"登記簿に残った妻の名前" 第4話
黙っていることが、かえってゆかを守らないことになると分かっていました。
子は台所の子に座り、学ノートをしました。ゆかは向かいに座り、1ページずつめくりました。付、刻、発言、通帳のコピー、録音の無。途で何度も唇を結び、りをみ込んでいるのが分かりました。
「お父さん、美咲さんをに連れてきたの?」
「ええ」
「しずく町の鍵も勝に持ちしたの?」
「本がそう言ったわ。録音も残してある」
ゆかはく息を吐き、額にを当てました。
「お母さん、しずく町の類はある?」
「押し入れの茶箱にあるとうわ」
2はへ移しました。押し入れの奥から古い茶箱をろすと、ふたにはく埃が積もっていました。子が布で拭き、ゆっくりけると、には母から受け取ったや古い類が入っていました。その奥に、しずく町の平に関する類がまとめてありました。
ゆかは面を取りし、名の欄を確認しました。次の瞬、目を細めてはっきりと言いました。
「所者、野井子」
子はさく息をのみました。
「それ、私の旧姓」
「じゃあ違いない。しずく町のは、お母さんの単独名義よ」
子は類を見つめました。野井子。その名は、結婚してからほとんど使わなくなった名でした。けれど、そののには確かに自分の名が残っていました。
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誰かの妻としてではなく、1のとしての名が。
「秀さんはらないのかしら」
ゆかは静に答えました。
「らないんじゃない。ろうとしなかったの」
ゆかは通帳のコピーも並べました。
「共座から200万円。鍵の無断持ちし。美咲さんの発言。全部つながる」
「私はどうすればいいの?」
「まだ何も言わないで。お父さんたちに先にしゃべらせるの」
子は黙って頷きました。テーブルので、登記簿の写しだけが静かにっていました。それは、鳴るよりもいでした。秀と美咲が、まだらない現実そのものでした。
第章 登記簿の名
その夜、秀はまた美咲を連れてリビングに入ってきました。美咲のには具のカタログがありました。まるで居の打ちわせに来たかのように、当然の顔をしてソファへ座ろうとしました。
「子さん、赤ちゃん部は側がいいとうんです」
美咲はカタログをき、るい声で言いました。子はその様子を見て、胸の奥にたいものが広がるのをじました。側の部。母が、よく向ぼっこをしていた部です。子にとってはいの所でした。それを、美咲は当然のように「赤ちゃん部」と呼びました。
「その部に入る許を、誰からもらったの?」
「秀さんです。だって、もう私たちのになるんでしょう?」
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秀は子にふんぞり返りました。
「そういうことだ、子。おもそろそろ現実を見ろ」
子は静かに息を吐きました。現実という言葉を、自分の都のいいに貼りつける男ほど厄介なものはありません。秀は今も、自分が買えるとっているが、誰の名義なのか確認もしないまま話をめているのです。
その、ゆかが封筒を持ってリビングに入りました。秀は眉をひそめました。
「なんだ、ゆかまで来たのか」
ゆかは父を見ず、テーブルのに封筒を置きました。
「お父さん、しずく町のの所者、確認した?」
「必ない。俺が買うんだ」
「買うに、のに入ったんだね」
「のってなんだ」
子は封筒から登記簿の写しを取りし、秀のへ滑らせました。
「見てください」
美咲が先に覗き込みました。のの名を目で追い、首をかしげました。
「野井子って、誰ですか?」
子はまっすぐ答えました。
「私です。野井は私の旧姓です」
秀の顔から、みるみるが抜けました。
「嘘だろ」
「嘘なら登記簿には載りません」
ゆかが通帳のコピーを並べました。
「共座から200万円。鍵の無断持ちし。美咲さんの発言も録音済み」
美咲のから具のカタログが落ちました。にが広がり、赤ちゃん用のベッドやカーテンの写真がばらばらに見えました。
「私は、秀さんに言われただけで……」
子はく言いました。
「私ので、私を追いす相談をしたのは事実です」
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