"昭和35年、上野駅に現れた二人の「ハルコ」" 第6話
妹の名で
窓ので、隣ののラジオが夕方のニュースを流していた。の閉鎖やしい会社の求が、い言葉で読みげられている。ここで働く女たちにとって、そのニュースはい話ではなかった。昨まであった仕事が、朝にはなくなることもある。誰かの名で与が処理されても、働いた本が確かめるを持っていなければ、反論するがかりがない。子は、与控えを枚ずつ見ながら、どのに姉が働いていたのかを確かめた。
子は、包みをいたままかなかった。そこには、青葉裁で働いたごとの与額と、へ送った額がかれていた。宛名は「本子」。彼女自の名だった。
「姉は、どうして私の名を使ったんでしょう」
縫製所の女性は、便箋を指した。
「へをすと、親があなたも京へすかもしれないと、富美子ちゃんは配していた。だから、自分の稼ぎを妹の名で送って、妹が学するためのだとわせたかったんじゃないかね」
子は、京へてから度もに帰らなかったわけではない。最初のの、仕事を辞めて青森へ戻る汽に乗った。ところが、紹介所のから「富美子はもう帰った」と聞き、の駅でりるにまた京へ戻った。姉が帰っているなら、今さらへ帰っても仕方がないとったのだという。
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類にある「帰郷済み」の文字は、ひとりの女のき先だけでなく、へ帰る会まで変えていた。
子は、で届いた送のことをいした。母は、富美子がいなくなったあとも、々、京からが届くと言っていた。差は紹介所。族は、富美子が帰郷したあとも、子の名で働いているとっていたのかもしれない。
女性は、子がに度帰ろうとしたことをらなかった。紹介所の通を見て、子は故郷へ戻ったものとっていたからだ。子は、汽ので「姉が帰った」と聞かされ、へ戻るのをやめた。もし通が届かなければ、そのに姉妹は会えていたかもしれない。誰かが図してを引きしたと決めつける証拠はない。それでも、確認されなかった署名が、偶然以の結果をんでいた。
「私は、そのを受け取っていません。母が持っていたのは、姉からの送だとっていました」
女性は、封筒のにもう枚のを見つけた。送額の横に、鉛で「子の学費」とかれている。だが、のには、同じ額を「紹介料」「寮費」として引いた跡があった。富美子は、妹の名で送したが、仲介のを経て、別の名目に変わっていくのを見ていた。
彼女は、料の細を求めた。仲介は「族のためのだ」と言い、問い続けるなら次の仕事を紹介しないと告げた。
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富美子は、その縫製所をた。彼女が消えたのは、を捨てたからではなく、妹のために送ったはずのが、妹の学にも活にも使われていないとったからだった。
私は、類にある自分の署名を見た。本が帰ったと確認せず、紹介所の説だけを信じていた。富美子が妹の名で送していたことも、そののき先も、私には分からなかった。だが、らなかったでは済まないことがある。
私は、子に会いにくに、をして返事を待つ選択肢もあると話した。富美子がこの所をれていたら、待ちわせに現れるとは限らない。子は、姉の居所をるためなら、今の夜に会えなくても構わないと言った。焦って姉を追い詰めたくない。その方で、何も返事を待った族として、これ以何もらずにはいられない。彼女のには、そのつが同にあった。
「子さん。お姉さんは、あなたが京へ来たとったら、帰れと言うかもしれない」
「言うといます」
「それでも、会いたいですか」
子は、ようやく便箋をいた。きしには「子へ」とある。姉の字だった。
「会いたいです。でも、姉に帰ってきてと言うためじゃありません。私の名で送られたおが、どこへったのか、緒に確かめたいんです」
便箋には、富美子が最に働いていた所の名があった。
しい所はかれていない。ただ「毎週曜、浅の夜学の」と記されていた。
私は、富美子が妹の名を使った理由を、簡単に善だと決めつけられなかった。妹を学へ残したかったのかもしれない。族に見つからずに働きたかったのかもしれない。紹介所から勧められた方法だったのかもしれない。どれも確かなことではない。に残った名だけでの気持ちまで決めれば、また同じ違いをする。子は姉の字をっている。彼女が話すことを、まず聞くしかなかった。
その夜、みのり堂へ戻ると、子の母親から報が届いていた。
「紹介所より、子の料は毎直接送ると聞いている。話が違うならすぐ帰すように」
子は報を読み終え、を膝のに置いた。
「私がここで働いても、母には何も届かないとわれているんですね」
千代は、子のそばに座った。私は、何と返せばよいのか分からなかった。今度こそ、本のを確かめずに、族へ返事をしてはいけない。
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