"消された両親の席" 第3話
「ごめん。でも、これが現実なんだ。お願いだから、今は静かに帰ってくれないか」
謝罪の言葉はありました。
けれど、その目には反省はありませんでした。
ただ、くこのから私たちを消したいという焦りだけがありました。
そこへ、麗華さん本が現れました。
いウェディングドレスをにまとった彼女は、とても美しく見えました。えられた髪、細やかなレース、輝くアクセサリー。まさに今の主役でした。
彼女は私たちを見ると、わずかに眉をひそめました。
「お父様、お母様。来ないでくださいって、健太郎さんからお伝えしたはずですが」
私は彼女をまっすぐ見ました。
「私たちは、ただ息子のをお祝いしたくて来ました」
麗華さんはさく息を吐きました。
「お気持ちは分かります。でも、空気を読んでいただけますか」
空気。
その言葉もまた、胸に静かに落ちました。
「私の両親も、今のゲストも、皆様それなりの方々なんです。失礼ですけど、陶芸とか、元とか、方の方では話がわないんですよ」
健太郎が慌てて言いました。
「麗華、言い方が……」
「だって事実でしょう」
麗華さんは、健太郎の言葉を遮りました。
「私は今、完璧な式にしたいの。だから、お引き取りください」
完璧な式。
そのために、私たちは邪魔だということでした。
周囲のゲストたちが、ひそひそと話している声が聞こえました。
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「郎のご両親らしいわよ」「席がないって、どういうこと?」「でも、確かにし雰囲気が……」
私は静かにっていました。
夫も、隣で穏やかな表を崩しませんでした。
議なほど、は落ち着いていました。
健太郎は、さらに言葉を続けました。
「正直に言うよ。父さんと母さんには、本当に謝してる。育ててくれたことも、学費をしてくれたことも。でも、それとこれとは別なんだ」
夫が静かに尋ねました。
「別、とは」
健太郎は度唇を湿らせ、言いました。
「麗華の両親は資産だ。結婚は、麗華の父さんの会社を伝うことになってる。将来は役員にもなれるかもしれない。そのためには、ステータスが必なんだ」
ステータス。
息子は、そう言いました。
私は胸の奥が締めつけられるようないでした。
けれど、涙はませんでした。
「方の質素な両親がいると、それが枷になるんだよ。麗華のご両親も、僕の族背景をあまりられたくないって」
私は息子の目をじっと見つめました。
「つまり、私たちは邪魔なのね」
健太郎はまた線を逸らしました。
「そういう言い方は……でも、まあ、そうだよ。ごめん」
その瞬、幼い頃の健太郎の姿が、胸の奥にいくつも浮かんできました。
をした夜、額にを当てて晩病したこと。
運会で転んで泣いていた息子を、抱きしめたこと。
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学の頃、友達との喧嘩で落ち込んでいた夜、緒にお茶をみながら話を聞いたこと。
学の入学式の、ので「父さん、母さん、ありがとう」と笑ってくれたこと。
あの頃の息子は、確かに優しい子でした。
でも、今目のにいる健太郎は、私たちを見ていませんでした。
私たちのも、も、努力も、すべて自分のステータスの邪魔になるものとして見ていたのです。
私は何も言わず、ただ静かに微笑みました。
その、麗華さんのお父様がづいてきました。
派なスーツを着た、威厳のある男性でした。
彼は私たちのにつと、元だけで笑いました。
「さん……いや、元とお呼びすべきですか」
その調には、はっきりと軽蔑が込められていました。
夫は静かに相を見つめました。
麗華さんのお父様は、胸を張って言いました。
「今はお引き取りください。この式は、私が費用を全額負担しております。ゲストリストも私が管理しておりますので」
夫が、しだけ眉をかしました。
「費用を全額、ですか」
「ええ。まさか、あなた方が負担できるとはいませんしね」
麗華さんのお父様は、あざ笑うように言いました。
「方の活者では、この規模の式は無理でしょう。本の費用は千百万円を超えております。私のような者でなければ、到底せる額ではありませんよ」
周囲がまたざわつきました。
「千百万円ですって」「さすが麗華さんのお父様ね」
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