"年金六万円の母" 第6話
翔平は震える声で言いました。
「母さん、あのはに血がっていて……」
「1500万円をもらったは、必ず恩返しするって言いましたよね」
翔平は何も言えませんでした。
「施設に入れって言いましたよね。活保護を受けろって」
2は泣きながら謝り続けました。
「すみません」
「本当にすみませんでした」
けれど、私のはきませんでした。
いえ、かすことができませんでした。
翌、えり子から話がありました。
「若子、そろそろ会いにってもいい?」
「ええ。ぜひ」
その、えり子は運転付きの級で迎えに来てくれました。
玄関のにつ彼女を見た瞬、私は言葉を失いました。
「若子、会いたかった」
「えり子……」
40ぶりの再会に、私たちは抱きって泣きました。
ので、えり子は言いました。
「若子、あなたにお願いがあるの」
「なあに?」
「私のゲストハウスにんでもらえない?」
私は驚きました。
「でも、えり子。迷惑じゃ……」
「迷惑なんてとんでもないわ。実は私も1なの。夫は10にくなって、子どももいないの」
えり子の表がし寂しげになりました。
「財グループの会なんて言っても、に帰れば1ぼっち。若子が緒に暮らしてくれたら、どんなに嬉しいか」
翌、私は荷物をまとめ始めました。
持っていくものはほとんどありませんでした。
翔平が慌てて部に入ってきました。
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「母さん、どこへくんですか?」
「えり子のところよ」
「待ってください。まだ話は終わってない」
私は静かに、しかしきっぱりと言いました。
「終わりました」
翔平は必にをげました。
「母さん、本当にごめんなさい。反省してます」
私は振り返りました。
「会社が潰れそうだから反省しているんでしょう」
「違います。本当に悪かったと……」
「じゃあ、なぜ昨まで私を施設に入れようとしていたの?」
翔平は答えられませんでした。
美咲も泣きながら入ってきました。
「お母さん、お願いです。もう度チャンスをください」
「チャンス?」
私は彼女を見ました。
「あなたたちは、私に何度チャンスをくれましたか?」
美咲も黙り込みました。
「事も満にべさせてもらえず、孫の誕会からも追いされ、認症扱いされ、最は施設送り。おがなくなったら、急に優しくなるんですね」
その、玄関のチャイムが鳴りました。
えり子の運転が迎えに来たのです。
「さようなら」
私は2に背を向けて歩き始めました。
「母さん!」
翔平の叫び声が聞こえました。
けれど、私は振り返りませんでした。
えり子のゲストハウスは、緑に囲まれた静かな所にありました。
「さあ、若子。ここがあなたのしいよ」
案内された部は向きのるい部でした。きな窓からは美しい庭園が見え、朝のがいカーテンをやわらかく揺らしていました。
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「素敵でしょう。ここでゆっくり休んで。もう誰もあなたを傷つけることはないわ」
えり子の優しさに、私はまた泣きそうになりました。
その夜、えり子と緒に夕をべながら、代のい話にを咲かせました。
「覚えてる? 文化祭の、2で漫才をやったこと」
「忘れるわけないじゃない。失敗だったけど、楽しかったわね」
私たちは声をげて笑いました。
こんなにから笑ったのは、何ぶりでしょうか。
、えり子が言いました。
「若子、から財団の仕事を伝ってもらえない?」
「財団?」
「えり子財団。教育支援をしているの。元教師のあなたにぴったりでしょう」
私は驚きました。
「私なんかで役につかしら」
えり子はすぐに首を横に振りました。
「何を言っているの。あなたの経験は宝よ」
その、えり子の携帯話が鳴りました。
彼女はく話し、話を切ると、し真剣な顔で言いました。
「若子、あなたの息子さんの会社、で終わるわ」
私は静かにうなずきました。
「悔してる?」
「いいえ」
私は首を横に振りました。
「あの子は切なものを見失っていました。1度、0からやり直した方がいいでしょう」
えり子は私のを握りました。
「あなたは優しいのね」
「優しくなんかないわ。ただ、おより切なものがあることを、あの子にも分かってほしいの」
しい活が始まって3ヶが経ちました。
えり子財団での仕事は、私にきがいを与えてくれました。
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