"68歳、レジで再会した友" 第3話
そうったでした。
「もしもし」
しかすれた声が聞こえました。
「代です」
私は瞬、言葉を忘れました。
けれどすぐに言いました。
「幸子です」
話の向こうで、さく息をむ音がしました。
「ああ……」
しがあって、代が言いました。
「どうしたの?」
私はののカードを見ました。
「スーパーで、ポイントカード忘れてたから」
い沈黙が流れました。
「ああ……ごめんね」
代はそう言って、しだけ笑いました。
けれどその笑い方は、5のものとはまったく違っていました。
「今から取りにこうかとったんだけど……」
代はそう言いかけて、言葉を止めました。
私は黙って待ちました。
話の向こうで、さなため息が聞こえました。
「やっぱり今は、やめておくわ」
その声は、どこかくにいるようでした。
私はし迷いました。
本当なら、ここで終わりにしてもいい話です。
忘れ物を伝えただけ。
それだけで済む話です。
けれど私は、あののことをっていました。
「、見たよ」
瞬、空気が止まりました。
話の向こうで、何の音もしなくなりました。
やがて、かすれた声が返ってきました。
「見たのね」
責める声ではありませんでした。
隠していたものを見られたような、い響きでした。
私は静かに聞きました。
「何かあったの?」
また沈黙が流れました。
くはありません。
けれど、分にくじました。
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やがて、代がさく言いました。
「ちょっとね」
それだけでした。
私は急がせませんでした。
言葉は無理に引きすものではありません。
しばらくして、代がぽつりと続けました。
「幸子、今、ある?」
私は計を見ました。
仕事はもう終わっています。
「あるよ」
そう答えると、代はしだけしたように息を吐きました。
「じゃあ……しだけ話せない?」
その声は、5に私を見て笑ったの声とは、まるで別のものでした。
私は瞬だけ迷いました。
胸の奥には、まだあののが残っています。
けれど今、話の向こうにいる代は、あのとは違うのように聞こえました。
私はゆっくり答えました。
「いいよ」
い言でした。
それだけで、何かがしいた気がしました。
「どこにする?」
私が聞くと、しがありました。
代は言葉を選ぶように、ゆっくりと言いました。
「あの……駅の喫茶」
私は瞬、言葉を止めました。
5と同じ所です。
同じ席かもしれません。
同じの流れ。
けれど、同じではない。
何かが確実に変わっている気がしました。
「わかった」
そう答えると、話は静かに切れました。
私はしばらくそのにっていました。
ののスマートフォンが、しだけ温かくじました。
あの喫茶。
あのの言葉。
全部、また向きうことになるのかもしれません。
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それでも、議と逃げたいとはいませんでした。
私はロッカーの鏡で、自分の顔をしだけ見ました。
5と、どれくらい変わったのでしょうか。
答えは分かりません。
けれど、ひとつだけはっきりしていることがあります。
あのの私は、あので何も言えませんでした。
でも、今は違います。
私は静かにロッカーを閉め、のへました。
駅へ向かうを、ゆっくり歩き始めました。
駅に着く頃には、空はすっかり夕焼けに染まっていました。
あの喫茶は、5と変わらずそこにありました。
さな板。
しあせた壁。
扉のにつと、あのの空気が気によみがえりました。
私は度だけく息を吸い、ドアをけました。
カラン、とさな音が鳴りました。
のは静かでした。
数のお客さんが、それぞれのを過ごしています。
私は内を見回しました。
そしてすぐに、代の姿を見つけました。
窓際の席。
あのと同じ所でした。
代はすでに座っていました。
カップのにを置いたまま、しうつむいています。
私はゆっくりづきました。
「待たせた?」
声をかけると、代は顔をげました。
「ううん」
さく首を振ります。
その表は、どこかく見えました。
私は向かいの席に座りました。
テーブルのには、すでにコーヒーが2つ置かれていました。
代が先に頼んでいたのでしょう。
「ここ、変わらないね」
私がそう言うと、代はしだけ笑いました。
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