"150万円を払わせたママ友、次は寿司300万円" 第10話
きな勘違い
男性は、寿司のが頼んだ付き添いだった。の親戚で、以、で無銭をしようとした客と揉めたに、話しいに同席したことがあるという。見た目は怖そうだが、の従業員でも、何かの組のでもない。
それなのに、ぽて子さんは、彼を見ただけで勝に像を膨らませていた。
「神楽組って、本当にあるの?」
ぽて子さんが、私に声で聞いた。
「ありません。私が昔、友達とふざけて名乗っていただけです」
「じゃあ、あのは?」
「さんのりいです」
「でも、神楽さんって呼んでたじゃない」
「私の名字は神楽じゃありません。ひまりです」
私は説したが、ぽて子さんは信じていないようだった。浩介さんも、の隣にいる男性の顔をちらちら見ている。は、話を本題に戻した。
「昨の注文分について、支払いの相談をしたいだけです。今すぐ全額を求めるわけではありません。まず、いくらなら支払えるか、いつまでに支払えるか、面でおらせください」
「分かりました」
浩介さんが答えた。ぽて子さんは、まだ私を見ている。
「ひまりさんが、私たちを助けてくれるんじゃないの?」
「助けるって、代を払うことですか?それはできません」
「でも、あなたって本当は怖いなんでしょう?」
「違います」
「昔、組にいたとか……」
「違います。何度も言っています」
広告
私は、に向き直った。
「誤解が広がってしまったようですみません。私は神楽組とは何の関係もありません」
「こちらも、妙な空気にしてしまって申し訳ありません。最初にきちんと説すればよかったですね」
がをげた。付き添いの男性も、「自分はの親戚で、以からの伝いをしているだけです」と説した。
それを聞いて、ぽて子さんはようやく肩の力を抜いた。
「なんだ、そうだったんだ」
「はい。ですから、支払いについては、と直接話してください」
「分かったよ。払えばいいんでしょう」
その返事は、まだ満そうだった。は、支払いの相談に必な類を渡し、今の連絡先を確認した。のたちは、ぽて子さんを脅すつもりはなく、注文した分の代を受け取りたいだけだった。
話しいが段落すると、付き添いの男性は私にさくをげた。
「先ほどは失礼しました。昔の呼び名で、こちらが勝に勘違いしました」
「いえ、私も紛らわしい言い方をしてしまいました」
「神楽組の龍というのは、何かの冗談ですか?」
「昔のごっこ遊びです。になってからは、もうやっていません」
男性は苦笑した。
「それはよかったです」
私は、ようやく息をついた。ぽて子さんの借を、私が払うことはない。寿司の代も、との話しいで返してもらう。
あとは、て替えた百万円だ。
帰り際、ぽて子さんが私に言った。
「昨の百万円のことは、また今度話そう」
「今度ではなく、返済の予定を決めてください。弁護士から面が届きます」
「そんなげさにしなくても」
「げさにしたのは、私ではありません」
私はすももの迎えにくため、そのをれた。ろから、ぽて子さんが何か言っていたが、振り返らなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
戸籍の中のもう一人の妻
海外赴任中の夫・健太に頼まれ、横浜の区役所を訪れた結衣。ところが戸籍の配偶者欄には、見知らぬ女性の名前があった。しかも婚姻日は、結衣が入院した母の看病に追われていた去年の夏。七年間信じてきた夫は、イギリスで別の女性と暮らしながら、日本では何食わぬ顔で優しい夫を演じ続けていた。さらに、二人で貯めたお金まで使われていたことが分かる。結衣は夫を問い詰めず、静かに証拠を集め始めた。夫が積み重ねてきた嘘を、彼女はどう暴いていくのか。人生逆転|裏切られた|夫婦|絶縁|不倫1.3万字5 5 -
完結第12話
義妹の荷物40箱を拒否したら、夫の勝手な約束が発覚
