みかん小説
本棚

"喪服で行った結婚式" 第1話

私が黒い喪で式に入った瞬、夫は初めて、自分がまだ私の夫であることをしたようでした。

京のさな結婚式は、で満たされていました。

い布。

い招待状の見本。

そして、鏡のでは、青玲奈さんがいベールを肩にわせていました。

その隣にっていた巧は、私にはもう何も見せなかった顔で笑っていました。柔らかく、優しく、相切にしていると目で分かる笑顔でした。

扉がいた音に、最初に式スタッフが振り返りました。

次に玲奈さん。

そして最に、巧。

私の喪を見た瞬、巧の顔は固まりました。けれど彼はすぐに眉をひそめ、周囲の線を気にするようにい声で言いました。

「さゆり、何をしている? ここはおが来る所じゃない」

来る所じゃない。

25、同じに帰っていた妻に向かって、彼はそう言いました。

私は歩だけみました。黒い喪の裾が、で静かに揺れました。

「あなた、急ぎ過ぎよ。この結婚の葬式を、私はまだしていないのに」

の空気が止まりました。

巧は周囲の目を気にするように、さらに声をくしました。

「こんなところで恥をかかせるな。話ならでできるだろう」

私は彼の目をまっすぐ見返しました。

で話すは、あなたにはなかったはずよ。

広告

彼女のドレスを選ぶはあったのに」

玲奈さんの指が、ベールの端をく握りました。それでも彼女は、細い声で言いました。

「奥様、もう遅いんです。巧さんはずっと苦しんでいました。気持ちは縛れません」

私は彼女を見ました。

装をまとい、まだ婚姻の男の隣につその姿は、あまりにも清らかに作られていました。

婚していない男とを選ぶことを、あなたはと呼ぶの?」

玲奈さんの顔から、わずかに笑みが消えました。

巧がました。

「やめろ、さゆり。俺たちはもう夫婦として終わっていただろう」

その言葉で、私は初めてしだけ笑いました。

「終わっていたのなら、なぜ婚届をさなかったの?」

巧は答えませんでした。

私は静かに続けました。

「私を妻のまま残しておけば、座も世体も、そのまま使えるとったのね」

巧の喉がさくきました。

けれど、ここにたどり着くまでの私は、まだ妻でした。

それは、ほんの数のことです。

その朝、私は巧の濃紺のジャケットをクリーニングにそうとしていました。

いつものようにポケットのを確認していると、内ポケットにい封筒が入っていることに気づきました。

封筒の隅には、都内の結婚式の名が印字されていました。

度は戻そうとしました。夫のものを勝に見ることに、まださな罪悪があったからです。

広告

けれど、封筒の端から見えたで、指が止まりました。

嫁様専用プラン。

私は封をけました。

には、式の予約確認、内の領収、ドレス試着の案内が入っていました。

郎、巧。

婦、青玲奈。

挙式予定

指輪の相談予約。

そして内、150万円。

その数字を見た瞬、共同座から消えていたおしました。

50万円。

30万円。

70万円。

巧はそれを、会社のて替えだと言っていました。私は信じました。夫婦だから、疑う方が寂しいとっていたのです。

の引きしをけると、奥に古い結婚指輪がありました。

もう何もつけていません。

捨てることもできず、戻すこともできず、さな箱のにしまっていたものです。

私はその指輪の横に、予約確認を置きました。

古い結婚と、しい裏切り。

その2つが、同じ引きしのに並びました。

所を見たとき、息が浅くなりました。

そこは、私たちが結婚20目に事をしたのすぐくでした。

あの、巧は私に言いました。

「ここまで来られたな」

私はその言を、何の支えにしてきました。

けれど彼にとってその所は、もうではありませんでした。別の女としく始めるための、都のいい所になっていたのです。

私は台所のを止めました。

エプロンをしました。

そして、クローゼットの奥から黒い喪を取りしました。

義母の葬儀で着たでした。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: