"親友と夫を捨てた日" 第3話
私はわず目を見いた。
邦物産。
孝志が勤める会社だった。
しかも専務。
会社のナンバー2だ。
「どうして……」
私が戸惑うと、島はくをげた。
「この度は弊社社員がご迷惑をお掛けしました」
その姿に私は驚いた。
をげるべきなのは私ではない。
孝志の方だ。
健がをく。
「実は私の会社は邦物産の取引先なんです」
なるほど。
だから専務がいたのか。
「加藤さんの件は既に把握しています」
島は苦々しい顔をした。
「会社としても過できません」
私は静かに頷いた。
その。
健が私を見た。
「裕子さん」
「はい」
「つ確認したいことがあります」
健はし笑った。
「あなた、本当に文無しなんですか?」
私はわず苦笑した。
昨までなら。
私もそうわれて当然だった。
バッグから冊の通帳を取りす。
そしてのに置いた。
「実は違うんです」
ページをく。
数字を見た瞬。
島の顔が変わった。
「千万円……?」
「はい」
私は頷いた。
「の積と投資です」
パート代。
節約した活費。
株式投資。
投資信託。
に積みげてきた。
その結果だった。
「すごい……」
島が呟く。
「加藤はっているんですか」
「いいえ」
私は笑った。
「りません」
孝志は私を無能だとっていた。
だから何も聞かなかった。
だから何もらない。
そして私はもうつの類を取りした。
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「実はもっと事なものがあります」
産登記簿。
マンションの権利。
健が目を細めた。
「これは……」
「私たちがんでいるマンションです」
島が類を見る。
そして固まった。
「所者……裕子」
「そうです」
私は頷いた。
「父が結婚に買ってくれました」
全額現。
ローンなし。
所権100%。
つまり。
あのの持ち主は私だった。
健が笑った。
初めて見せる本当の笑顔だった。
「完璧ですね」
「え?」
「彼らは完全に終わりました」
私はが分からなかった。
健はたく言った。
「の持ち主を追いして、自分たちがみ続けている」
「……」
「つまり法占拠です」
その瞬。
私も気付いた。
そうだ。
追いされたのは私。
本来てくべきなのは彼らだった。
そのだった。
スマホが鳴った。
孝志からだった。
メッセージをく。
そして。
私は言葉を失った。
『おの荷物全部捨てた』
『ついでに親父の遺もゴミにした』
『スッキリしたわw』
が震えた。
呼吸が止まりそうになる。
き父。
私を守ってくれた。
その遺を。
ゴミとして捨てた。
私はちがった。
「予定変更です」
健が私を見る。
「じゃありません」
「ええ」
私はゆっくり頷いた。
「今終わらせます」
健は微笑んだ。
そして言った。
「ようやく本気になりましたね」
翌朝。
私は健と島専務と共にマンションへ向かった。
エレベーターのは静かだった。
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誰も喋らない。
だが全員が分かっていた。
今が決着のだと。
玄関につ。
から笑い声が聞こえる。
楽しそうな声。
音楽。
グラスの音。
私は眉をひそめた。
健が興信所から聞いた報をいす。
孝志はを取った。
そして。
美との活祝いをいている。
私ので。
鍵を取りした。
ガチャ。
ドアがく。
リビングに入る。
そこには。
信じられない景が広がっていた。
級寿司。
シャンパン。
オードブル。
そして。
ソファで寄り添う孝志と美。
義母までいた。
「乾杯!」
孝志がグラスを掲げる。
「第のに!」
周囲には輩社員たち。
全員が笑っていた。
その。
が私たちに気付いた。
「あ……」
空気が止まる。
全員の線が集まった。
「裕子?」
孝志がで笑う。
「なんだよ」
そしてちがった。
「未練たらしく戻ってきたのか?」
輩たちも笑う。
「の奥さん?」
「っすね」
「美さんの圧勝じゃん」
好き放題だった。
だが私は黙っていた。
「おい」
孝志がづく。
「もうここは俺たちのだ」
勝ち誇った顔。
だが私は横へ歩ずれた。
すると。
ろにいたが姿を現した。
島専務。
そして健。
「え……?」
孝志の顔が変わる。
「せ、専務……?」
グラスが落ちた。
で砕ける。
輩たちも青ざめる。
「な、なんで……」
島がへた。
そして鳴った。
「それはこちらの台だ!」
部が震える。
誰もけない。
「加藤」
島が睨む。
「勤務に倫」
「取引先の奥様と関係」
「そので会社の信用を失墜させる為」
りで声がくなる。
「言い訳はあるか」
孝志はをく。
だが何もてこない。
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