"卒業写真の空いた席" 第7話
次の汽
その夜、澄は初めて、をるのことを話した。母親が荷札にいた川崎の所を見て、姉がくにいるかもしれないとった。坂の事務所へをしても返事がなかったため、求票にあった寮の所を頼りに、先に京へ来たのだという。彼女は青葉縫製で働くつもりだった。けれど会社が閉まっていたとり、美代から現のことを聞いた。
「私は先に、助けてほしくて話したわけじゃありません。料を母に渡すなと言ったのは、母が悪いだからじゃない。に送る分を決めるに、自分で働いた額をりたかったんです」
澄は、姉の嘘を許したわけでも、母親の苦労を忘れたわけでもなかった。それでも、自分がに戻れば、話はまた「族のためだから」で終わる気がした。だから、まず姉に会い、働いている女たちの話を聞こうとした。
「来る子は、どこの学の徒なの」
「隣の町の学です。名は林代。青葉縫製の求に応募したと聞きました」
「その子に、ここで働くと伝えたの?」
「いいえ。私が聞いたのは、紹介状にある所と違うところで働かされているという話だけです。本がどうしたいかは、まだ分かりません」
母親が荷札にいた川崎の所を見て、澄は姉がくにいるかもしれないとった。
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坂の事務所へをしても返事がなく、求票にあった寮の所を頼りに先に京へ来た。青葉縫製で働くつもりだったが、会社の械が止まっているとり、美代から実際の様子を聞いた。
「母が悪いだから、料を渡したくないんじゃありません。自分でいくら働いたかもらないまま、全部渡すのが怖かったんです」
彼女はの事を忘れていなかった。ただ、まず姉と会い、これから自分がどう働くかを自分で決めたかった。
澄は、すぐに答えた。
「だから、来るにらせたいんです。怖がらせたいんじゃない。仕事がなくなるかもしれないことも、先に話したい」
その言葉を聞いて、私はようやく彼女が何をしに来たのか理解した。澄は、姉を連れてへ帰るために京へ来たのではない。自分と同じ紹介を受けた子が、何もらずに坂の寮へ入るのを止めようとしていた。
「でも、あなた自はここで働くつもりなの」
「働きます。におを送りたいのも本当です。ただ、いくら引かれて、いくら元に残るのか、自分で確かめたいんです」
文子がを挟んだ。
「澄、そんなことをしたら、坂さんに目をつけられる」
「お姉ちゃんが何も黙っていたから、私はここへ来るまで何もらなかった。帰ってこられない理由も、の字が違った理由も」
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文子はうつむいた。澄の声に責める響きはなかった。そのことが、かえって姉を苦しめているように見えた。
翌朝、私は駅へ向かった。澄と文子も緒だった。野から着いた列の窓には、故郷をれてきた若者たちの顔が並んでいた。ホームでは、会社の名をいたを持つ男たちが、りてくる子の名を確かめている。
ホームの端には、ほかにも数の若者がいた。迎えのの名を探す者、荷物を抱えたままけずにいる者。代は、紹介状の封筒を何度もけては閉じていた。澄は、自分が来たのことをいしたのか、すぐには声をかけず、代がひとりになるのを待ってから名を呼んだ。
「林代さん」
彼女の名札には「林代」とかれていた。制の襟はきれいに洗われていたが、袖はし擦り切れている。紹介状の角は何度もいた跡で丸くなり、の裏には母親の字で駅までの乗り換えがかれていた。代は、迷わないように何度もそれを確かめてきたのだろう。
澄が呼びかけると、学の女がち止まった。赤い呂敷を抱え、には紹介状がある。しろには、坂がっていた。
「あなたが佐伯さんですか」
坂は、声を荒げずに言った。
「この子を迎えに来ただけです」
「雇用の話は、本と族が決めています。
教師がを挟むことではない」
「では、紹介状にかれていない寮と、与から引かれる額を説してください」
坂は、代の母親が署名したを取りした。そこには「就職に際する諸費用は、本の与より支払う」とかれている。額の欄は、やはり空だった。
代は、そのを見て、呂敷を抱きしめた。
「お母さんは、いくら引かれるかっているんですか」
「代、配はいらない。向こうで説する」
「今、ここで説してください」
私は、代の声が震えているのを聞いた。彼女は決して勇敢に見えなかった。ただ、何も分からないまま連れてかれるのが怖いのだ。
坂は「、面で説する」と言い、先に駅をようとした。そのとき、代が自分から歩がった。
「今はきません。お母さんと話してから決めます」
坂の顔に、初めて苛ちが浮かんだ。
「それなら、仕事のはなくなるかもしれませんよ」
代は答えなかった。彼女は私のほうを見て、「先、駅の話を借りてもいいですか」と尋ねた。
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