"親友と夫を捨てた日" 第1話
「裕子さん、丈夫? 顔が真っ青よ」
パート先のスーパーで品しをしていた私は、そのでしゃがみ込んだ。
界がぐらぐら揺れる。
吐き気もする。
額には嫌な汗が滲んでいた。
「し休みます……」
そう言った瞬、が慌てて駆け寄ってきた。
「休むじゃなくて帰りなさい。あるでしょう」
体温計を渡され測ってみると、度かった。
自分でも驚いた。
最は疲れが溜まっていた。
結婚。
事も仕事も全部私。
夫は何もしない。
それでも庭のためだとって耐えてきた。
「今はもう帰って休みなさい」
に背を押され、私は退することになった。
そのはまだ。
あのがを変えるになるなんてってもいなかった。
午過ぎ。
私はマンションのにっていた。
夫の孝志は宅勤務のだ。
仕事だろうから静かに寝で休もう。
そういながら鍵をけた。
玄関に入った瞬。
違があった。
「……え?」
見慣れないハイヒール。
鮮やかなピンク。
級ブランドのロゴ。
私はその靴をっていた。
親友の美のものだった。
「どうして……?」
首を傾げる。
美は代からの親友だった。
派で美。
私は。
正反対だったけれど、なぜかずっと付きいが続いていた。
に度はランチへく。
お互いの夫の話もした。
私は彼女を信じていた。
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だから、このも疑わなかった。
きっと相談事でもあるのだろうと。
だが。
リビングは静かだった。
誰もいない。
代わりに廊の奥から微かな音が聞こえてくる。
規則な音。
何かが軋むような音。
私は無識にを止めた。
音は寝からだった。
胸騒ぎがした。
のせいだろうか。
鼓が急に速くなる。
私は音をてないように寝へづいた。
ドアはしだけいていた。
ほんの数センチ。
その隙からが見えた。
そして。
私はで最も残酷な景を見ることになる。
「美……やっぱりおが番だ」
夫の声だった。
甘ったるい声。
聞いたことのない声。
ベッドのには孝志がいた。
そして。
そのには。
親友の美がいた。
私たちの寝。
私たちのベッド。
私たちの。
その全てので。
は抱きっていた。
が真っになった。
呼吸が止まりそうになる。
鳴りがした。
のせいじゃない。
現実だった。
「裕子なんて全然気付いてないんだから」
美が笑う。
「本当にバカだよな」
孝志も笑う。
「俺がどこで何してても疑わない」
「だって裕子って昔から鈍だもの」
クスクスと笑う声。
楽しそうだった。
幸せそうだった。
私を裏切りながら。
涙はなかった。
代わりにりが湧いてきた。
静かなりだった。
震えるでスマホを取りす。
カメラを起する。
そして。
の顔が映るように画を撮り始めた。
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「もしバレたら?」
「裕子に?」
孝志がで笑う。
「婚する勇気なんてないだろ」
「確かに」
「俺がいなきゃきていけない女だからな」
は笑った。
その言葉も全部録画した。
分。
分。
分。
私は黙って撮を続けた。
途で吐きそうになった。
それでもやめなかった。
この瞬を。
絶対に無駄にしないために。
やがて私は静かに玄関へ戻った。
そしてマンションをた。
誰にも気付かれずに。
反撃の準備を始めるために。
くの公園。
ベンチに腰掛ける。
震えるでスマホをく。
送信先を選ぶ。
迷わなかった。
藤堂健。
美の夫。
資系企業の役員。
美が自していたエリート夫だ。
私は画を添付した。
そして送信ボタンを押した。
数秒。
画面に表示される。
送信完。
その瞬。
私は初めて笑った。
「終わりよ」
静かに呟いた。
「あなたたちの幸せは」
送信から分。
スマホが震えた。
画面には健の名。
私は呼吸して話にた。
「もしもし……」
『今すぐ会えますか』
い声だった。
鳴り声ではない。
むしろ静かだった。
だが。
その静けさが恐ろしかった。
『所を送ります』
それだけ言って話は切れた。
。
駅の級ホテル。
私はラウンジで健と向かいっていた。
テレビで見る経営者のような男だった。
級スーツ。
静な表。
だが目だけが違った。
りに燃えていた。
「画、ありがとうございました」
健はそう言った。
「信じてもらえましたか」
「残ながら」
苦笑する。
「信じるしかありません」
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