"古い風呂敷の遺言" 第2話
帰りのので、私は夫を責めた。
「どうして何も言ってくれなかったの?」
夫はハンドルを握ったまま言った。
「兄貴たちので、何を言えばいいんだよ」
私は唇を噛んだ。
その、窓のにはがい始めていた。
1か、義母ががに来た。
荷物を運ぶ、義兄たちは誰も来なかった。
話が1本ずつかかってきただけだった。
「母さんのこと頼むよ」
「俺たちも忙しいんだ」
私は「分かりました」と答えた。
けれど腹のは煮えくり返っていた。
それでも耐えた。
嫁なのだから。
末っ子の嫁なのだから。
そう自分に言い聞かせた。
義母を迎えてから、私の常は完全に変わった。
朝に起きて義母の事を用する。
病院へ勤する。
帰宅したら、すぐに義母の世話をする。
夜も何か起きないか配で、まともに眠れなかった。
ある、義母の定期検診で学病院へっただった。
病院の廊で、男夫婦と次男夫婦にばったり会った。
珍しく4そろっていた。
男が尋ねた。
「母さんの様子はどうだ?」
私はカルテを確認しながら答えた。
「記憶力がかなり落ちています。1でに置くのは危険です」
「ヘルパーさんをお願いしようかとっています」
すると次男が顔をしかめた。
「ヘルパー?おがかかるじゃないか」
「1かに20万円くらいはかかるといます」
「皆さんにもしずつ協力していただければ……」
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私がそう言うと、男はすぐに言った。
「俺たちは今余裕がない」
次男の嫁もを挟んだ。
「由美さんは護師なんだから、直接見た方がでしょう?」
私は言葉を失った。
彼らは介護の苦労を分かろうともしなかった。
そのくせ、男は突然こう言った。
「ところで、母さんの財産はどうなってる?」
私はを疑った。
義母の健康状態よりも、財産の話が先だった。
夫が「分からない」と答えると、次男は疑うような目を向けた。
「緒にんでいて分からないのか?」
「通帳でも預かってるんじゃないのか?」
私は首を横に振った。
「そんなことはありません。お義母さんがご自で管理されています」
それでも彼らは、財産の話ばかり続けた。
義母の容体や必なものについては、誰も聞かなかった。
診察が終わるに、彼らは帰ってしまった。
私は病院の廊に1残され、壁にもたれかかった。
これが族なのだろうか。
介護は私に丸投げ。
財産のだけ平等を求める。
私はその夜、井を見つめたまま眠れなかった。
窓のにはがっていた。
いは、私ののに積もる悔しさのようだった。
が過ぎ、が来ても、がの空気はえたままだった。
義母の状態はしずつ悪化していった。
私は病院とを往復しながら、11をなんとか乗り切っていた。
やがて正がづいた。
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族のメッセージアプリに、男の嫁から連絡が入った。
「全員、お正には実に集まりましょう」
「久しぶりに族全員で顔をわせなくちゃ」
私は画面を見て、いため息をついた。
普段は連絡ひとつ寄こさない。
それなのに、正だけ親孝な子どもや嫁のふりをする。
正の朝、義実へくと、義兄たちはすでに来ていた。
男の嫁と次男の嫁は、級ブランドのコートを着ていた。
「お義母さん、あけましておめでとうございます」
男の嫁が義母にづき、を握った。
その様子を男がスマートフォンで撮っていた。
夫が尋ねた。
「兄さん、何してるの?」
男は笑った。
「SNSにげるんだよ」
「親孝してる様子も残しておかないとな」
私は乾いた笑いをこらえた。
親孝とは、写真を撮るだけするものなのだろうか。
案の定、10分も経たないうちに、義兄たち夫婦は居のソファでスマートフォンばかり見ていた。
義母は奥の部に1きりだった。
「由美さん、お義母さんの事の準備はできた?」
次男の嫁が当然のように尋ねた。
私は黙って台所へ向かった。
料理を用していると、居から話し声が聞こえた。
「それにしても、母さんの通帳は誰が管理してるんだ?」
次男の声だった。
「同居してる夫婦が管理してるんじゃないの?」
「それは困るわ」
また財産の話だった。
私はお盆に料理を乗せ、義母の部へ運んだ。
義母はぼんやりと窓のを見ていた。
「お義母さん、お事にしましょう」
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