"八年目のインタビュー" 第2話
「1999の純子失踪事件について、確認していただきたい音声があります」
送信が完した瞬、全から力が抜けた。
もう戻りはできなかった。
翌朝。
静岡央警察署。
刑事課の片隅で、渡辺健造はコーヒーをみながら類理をしていた。
58歳。
定を目に控えたベテラン刑事だった。
部が枚の資料を差しす。
「班、匿名報です」
渡辺は老鏡をかけ直した。
「どれどれ」
資料を読み始めた渡辺のが止まる。
そこにはこうかれていた。
『1999の純子失踪事件』
その事件名を見た瞬、渡辺の表が変わった。
忘れられない事件だった。
当、現に関わったことがある。
しかし証拠が何もなく、事件は未解決のまま終わった。
渡辺はちがり、資料保管へ向かった。
埃の積もったキャビネットをく。
奥から分いファイルを取りした。
表にはこうかれていた。
『19993 純子失踪事件』
渡辺は静かにファイルをいた。
8ぶりに事件が目を覚ました瞬だった。
匿名提供された音声ファイルは、すぐに解析された。
渡辺と若刑事の斎藤巧は、何度も同じ部分を聞き返した。
「純子……あの、おが黙ってさえいれば、あんなことまではしなかったんだ」
1回。
2回。
3回。
何度聞いても印象は変わらない。
妻を恋しがる夫の独り言には聞こえなかった。
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むしろみやりが混じった言葉だった。
斎藤が言う。
「班、これ普通じゃありませんよ」
渡辺も同した。
「俺もそうう」
翌。
2は再捜査を始した。
最初に向かったのは、の隣にんでいた本トキのだった。
当の聞き込み対象者である。
インターホンを押す。
しばらくして齢の女性が現れた。
渡辺は警察帳を見せる。
「8の失踪事件についてお話を伺いたいんです」
本は驚いた顔をした。
「まだ調べてるんですか」
居へ通される。
渡辺は帳をいた。
「何かいしたことはありませんか」
しばらく考え込んだ本がをいた。
「実はね……あののこと、ずっと気になっていたことがあるんです」
渡辺と斎藤が顔をげた。
本はゆっくり話し始めた。
「あののけ方4頃だったといます」
彼女は拳を握る。
そしてテーブルを叩いた。
ドン。
「こんな音がしたんです」
渡辺の目が細くなる。
「どこからですか」
「さんのです」
部の空気が変わった。
本は続ける。
「何かたいものが落ちたみたいな音でした」
その証言は、8の調には残っていなかった。
渡辺は驚いた。
「当、警察には?」
「言いましたよ」
本は苦笑した。
「でも夫婦喧嘩じゃないかって流されたんです」
渡辺は唇を噛んだ。
な証言だった。
それが見過ごされていた。
もし当、真剣に調べていたら。
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事件は違う結末を迎えていたかもしれない。
帰り。
斎藤が言った。
「班、これはただのじゃないですね」
渡辺は煙にをつけた。
煙を吐きながら答える。
「ああ。嫌な匂いがしてきた」
次に刑事たちが訪ねたのは、純子の親友だった慶子だった。
慶子は失踪まで頻繁に純子と会っていた。
居でお茶をみながら、渡辺は質問した。
「純子さんに変わった様子はありませんでしたか」
慶子はし考えた。
そして静かに頷いた。
「ありました」
斎藤がを乗りす。
「どんなことですか」
「失踪するしから、ため息ばかりついていたんです」
慶子は当をいすように目を伏せた。
「夫が変わったって言ってました」
渡辺はメモを取る。
「変わった?」
「詳しくは話しませんでした。でも顔が悪かった」
さらに慶子は続けた。
「失踪する1週くらいでした」
老クラブでコーヒーをんでいたのことだった。
純子が突然言った。
「これからは自分のをきようとうの」
その言葉が忘れられないという。
「婚するとか、そういう話だったんでしょうか」
斎藤が尋ねた。
慶子は首を横に振った。
「そこまでは言いませんでした」
しかし今になって考えると。
その言葉は何かきな決だった気がする。
帰りのの。
斎藤はハンドルを握りながら言った。
「失踪に何かあったのは違いないですね」
渡辺は窓のを見た。
「夫婦関係をもっと掘る必がある」
放送局への聞き込みも始まった。
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