五十六歳のかず子の家に、義妹が経営するネットショップの商品が突然四十箱も届いた。預かると聞いていたのは小さな荷物だけ。受け取りを断ると夫は激怒し、かず子が大切にしている二階の六畳間を倉庫にすればいいと言い放つ。そこは、三十年以上家族を優先してきたかず子が、ようやく手に入れた自分だけの場所だった。さらに翌朝、配送会社から渡された書類には、身に覚えのない集荷予定と自分の名前が。夫と義妹は、かず子に何をさせるつもりだったのか。裏切られた|兄弟姉妹|夫婦1.8万字5 48 -
完結第12話
義母が倒れたと伝えたら、義兄嫁は葬儀を楽しみにした
山あいの村で農業を営む金田のぞみは、夫と義母、息子と穏やかに暮らしていた。ところが、農家を見下す義兄嫁の美香が、夏休みの間、二人の子どもを突然預けてくる。忙しい収穫期に子どもの世話まで重なり、無理を続けた義母は熱中症で倒れてしまう。 慌てて連絡したのぞみに、美香は心配するどころか、葬儀になれば仕事を休めると笑い出した。翌日、旅行気分で義実家を訪れるという美香。これまで我慢を重ねてきたのぞみは、ある決意を固める。嫁姑|夫婦|絶縁1.3万字5 164 -
完結第12話
同窓会で「席はない」と笑われた私に、若女将が一礼
七十歳になった水野春江は、亡き夫との約束を胸に、地元の老舗旅館で開かれる古希の同窓会に出席する。ところが受付で、幹事の麗子から「会費未納だから席はない」と告げられ、皆の前で仲居扱いされてしまう。確かに春江は、この旅館で掃除も布団運びもしている。だが、その理由を麗子は知らなかった。高校時代から続く嫉妬、勝手に消された名簿、そして欠席するはずだった恩師のために用意された席。五十一年ぶりの再会をきっかけに、春江が長年大切にしてきたものが明らかになっていく。人生逆転|第二の人生|金銭問題1.9万字5 40 -
完結第10話
離婚して10年、元夫が鍵を替えなかった理由
二十二年間連れ添った夫・正彦の無口さに耐えきれず、四十八歳で離婚したみつ恵。それから十年後、正彦が脳梗塞で倒れたと娘から連絡が入る。入院に必要な荷物を取りに、かつての自宅を訪ねたみつ恵は、返しそびれた合鍵で玄関が開くことに驚く。なぜ十年も鍵を替えなかったのか。部屋には、昔と変わらない食器や、みつ恵が置いていったスリッパが残されていた。やがて見つけた一通の手紙には、二十二年間聞けなかった夫の想いが綴られていた。別れた二人は、もう一度向き合えるのだろうか。夫婦|第二の人生|介護|退職金|熟年離婚1.3万字5 71 -
完結第12話
毎朝「出ていけ」と怒鳴る隣人、測量の日に顔色が変わった
「引っ越しなさい!」毎朝七時、向かいの家の奥さんに怒鳴られる六十八歳のしず子。生まれ育った家を手放す気はないが、理由のない嫌がらせは日に日にひどくなり、相手の夫まで引っ越しを勧めてくる。しず子は言い返す代わりに、毎日の出来事をノートに書き留めていた。そんなある日、隣人の土地売却をきっかけに境界の測量が行われる。測量士が示した一本の線と、亡き祖父が残した古い封筒。そこには、長年の隣人関係を覆す意外な約束が隠されていた。怒り|真実|修羅場1.3万字5 66 -
完結第10話
父の葬儀中「飯を作れ」と怒鳴った夫に、参列者が…
父の葬儀で喪主を務める美穂のもとに、夫・健一から何度も電話がかかってきた。用件は「今すぐ帰って飯を作れ」という身勝手な要求だった。二十年間、夫の暴言と厳しい金銭管理に耐えてきた美穂。父との最後の別れさえ邪魔され、ついに参列者の前で夫の怒声が響き渡る。すると、最後列に座っていた一人の男性が立ち上がった。その人物は亡き父の教え子で、健一とも思いがけないつながりがあった。因果応報|怒り|夫婦|親子関係|修羅場1.6万字5 491