"大晦日の離婚届" 第3話
「本当に疲れた。今はがりなくて、本当に変だったの」 「そうか。ご飯は?」 「あ、で済ませてきたから丈夫」
パート先のくで同僚とべたのだろうか。みさきは疲れた様子でソファーにく腰掛けると、バッグからさな鏡を取りし、この夜10というから、入りに化粧を直し始めた。
(なぜ、今からにいるだけなのに化粧を直す必があるんだ?)
疑問が次々と胸に湧きがる。だが、俺は表を切変えず、ただ黙ってみさきのその連の作を観察し続けた。
「お呂入ってくるね」
みさきはちがり、階段をがっていった。その細い背を静かに見送りながら、俺はソファに座り直し、胸ポケットからスマートフォンを取りした。妻のの変化。そんな些細な綻びが、俺の平穏な庭の終わりを告げる警鐘だった。
翌朝、俺はみさきがまだベッドで熟しているのを確認し、めに起きて階段をりた。リビングの棚に飾られた、15の結婚式の族写真が目に入った。純のウェディングドレスを着て、世界で1番幸せそうに笑うみさき。俺もタキシード姿で彼女の肩をおしそうに抱いている。
あの、俺たちは永のを誓ったはずだった。みさきと会ったのは、俺が32歳の。友の紹介でりい、るく優しい彼女に惹かれ、1の交際を経てプロポーズした。
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彼女は涙を流して頷いてくれた。その2にショ太がまれ、夜泣きで眠れない々も2で支えって乗り越えてきた。
10、俺がきなリスクを背負って独し、この雫会計事務所をちげたも、みさきは「あなたなら丈夫、私たちが支えるから」と文句つ言わずに節約し、計を支えてくれた。経営が軌に乗り、しきなこのに引っ越したのみさきの嬉しそうな笑顔を、俺は今でも鮮に覚えている。
しかし、ショ太がになり、親のをれ始めた半、みさきが「私もで働きたい、自分のを切にしたい」と言ってパートを始めてから、彼女の笑顔はどこかの空になり、装も急に洗練されていった。美容院に通う回数が増え、綺麗になっていく妻。
「綺麗になったな」 「そう? ありがとう」
そう言って笑う彼女の目が、夫である俺を真っ直ぐに見ていないことに、俺はもっとく気づくべきだったのだ。
俺は聞を読むフリをしながら、起きてきてキッチンで朝の準備を始めたみさきの様子を観察した。今もあの級の甘いりが漂っている。事務作業だけのパートのはずなのに、彼女は朝から完璧に化粧を施していた。
「今も残業になるかも」 「そうか」
俺はく答え、に乗り込んで事務所へと向かった。
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内の助席に置いたスマートフォンで、俺はみさきのパート先である「霞産」の話番号を画面に表示させた。元のさな産だ。
昼休み、俺は事務所の自のデスクから、その番号にダイヤルを押し、受話器をに当てた。
『はい、霞産でございます』 「すみません、みさきさんはおられますか?」 『さんですね、々お待ちください』
保留音が流れる。30秒ほど待つと、別の落ち着いた女性の声が聞こえてきた。
『お話代わりました。申し訳ございませんが、さんは本お休みとなっておりますが……』 「え、お休みですか?」 『はい。さんは今週は曜と曜の勤予定でして、曜の本はお休みです』 「……そうですか、ありがとうございました」
静かに通話を切った。みさきは今、パートにっていない。昨夜の点で「今も遅くなる」と言っていた。だが実際には、最初からシフトすら入っていない休みのだったのだ。では、彼女は今、どこで誰と過ごしているんだ?
胸の奥に、氷の塊が突き刺さったようなたい衝撃がった。俺はく呼吸をし、をコントロールしながら、スマートフォンの別のアプリを起した。
みさきのコンパクトカーには、1、俺が彼女の全のために取り付けたGPS受発信が搭載されている。スマホのアプリから、いつでも現や移履歴を確認できるシステムだ。
もちろんみさきもそのをっている。
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