"68歳、レジで再会した友" 第5話
代はまっすぐ私を見ていました。
その目は、5とはまったく違っていました。
「どうしたらいいとう?」
その問いは、あまりにもくて、すぐには答えられませんでした。
「どうしたらいいとう?」
代の言葉は、しばらくテーブルのに残りました。
それは、おのことだけを聞いている言葉ではないようにえました。
悔。
。
恥ずかしさ。
そして、誰にも言えずに抱えてきた孤独。
その全部が、その言のに入っているようでした。
私はゆっくり息を吸いました。
そして、言葉を選びながら言いました。
「まずは、止めることじゃないかな」
代はしだけ顔をかしました。
私は続けました。
「これ以、減らさないこと」
代は何も言わず、じっと聞いていました。
「取り返そうとすると、もっと失うことがあるから」
自分でも驚くほど、落ち着いた声でした。
代はゆっくりうなずきました。
「もう、やめた」
その言葉は、とても静かでした。
しだけ力が抜けているようにも聞こえました。
私は続けました。
「それから、誰かに話すこと」
代はさく笑いました。
「今、話してる」
私もしだけ笑いました。
「うん」
い会話でした。
でも、それだけでし空気が変わった気がしました。
代はカップを持ちげ、めたコーヒーをみました。
「幸子」
また名を呼ばれました。
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今度はしだけ、やさしい声でした。
「なんで……」
言葉が止まります。
私は待ちました。
代はカップを置き、線を落としたまま続けました。
「なんで、あの、何も言わなかったの?」
私はしだけ考えました。
5の喫茶。
あの言葉。
笑い声。
テーブルのに置かれたコーヒー。
胸の奥に残ったさな。
全部、覚えています。
私はゆっくりと言いました。
「言えなかったんじゃないの」
代は顔をげました。
私は続けました。
「言わなかったの」
代の目がし揺れました。
「何を言っても変わらないとったから」
あの、私はすでに気づいていたのかもしれません。
言葉では届かないものがあることを。
は、自分で気づかないと変われないことを。
代はしばらく何も言いませんでした。
ただ静かに聞いていました。
やがて、さく息を吐きました。
「そうね」
その言には、5とはまったく違うさがありました。
代は両でカップを包み込みました。
「私、あのひどかったね」
私はすぐには答えませんでした。
許すと言えば簡単です。
気にしていないと言えば、もっと簡単です。
でも、どちらも嘘になる気がしました。
だから私は、正直に言いました。
「傷ついたよ」
代は目を閉じました。
「ごめん」
その声はさく、けれどはっきりしていました。
「ずっと、自分は丈夫だとってた。
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もあるし、積みてもあるし、旅にもける。働かなくても暮らせるって」
私は黙って聞いていました。
「でも、それって余裕じゃなくて、ただ何も見えてなかっただけだったのかもしれない」
代は自分のを見つめました。
「幸子が働いてるって聞いた、本当はし怖かったの。私もいつか働かなきゃいけなくなるんじゃないかって」
私は驚いて顔をげました。
代は苦笑しました。
「だから笑ったのかもしれない。自分は違うっていたくて」
その言葉を聞いた、胸の奥にあったさなが、ほんのしいた気がしました。
喫茶の窓のは、すっかり暗くなっていました。
内のかりがガラスに映り、私たち2の姿がぼんやりなって見えました。
5と同じ席。
同じテーブル。
同じコーヒー。
けれど、そこにいる私たちは、5とは違っていました。
代は静かに言いました。
「今、幸子がレジにってるのを見て、変な言い方だけど……ししたの」
私は首をかしげました。
「?」
代はうなずきました。
「ちゃんと働いて、ちゃんと暮らしてるが目のにいたから」
私は何も言えませんでした。
「5は、働いている幸子を見て、勝にに見てた。でも今見たら、違った。幸子はちゃんと自分のでってた」
代の声は震えていました。
「私は、増えた数字ばかり見て、自分の元を見てなかった」
その言葉に、私は静かに息を吐きました。
私はスーパーのレジで働いています。
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