"奥日光の白い菊" 第2話
午82分。
エンジン音が静かな朝を破り、は民宿の舗装をていった。砂埃がいがる。よえは庭からを振り、犬がしだけを追いかけた。
それが、よえが4を見た最だった。
に警察の取り調べで、よえははっきりと語った。
「4ともるくて、急いでいる様子はありませんでした。竜ノ滝の渓へって、昼頃に戻って荷物を取ると言っていました」
午815分頃、国120号をへ向かって登る彼女たちのを、くのにむ男性が目撃していた。畑仕事へ向かう途、古い乗用がゆっくり通り過ぎたという。窓がいていて、部座席の誰かがを振った。
男性は、ただの週末の観客だとった。
午9頃、竜ノ滝の駐にはが並び始めていた。族連れ、同好会、カップル。渓へ向かう々の取りは絶えなかった。
だが、その帯に4の姿をはっきり見た者はいなかった。
午230分頃、滝の流付で、ある登客が奇妙なものを見つけた。岩の隙に、女性用のスニーカーが片方だけ挟まっていた。にピンクのストライプ。サイズは24センチほどで、まだしかった。
登客は、誰かが落としたのだろうとい、拾ってのに置いた。
持ち主は、現れなかった。
午5を過ぎると、駐はほとんど空になった。管理スタッフが点検しながら歩いていると、隅のに古い乗用が1台だけ残っているのに気づいた。
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ドアはすべてロックされていた。
スタッフが内を覗くと、の座席にはの図が広げられ、部座席にはバッグが1つ置かれていた。助席の元にはペットボトルが転がっている。
の姿はなかった。
登から戻ってくるのだろう。
スタッフはそう考え、そのはそのままにした。
しかし午8を過ぎても、は同じ所にあった。かりの消えた駐で、窓には夜がついていた。
翌1023、曜の午7。
勤した管理スタッフは、が晩残っていたことに気づいた。窓を叩いても反応はない。内はと同じ。図、バッグ、ペットボトル。だが、4の姿も、の鍵もなかった。
異変をじたスタッフは管理事務所へ報告し、そこから警察へ連絡が入った。
同じの午2。
京の女子学の研究にも、話が入っていた。田弓の母親だった。週末旅へった娘と連絡が取れないという。約束のを過ぎても話にない。
サークルの会がの3のに連絡した。
佐藤美紀も、鈴彩子も、渡辺絵里も、戻っていなかった。
午330分、佐藤美紀の父親が宿警察署を訪れ、方届をした。
方者4。
全員22歳の女子。
最の連絡は、19951021の夜。
の能性を問われた父親は、首を横に振った。
「娘は真面目でした。ただ、友達と葉を見にっただけです」
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その、連絡は警察署へ引き継がれた。
担当となったのは、刑事。40代半ばのベテラン刑事だった。域で20以勤務し、岳事故も何度も扱ってきた。
夕方、刑事は竜ノ滝の駐へ向かった。京ナンバーの古い乗用。ロックされたドア。残された荷物。そして消えた鍵。
のに、民宿「空」の名刺があった。
午720分、刑事は民宿を訪ねた。よえに4の写真を見せると、彼女はすぐに頷いた。
「この子たちです。昨の朝、ていきました」
2階の部はえられており、がかりはなかった。宿泊名簿には、美紀の跡で4の名が残っていた。
刑事は名簿の写真を撮り、警察署へ戻った。
夜10。
報告をきながら、刑事は考えていた。
これは単なる遭難ではないかもしれない。
4が同に、何の痕跡もなく消える。
その自然さが、彼の胸にく残った。
1024、曜の午6。
捜索隊が編成された。警察署の警察官10、消防隊員15、岳救助隊員10。総勢35以が、竜ノ滝の駐へ集まった。
午7、刑事は図を広げて捜索区域を分けた。
第1班は駐から渓流へ。
第2班は流へ。
第3班は登沿いの側へ。
午830分、捜索が始まった。隊員たちは無線を持ち、むらをかき分け、岩の隙を覗き込み、辺を慎に歩いた。
午1040分、第2班から無線が入った。
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