"秩父の森に残された映像" 第1話
20034、京のA学では、卒業を控えた学たちがそれぞれの課題に追われていた。
環境科学を専攻する健は、講義の番ろの席でノートパソコンをき、画面をじっと見つめていた。課題のテーマは「環境態調査」。形式は自由で、文献研究でも、現調査でも、映像ドキュメンタリーでも構わないとされていた。
健は子にもたれ、隣に座る佐藤に声をかけた。
「どうせなら、現に入って撮ろう。がらない森の奥を、俺たちの目で記録するんだ」
は登経験があり、装備にも詳しい学だった。最初は眉をひそめたが、健の目が本気であることに気づくと、静かに頷いた。
そこに映像撮を担当する田優斗、観察誌をつける鈴彩佳、そしてインターネットで資料を集めていた斗が加わった。専攻や得分野はしずつ違っていたが、5とも、秩父のに広がる管理のき届かない森に関を持っていた。
数、斗が掲示板で奇妙な投稿を見つけた。
「先輩、これ見てください。秩父の奥で、毎晩、みたいな音がするってかれてます」
健は画面にを乗りした。彩佳も横から覗き込み、さく首をかしげた。
「事の許もりていない域なのに、本当かな」
は図を広げ、指でをたどった。
「ここは昔の伐採にいな。
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でも、今はほとんど管理されていないはずだ」
しばらく沈黙が落ちた。窓のではのがるく差しているのに、5の周りだけ空気がくなったようだった。
健は画面から目をさず、はっきりと言った。
「じゃあ、俺たちが直接確かめにこう。ビデオカメラもGPSもある。記録すれば、ただの噂じゃなくなる」
その言葉に、誰も反対しなかった。
彼らは役割を決めた。健はリーダーとして全体のスケジュール管理。佐藤は装備担当。田優斗は映像撮と編集。鈴彩佳は音声記録と観察誌。斗はインターネット調査と補助装備を担当することになった。
ビデオカメラ、部マイク、ソーラーバッテリー、携帯無線、夜用ライト。装備はただのキャンプとはえないほど本格だった。
発を数に控えた、担当教授からいメールが届いた。
管理区域へのち入りは自己責任であること。2001に付で民が方になった事例があること。図と実際の形が異なるがあるため注すること。
優斗はその文章を何度も読み返した。
「ニュースで見たことない話だな」
それでも、誰も計画を止めようとはしなかった。むしろ健は、静かに元を引き締めた。
「なら、もっとく理由ができたってことだ。そこでは何かが起きている」
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発は53。
この、5の誰もりませんでした。
このさな卒業課題が、本の未解決失踪事件の1ページになることを。
53、まだ夜のが完全にはけきらない朝、いSUVが学くの駐を発した。
運転席にはが座っていた。助席の健は膝のに図を広げ、部座席では優斗がビデオカメラの源を入れていた。
「これより記録を始します。目は埼玉県秩父。管理区域における違法事疑惑を確認するため、現調査をいます」
優斗はし芝居がかった調でそう言い、カメラを仲たちに向けた。彩佳は苦笑し、斗は無線の池を確認していた。
を抜ける頃には、太陽がの稜線を照らし始めていた。だが秩父へづくにつれ、空はしずつ暗くなっていった。肌が迫り、は狭くなり、の気配はれていった。
午10頃、彼らはにいさな集落へ着いた。健は商のでを止め、と簡単な料を買いした。
の老は、見慣れない若者たちをじっと見つめた。
「学さんたち、もしかして昔の伐採の方へくのかい」
健がし戸惑いながら頷くと、老は黙って首を横に振った。
「あそこはであって、じゃない。最じゃ犬も寄りつかねえよ」
その言葉を聞いた瞬、内の空気がしえた。
けれど健は礼を言い、再びに乗り込んだ。
集落を過ぎると、舗装はすぐに途切れた。昔トラックが通っていたらしい轍だけが、かすかにのに残っていた。
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