"箱根の盲点" 第2話
だがそれは調査をめれば分かることだ。
「お引き受けします」
宮原はしたように微笑んだ。
その笑顔はあまりにも自然で、樋はこの男が嘘をつけるかどうか、まだ判断がつかなかった。
事務所をた宮原の背を見送りながら、樋は窓際にった。
麹町の交差点を歩いていく紺のコートが、混みに紛れて見えなくなる。
缶コーヒーはすっかりめていた。
樋はそれをみ、帳をいた。
「箱根の件、忘れていませんよ」。
この文が気にかかっていた。
脅迫にしては曖昧で、警告にしては具体性がない。
この文面は相を怖がらせるためのものではなく、相が怖がっている姿を見るためのものにえた。
だとすれば目は、尾でもなく脅迫でもなく、宮原の反応そのものだ。
宮原が何を恐れているのかを探っているがいる。
あるいは、宮原自がこの文を必としていた能性もある。
誰かに怖がっている自分を見せるために。
どちらにしても、箱根にけばわかる。
樋はデスクの引きしから箱根の観パンフレットを取りした。
以別の案件でに入れたものだ。
湯本区の図には古くからある旅館が点している。
『湯本館』の名もあった。
創業治39、100以続く老舗だ。
そのを潰して、資性リゾートホテルを建てる。
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戸田克彦が反対するのは当然だろう。
問題は、反対するが脅迫までするかどうかだ。
協会会というのが、封を送り付けるような真似をするとは考えられない。
では誰が宮原を尾しているのか。
樋は帳を着の内ポケットに戻し、事務所のかりを消した。
曜の朝、宿からロマンスカーに乗った。
宮原は内でもノートパソコンをき、発案件の資料に目を通していた。
樋は隣の席で帳を広げ、事に調べた報を理していた。
レンタカーのナンバーは予通りだった。
都内のレンタカー会社で法契約での貸しし。
契約者名は個報保護を理由に示されなかったが、法名だけは聞きせた。
聞いたことのない名の同会社だった。
宮原に確認したが、当たりはないという。
箱根湯本駅にりつと、の気が頬を刺した。
12の箱根は観客がなく、駅のロータリーも閑散としている。
宮原が配したタクシーで荘に向かった。
荘は湯本の温泉からしれた台にある規模な旅館だった。
創業30ほどだが、入れがき届いており、玄関の畳は濡れたようにっていた。
チェックインを済ませ、それぞれの部に荷物を置いた。
樋の部は2階の奥、宮原の部はその隣だった。
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廊の突き当たりに非常の表示が見えた。
樋は習慣に非常の位置を確認し、帳に部の配置を簡単にスケッチした。
午、宮原は発計画の関係者との打ちわせにかけた。
樋は同せず、旅館の周辺を歩いた。
荘の裏には従業員の通用があり、そこから細い坂をると温泉の通りにる。
通りを5分ほど歩くと『湯本館』の板が見えた。
古い造建築だった。
本館に渡り廊でつながった別館が段い。
玄関のに「湯本館」と刻まれたの板が掲げられている。
治の創業当のものだろうか。
文字の端が削れていた。
樋は湯本館の観を眺めながら通りすぎた。
この建物がなくなれば、跡には代なリゾートホテルがつ。
克彦が反対する理由は商売の問題だけではないだろう。
荘に戻ると、宮原が玄関先にっていた。
打ちわせから戻ったところらしい。
「樋先、しお付きい願いますか? 戸田さんのところにご挨拶に伺おうといまして」
「戸田さんにですか?」
「ええ、発計画について改めてご見を伺いたいのと、元の方にはこまめに顔をしておくのがこの仕事の基本でして」
樋はし考えた。
尾者の調査が目とはいえ、依頼のをくで見ておくのは悪いことではない。
「分かりました」
2で湯本館を訪ねた。
玄関を入ると帳に若い女性がいた。
戸田の娘だという。
「父は奥にいる」
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