"箱根の盲点" 第5話
「すみません、先。窓から駐を見たら、見慣れないが止まっています。暗くてよく見えないんですが、昨の黒いセダンに似ている気がして」
樋は窓をけた。
宮原の部は駐側に面しているが、樋の部からは角度に駐が見えない。
「確認してきます。宮原さんは部にいてください」
「お願いします。あ、先、寒いでしょうから戻ったら夜でもいかがですか? ルームサービスを頼んでおきます」
樋は着を羽織り部をた。
帳には『2118分』と記録した。
廊を歩き、階段をりて玄関にた。
12の夜気が気に肌を刺す.
駐は旅館の正面にあり、灯が2本っている。
止まっているは4台。
宿泊客のものだろう。
樋は1台ずつ確認した。
いプリウス、シルバーのアルファード、赤いフィット、紺のレガシー。
黒いセダンはない。
のためボンネットにを触れてみた。
どのもエンジンはえている。
最った形跡はなかった。
駐の周辺を周した。
旅館の裏に回ると、従業員通用の横に軽トラックが1台止まっていた。
旅館の備品だろう。
通用の戸は閉まっているが、鍵はかかっていなかった。
ここから入りすればフロントを通らずににられる。
樋はそれをの隅にとめた。
最もそれは防犯の懸であって、今の案件とは関係ない。
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旅館の敷のにた。
沿いにも数台のが止まっていたが、いずれも黒いセダンではなかった。
坂をしり、温泉の通りまでた。
通りはない。
灯に照らされた面が濡れている。
夕方にったの残りだ。
柱のにも建物のにもの気配はなかった。
樋は計を見た。
2130分。
12分が経過している。
分に確認したと言えるだろう。
荘に戻った。
玄関を入るとフロントに夜勤の従業員が1いた。
樋は軽く会釈して2階にがった。
宮原の部のでを止め、ノックした。
「宮原さん、戻りました。黒いセダンはありませんでした」
扉がいた。
宮原は浴姿で、テーブルのにはルームサービスの盆が置かれていた。
おにぎりと漬け物、温かい蕎麦茶。
「ありがとうございます。見違いだったかもしれません。申し訳ない」
「いえ、用するに越したことはありません」
「よかったらどうぞ」と宮原が盆を示した。
「先の分も頼んでおきましたから」
樋はおにぎりを1つもらい、自分の部に戻った。
帳に記録した。
『2133分に帰着。駐に審両なし。宮原の部にルームサービス済み。異常なし』
布団に入り、井を見げた。
見慣れない。
宮原の見違いか、あるいは樋が確認にるまでのにちったか。
どちらにしても確認のしようがない。
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気になることが1つあった。
宮原がルームサービスを頼むタイミングだ。
樋が部をる直に「頼んでおきます」と言った。
そして樋が12分に戻った、すでに届いていた。
旅館のルームサービスにしては際が良い。
最もおにぎりと漬け物なら厨に常備しているだろうし、閑散期で注文もなければ対応はいだろう。
それよりも気になるのは、宮原の落ち着きぶりだった。
窓のに審なを見て話してきたが、12分にはおにぎりをべている。
恐怖やの残滓が、宮原の顔には全く見えなかった。
だがそれは宮原の性格かもしれない。
を表にさないはいる。
樋は帳を枕元に置き、かりを消した。
で箱根をれる。
尾者の正体はつめなかったが、宮原のに危険はなさそうだ。
報告をまとめて依頼は完。
そういう案件もある。
窓のでが鳴っていた。
昨夜と同じ箱根のだ。
樋はその音を聞きながら目を閉じた。
同じ頃、荘から徒歩5分の湯本館の別館で、戸田克彦は布団ので目を閉じていた。
今夜も薬をみ、藤沢周平を2編読んだ。
いつもと同じ夜だ。
ただ、体の奥で何かが違っていた。
胸の辺りに極かすかな違がある。
痛みではない。
圧迫でもない。
ただ臓の拍がいつもより規則にじられた。
戸田はそれを「気のせいだ」とった。
を取ると体は々なことを言いす。
いちいち気にしていたら切りがない。
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