急に卵が嫌いになった」と泣く娘。しかし、いつもは素直な凛の様子はどこかおかしかった。そんな中、美津江から再び大量の卵が届く。茜は娘のために手作りプリンを用意するが、それを食べた美津江は、材料を聞いた途端に顔色を変えてしまう。娘が必死に隠していた秘密とは、いったい何だったのか。祖父母と孫|真実|真相|第二の人生1.4万字5 404 -
完結第12話
竹林の向こうの白衣
八歳のティアラは、重い喘息を理由に山奥の療養施設へ預けられた。だが本当の理由は、両親が天才と呼ばれる兄の教育に専念するためだった。家族に忘れられた少女を支えたのは、施設の人々と小児科医の竹之内先生。やがて彼女は自分の名前を変え、医師になる道を選ぶ。努力の末に脳神経外科医となった洋子は、ある冬の深夜、救急搬送された患者と向き合うことに。かつて自分を置き去りにした家族との思いがけない再会が、彼女の人生を大きく揺さぶり始める。兄弟姉妹|真相|絶縁|親子関係1.7万字5 405 -
完結第12話
五歳の母ちゃん
両親を事故で亡くしたシンジは、五歳の妹・楓を育てながら、昼も夜も働いていた。そんなある日、楓が「母ちゃんが来た」と言って連れてきたのは、同じ保育園に通う五歳の少女・リサだった。ところが彼女は、家族しか知らない昔の出来事を次々に話し、シンジを息子のように気遣う。信じられない再会に戸惑いながらも、兄妹は少しずつ彼女に心を開いていく。しかし、リサ自身の記憶が薄れていくという異変が起こり始める。もう一度母に会いたかった兄妹が、大切なものを守るために選ぶ道とは。兄弟姉妹|真実|真相|第二の人生1.2万字5 213 -
完結第10話
出産3日目、1億円の入金直後に夫が離婚届
娘を出産してわずか三日。病室で体を休めていた立花玲奈の口座に、父から譲り受けた株式の特別配当金、一億円が振り込まれた。その直後、見舞いに来た夫・直樹が突然離婚届を差し出す。しかも、財産分与として五千万円を要求し、自分の会社への融資継続まで求めてきた。夫の本性を知った玲奈は、追加融資と家族カードを止め、離婚に向けた準備を始める。ところが、カードの利用明細を調べると、身に覚えのない高級ホテルや宝飾店への支払いが次々と見つかり……。夫婦|真相|親子関係1.8万字5 387