"秩父の森に残された映像" 第2話
SUVは枝を避けながら、慎に奥へんだ。
10分ほどった、斗が部座席からGPS端末を覗き込み、声をげた。
「あれ、信号が消えた」
がアクセルを緩める。
「だからじゃないのか」
「いや、完全に切れてる。方向も取れない」
優斗が冗談めかして笑った。
「映画みたいに、変な所に迷い込んだりしてな」
その言葉に誰も笑わなかった。
さらにむと、錆びた網のフェンスが現れた。ち入り禁止の板はで文字がれ、フェンスの部は破れていた。
彩佳がカメラを向けながらさく言った。
「誰かが通った跡がある」
健はをり、面を見た。のには、比較しいタイヤ跡のようなものが残っていた。
「ここから先は歩こう」
5は装備を背負い、フェンスの隙から森へ入った。
へんだ途端、空気が変わった。
たく、く、押しつけられるような空気だった。はなく、鳥の声もしない。自分たちの靴音と呼吸だけが、やけにきく聞こえた。
彩佳がマイクを持ちげ、周囲の音を録ろうとした。
「静かすぎる。が詰まったみたい」
10秒、20秒。何も聞こえなかった。
その、レコーダーのでさく、こつ、という音が響いた。
全員がを止めた。
「今の、誰かいた?」
誰も答えなかった。
40分ほどなきをむと、古いコンクリート構造物が見えてきた。かつて伐採作業に使われていたらしい残骸だった。
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鉄パイプは錆び、にはと落ち葉が積もっていた。
「今はこの辺りにテントを張ろう」
健の声にも、かすかな緊張が混じっていた。
が傾くと、森は急に暗くなった。々の隙からはほとんど届かず、面からのような湿気ががってきた。
夕の準備をしていた、優斗が顔をげた。
「今、聞こえたか」
「何を?」
「属が擦れるような音。あっちの方で」
全員がを澄ませた。
しかし森は、何もなかったかのように静まり返っていた。
その夜、斗は1で記録誌をいていた。懐灯のかりを元に落としながら、の空気を吸うためにテントのへた。
くない森の奥で、かん、かん、という定の音がした。
まるで誰かが属を打っているようだった。
斗は息を止めてを澄ませた。
だが音はすぐに消えた。
森は再び、何もらない顔で沈黙した。
54朝7、の空気はひんやりとしていた。
テントからてきた5の顔には、眠りの浅さがはっきり残っていた。誰もすぐにはをかず、ただ焚きの跡を見つめていた。
が、い声で言った。
「変なを見た。誰かがずっとテントの周りを歩いているだ」
優斗は顔をげた。
「それ、俺も聞いた気がする。音みたいなやつ」
彩佳は黙ってカメラを取りげた。
「とりあえず周囲を撮ってみよう。本当に何かいたのかもしれない」
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5は側の斜面に沿って移を始めた。コンパスで方角を確認しながらんだが、々ののはしだいに見慣れないものへ変わっていった。面は自然に固く、のえ方にもどこかな乱れがあった。
30分ほど歩いた頃、むらの向こうに奇妙な構造物が見えた。
面の部がコンクリートで覆われ、パイプや鉄筋が突きしている。周囲には古いシートがかけられ、奥には錆びた鉄扉のようなものも見えた。
「ここは何だ」
健が息を潜めた。
その、くからく、ういん、という音が聞こえた。
彩佳がマイクを構える。
「発の音みたい」
5は音を殺し、さらに奥へんだ。
そこは、誰かが現も使っている事現のようだった。いシートで覆われた構造物、半分面に埋まったような資材、まだ乾ききっていないの跡。作業員の姿はないが、つい最までがいたことはらかだった。
が面を指差す。
「これは数じゃない。昨か、今だ」
健はすぐに撮を指示した。
「全部記録する。ここは正式な事区域じゃないはずだ」
優斗がカメラを回し、彩佳は音声記録を残した。
「秩父、部とわれる点。管理区域に、何者かが施設を隠している模様。コンクリート、発音、いシートで覆われた構造物を確認」
その、斗がさく呟いた。
「誰かに見られてる気がしないか」
全員が本能に周囲を見回した。
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