みかん小説
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"寿司屋で暴かれた嫁" 第7話

でも、もう引き返せない。

引き返す気もありませんでした。

このを守る。

浩司を守る。

あの女に、好きにはさせない。

証拠を見つけた翌、私は浩司に話をかけました。

の夜、仕事が終わった頃を見計らい、20過ぎにかけました。3コールでた浩司の声は、やはりどこかぼんやりしていました。

「何、母さん。どうしたの」

「浩司、事な話があるの。話じゃなくて、直接会って話したいんだけど」

「何、改まって」

「美咲さんのことよ」

話の向こうで、浩司がさくため息をつくのが聞こえました。

「またそれ?このの寿司の話?母さん、もういいって。将の勘違いだったんだから」

「勘違いじゃないの。浩司、お願いだから聞いて」

私は袋から見つけた偽名の免許証や、登記簿、保険証のコピーのことを話しました。

けれど、浩司の声は途たくなりました。

「母さん、ちょっと落ち着いてくれよ。免許証なんて、昔のものとか、カードケースに入れっぱなしのものとかあるだろ。それに登記簿なんて、に母さんが自分で見せたんじゃないの。保険のことだって、美咲が俺の体を配して調べてくれたのかもしれないじゃないか」

「違うのよ、浩司。名が全部違うの。佐々とか、とか、林島とか」

「母さんさ」

浩司はを置いてから言いました。その声には、配とも呆れともつかない響きがありました。

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「最ちょっと疲れてるんじゃない?1暮らしがいと、どうしても考えすぎちゃうことあるだろ。母さんもそろそろだし、そういうのってさ……」

「被害妄だって言いたいの?」

わず声がきくなりました。

話の向こうが瞬、しんとなりました。

「そこまでは言ってないけど。ただ、美咲がそんなことするわけないだろ。毎俺のために弁当を作ってくれて、母さんのところにも通ってくれてるじゃないか。なんでそこまで疑うんだよ」

浩司の声には、りではなく純粋な困惑がありました。それがつらかったのです。

この子は本当に美咲さんを信じている。

信じ切っている。

いや、違う。

信じさせられているのです。

サプリでをぼんやりさせられ、判断力を奪われて。

「浩司、あのサプリ。美咲さんが毎朝あなたにませてるサプリ、あれもおかしいのよ。調べてもらったら、み続けると判断力が鈍る成分が……」

「はあ?サプリ?何言ってんだよ、母さん。ただのビタミン剤だぞ。美咲が俺の健康を配して買ってきてくれてるんだよ。それまで疑うの?」

浩司の声に、初めて確な苛ちが混じりました。

「もういい加減にしてくれよ。俺は忙しいんだ。母さんが寂しいのは分かるよ。でも、だからって美咲を悪者にするのはやめてくれ」

通話はに切れました。

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私はスマートフォンの画面が暗くなるのを見つめたまま、しばらくけませんでした。

息子に信じてもらえなかった。

分かっていたことでした。浩司は優しい子ですが、器用で、1度信じたものを疑うのが苦な子です。そこに美咲さんは入り込んだ。理の妻を演じ続け、浩司を完全に取り込んだのです。

それから数、美咲さんの態度が変わりました。

表面は何も変わっていないように見えました。相変わらずには料理を持ってきてくれ、「お母様」と笑顔で呼んでくれます。

けれど、微妙に、本当に微妙に空気が違いました。

次の、美咲さんは台所で料理を温め直しながら、何気ない調で言いました。

「お母様、最よく眠れていますか。顔がちょっと……」

丈夫よ。し寝つきが悪いだけ」

「そうですか。あのですね、お母様」

美咲さんが振り返り、私の目を見ました。柔らかい笑顔。けれどその奥にある目の温度が、以とは違う気がしました。

「浩司さんとも話したんですけど、お母様、最ちょっとお疲れのようですし、1度どこか落ち着ける施設を見学にってみませんか」

「施設?」

「ええ。最の介護付き宅ってすごくきれいなんですよ。お事も栄養士さんが管理してくれるし、同代のお仲もできますし。お母様がもっとして暮らせる所を、緒に探しましょう」

さらりと言いました。

あまりにも自然に。

でも、これが何をしているか、私には分かりました。

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