"四十九日、電話を切った妻" 第3話
「あなたの言葉がににきつくなって、私がおかしいのか、それとも本当にひどいことを言われているのか、自分でも分からなくなってしまっていたの。お母さんに相談したかったけれど、配をかけたくなくて。だから、せめて記録だけでもとって、録音するようになったの」
剣造さんがいため息をついた。
「妹は最まで覇斗のことを配していた。あの子が千尋を切にしてくれているか、何度も聞かれたよ。々、気づいていたんだろうな」
私は喉の奥がくなるのをじた。
「お母さんには、夫婦仲について詳しくお話ししたことはありませんでした。でも、きっと私の表や様子で気づいていらっしゃったのだといます」
「千尋さん」
剣造さんの声がし震えていた。
「あなたはよく1で全てを背負ってこられましたね」
その言葉を聞いた瞬、私はしだけ目を伏せた。
誰かにそう言ってもらいたかったのかもしれない。ずっと平気な顔をして、義母のでも親族のでも、くあろうとしてきた。でも、本当は何度も折れそうだった。
覇斗は子を乱暴に引き、ちがった。
「録音なんて卑怯だ。夫婦の会話を盗聴するなんて」
「盗聴じゃないわ」
私は顔をげた。
「自分を守るためよ。客観に判断したかっただけ」
覇斗は言い返そうとをいた。だが、そのに私は別の録音ファイルをいた。
「これは先の録音よ」
再ボタンを押す。
また、覇斗の声が部に響いた。
「おは本当に使えない女だな。母さんの世話ばかりして、俺のことは2の次か? 俺が稼いできたで暮らしているくせに」
続いて私の声が聞こえる。
「でも、お母さんが体調を崩されて」
「体調良なんてただの甘えだろ。齢者は構ってもらいたくてげさに言うんだ。おみたいなバカは簡単に騙される」
剣造さんが拳を握りしめた。
「覇斗。おは、自分がどんなことを言ったか本当に覚えていないのか」
覇斗は瞬目をそらした。
「仕事で疲れていたんだ。言葉がきつくなることもある」
「これは常な会話よ」
私は録音を止め、静かに言った。
「疲れただけじゃない。ほぼ毎こんな調子だった」
私の声は震えていなかった。泣きたくなるほど苦しかったのに、議と静だった。
このは、最まで自分の非を認めようとしない。
義母がを痛めていたのは、きっとこの部分だったのだろう。息子がをいやるを失ってしまったことを、誰よりもくしんでいたに違いない。
覇斗が録音について言い訳を続けている、私は別のファイルをいていた。
こののために準備していたものが、まだあった。
録音だけでは終わらない。
彼の本性は、まだ完全には表にていなかった。
私はスマートフォンを握り直し、覇斗を見た。
「覇斗。にも話したいことがあるの」
「まだ何かあるのか?」
彼は苛ったように吐き捨てた。
私は度、く息を吸った。
「最、気になることがあって、し調べさせてもらったの」
そう言って、私は画面を剣造さんと相馬の方へ向けた。
そこには、覇斗と見らぬ女性が親しげに写っている写真が表示されていた。
覇斗の顔から、血の気が引いていった。
スマートフォンの画面を見た相馬が、息をんだ。
写真はし荒く、くから撮されたような画像だった。それでも、覇斗の顔は分かった。隣にいる女性は、私のらないだった。肩を寄せい、まるで恋同士のように笑っている。
剣造さんがい声で尋ねた。
「これは体何だ」
私は画面を見つめたまま答えた。
「覇斗の浮気の証拠です。相はサラさんという方らしいです」
相馬が覇斗を振り返った。
「兄さん、これは本当なんですか」
覇斗は唇をいたまま、何も言えずにいた。顔は真っ青だった。さっきまで私を責めていた勢いは消え、ただ写真を見つめながら、どう言い訳すればいいのか必に考えているようだった。
「待て。それはどこでに入れた」
ようやくてきた言葉は、否定ではなかった。
私は静かに言った。
「実は、あなたのスマートフォンを見たの。でも、写真のくはすでに削除されていたわ」
覇斗の目つきが鋭くなった。
「勝に見たのか」
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