"寿司屋で暴かれた嫁" 第12話
サプリをやめてから2週ほどで、浩司の目には以のような正気が戻りました。話の声もはっきりし、受け答えも鋭くなりました。
12に入ったある、浩司が1でうちに来ました。玄関で靴を脱ぎながら、くをげました。
「母さん、あの、母さんの言葉を信じなくて本当にごめん。俺が母さんを守らなきゃいけなかったのに、逆に母さんに守られた」
「何言ってるの。親が子どもを守るのは当たりでしょう」
「でも俺、母さんに被害妄だなんて……」
「もういいの」
私は浩司のを握りました。きくて温かい。正男に似た、器用で優しいです。
「あなたが元気でいてくれたら、お母さんはそれだけで分よ」
がけて1の半ば、私はまた寿司のカウンターに座っていました。カウンターの向こうでは、田さんがいつものように寿司を握っています。
「はい、節子さん。今の押し、ぶり」
目のにされた寿司は、脂が乗ってきれいな桜をしていました。
「ありがとう、将。いただきます」
に入れた瞬、ふわっと脂の甘みが広がりました。
美しい。
ちゃんと美しいとえる。
それが嬉しかったのです。
「将、あの声をかけてくれてありがとう」
私が言うと、田さんはし照れたように笑いました。
「俺は声をかけることしかできなかったよ。そこから先、自分のでいたのは節子さんだ」
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私はカウンター越しに笑いました。
窓のには、1の夕焼けが広がっていました。商のかりがぽつぽつと灯り始めています。
をると、の空気が頬に触れました。コートの襟をて、私はゆっくり歩きしました。
仏壇にをわせた、正男の写真がいつもより穏やかに見えた気がしました。
「お父さん、私、ちゃんとやったわよ。も守ったし、浩司も守った。あなたがいなくても、なんとかなるものね。まあ、ちょっと変だったけど」
誰に聞かせるでもなく、そう呟きました。
68歳、1暮らし、活。
けれど、ただ守られるだけのいではありません。
切なものを守るためなら、をねた女はくなれるのです。
私はたいので背筋を伸ばし、へ向かって歩きました。
おばあちゃんを、舐めるんじゃない。
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