"68歳、レジで再会した友" 第1話
「久しぶりね」
レジのでその声を聞いた瞬、私はバーコードを通すを止めてしまいました。
スキャナーのには、豆腐のパックが置かれたままになっています。いつもなら何も考えずにくが、そのだけきませんでした。
私はゆっくり顔をげました。
そこにっていたのは、5、私の額を聞いて笑った友達でした。
代。
若い頃、よく緒にかけていた友達です。子どもがさかった頃は、お互いに忙しく、何も会わない期もありました。それでも、たまに連絡を取れば、昔と同じように笑える関係だとっていました。
なくとも、5のあのまでは。
目のの代は、髪をきれいにえ、品なコートを着ていました。見た目だけなら、昔とほとんど変わっていません。
けれど、私はすぐに気づきました。
目の奥だけが、し疲れている。
代はもう度、柔らかい声で言いました。
「久しぶりね、幸子」
私は慌てて豆腐のパックをスキャナーに通しました。
ピッ。
いつもの子音が、妙にきく聞こえました。
「うん、久しぶり」
それだけ答えるのが精杯でした。
レジ台のには、半額の惣菜が2つ、いパンが1袋、そして豆腐だけが置かれていました。
5、旅の話をしていたの買い物とはえませんでした。
私は黙ったまま会計を続けました。
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惣菜、パン、豆腐。
ピッ、ピッ。
はいているのに、のでは5の喫茶がよみがえっていました。
「全部で460円です」
私がそう言うと、代はさくうなずきました。財布からてきたのは、ししわのある1000円札でした。
そのが、ほんのし震えているのを、私は見逃しませんでした。
お釣りを渡すと、代は買い物かごを持ちました。
けれど、すぐにはへ向かいませんでした。
「幸子」
名を呼ばれたのは、何ぶりでしょうか。
「まだ働いてるのね」
その言葉を聞いた瞬、5の空気が気に胸の奥へ戻ってきました。
けれど、今の声には、あのの軽さはありませんでした。
私はしだけ笑いました。
「うん。まだ働いてる」
代は目を伏せました。
「そう」
それだけ言うと、何かを言いかけてやめました。
私はレジ横の袋をに取りました。
「袋、いりますか」
代は首を振りました。
「いいわ」
そして、買い物かごを持って、ゆっくりへ歩いていきました。
私は次のお客さんの会計を始めながらも、ついその背を目で追ってしまいました。
5は自信に満ちていた背が、そのはしさく見えました。
5、私と代は駅のさな喫茶で会いました。
窓際の席でした。
古いのテーブルにコーヒーが2つ置かれ、ではがき交っていました。久しぶりの再会で、最初は本当に楽しいでした。
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「最、膝が痛くてね」
私がそう言うと、代は笑いました。
「私なんて血圧よ。病院にくたびに、先に注されるの」
60歳を過ぎると、話題は自然と変わるものです。
健康の話。
子どもの話。
孫の話。
そして、おの話。
代はカップを持ちげながら、何気ない調で言いました。
「うちはね、が13万円くらいかな。もう隠居活よ」
そう言って、肩をすくめました。
それからし得そうに続けました。
「でもね、積みてもやっているの。このなんて100万円プラスになったのよ」
私は素直に驚きました。
「すごいね」
代はし笑いました。
その笑い方には、余裕がありました。
私はカップに線を落とし、し迷ってから言いました。
「私はが10万円くらい。だから、今スーパーでレジの仕事をしてるの」
その瞬でした。
代が笑ったのです。
きな笑いではありません。
けれど、はっきりと笑いました。
「まだ働いてるんだね」
その言葉に悪があったのかどうか、今でもはっきりとは分かりません。
ただ、そのの空気がほんのし変わったことだけは覚えています。
代はさらに聞きました。
「いくらなの?」
私は曖昧に笑いました。
答えたくなかったのです。
すると、代はまた聞きました。
「積みてとか、やってる?」
私はさく答えました。
「1万円だけ」
その瞬、代の目がしきくなりました。
そして、笑いながら言いました。
「1万円? それ、やってないのと同じじゃない」
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