"年金七万円の老人ホーム" 第3話
決められたに制に起こされ、決められたに質素なものをべ、決められたに気を消して寝る。自分の志でく自由はどこにもなく、々の楽しみも何もない。ただ械にきているだけのような覚に陥り、私はい絶望を抱いていた。
あるの昼がり、私がいつものように部のベッドに腰掛けて窓のを眺めていると、コンコンと控えめにドアがノックされた。
「はい」
私が返事をしてちがると、ドアがき、隣の部にむ井さんという男性が顔を覗かせた。井さんは75歳で、この施設に数から暮らしているという。
「田さん、ちょっといいかい? ここでの活には、もう慣れたかね?」
井さんは優しい笑みを浮かべながら、部のさな子に腰掛けた。私はベッドに戻り、正直に首を横に振った。
「いえ……まだ刑務所にいるような気分で、なかなか馴染めません」
私の言葉を聞くと、井さんは「そうだよね」ときく頷き、再び穏やかに笑った。
「最初はみんなそうだよ。ここは確かに、贅沢で楽しい所じゃない。でもね、田さん、考え方次第だよ」 「考え方、ですか?」 「うん。何より、ここは『全』なんだ。暮らしをしていたのことをいしてごらん。あののように、部で転んでけなくなる配がここにはない。
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スタッフが毎必ず見回りに来てくれるし、万が、体調が悪くなってもすぐに気づいてもらえる。事だって、自分で買い物にかなくても毎3ちゃんとてくる。そう考えたら、それほど悪くない所だとわないかい?」
井さんの温かい言葉を聞いているうちに、私の胸の支えがしずつ軽くなっていくのをじた。
「確かに、おっしゃる通りですね……。ここは全なんだ」
暮らしをしていたに毎抱えていた、あの孤独へのは、ここでは綺麗に消えっている。井さんの言葉をきっかけに、私はしずつこの質素な活を受け入れ、しい環境に慣れていくことができた。
でも、やはり活を続けるうちに、辛い現実にも直面した。
つは、プライバシーがほとんどないことだった。案内された部は確かに個だったが、建物の壁が驚くほどかった。私がベッドに横たわっていると、隣の部の音が全部リアルに聞こえてくるのだ。テレビの音、激しい咳払いの音、夜のいいびきの音まで、筒抜けのように聞こえてきた。
さらに、施設のスタッフが定期に見回りに来る。には、ノックもそこそこに、いきなりガチャリとドアをけて入ってくるスタッフもいた。
「田さん、お元気ですかー?」
声をしながら部に踏み込んでくるスタッフの姿を見つめながら、私はので溜息をついた。
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ここには、本当のでのプライバシーなんてしないのだ。
もうつの辛いことは、の自由がないことだった。たまに駅まで散歩にこうとっても、勝にかけることは許されない。必ず事にスタッフステーションにき、許を取らなければならなかった。
「田さん、どちらへくんですか? 何頃に帰ってきますか? で歩いて丈夫ですか?」
若いスタッフから細かく質問攻めにされるたび、私は自分がまるでさな子供扱いされているような屈辱を覚えた。
「……駅まで、1ほど歩いてくるだけですよ」
私は努めて穏やかに答えるが、胸のは複雑だった。しかし、反論したところでルールは変わらない。これが、7万円という価格で私を受け入れてくれている施設の、リアルな現実なのだから、して受け入れるしかなかった。
それでも、この耐える々のに、いくつかの救いも見つかり始めていた。
つは、やはり井さんが言った通り、絶対な「全」だった。アパートにいた頃の私は、夜に胸が苦しくなるたび、このまま誰にもられずにぬのではないかと、恐怖で布団を握りしめていた。しかし、この施設ではそのが切ない。毎必ずスタッフが部のドアをけて顔を見てくれる。その事実だけで、私のは本当に救われていた。
もうつの救いは、施設のにかけがえのない仲ができたことだった。
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