みかん小説
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"消えた子役の日記帳" 第3話

寄りがきしたければ、見たことは全部忘れな」

「子どもや孫のことを考えろ」

佐藤の握る杖が、がたがたと震えた。

彼は結局、を閉ざした。

ほどなくして、佐藤は撮所を辞め、故郷へ帰っていった。

こうして決定な証言は、1つずつに葬られていった。

マスコミは「国民の末っ子失踪」ときく報じた。

監督はカメラので涙を見せた。

「私財を投げ打ってでも、翔太を見つけるために懸賞をかけます」

震える声でそう訴える黒の姿は、「子どもをがる温かい」として世に受け止められた。

方で、世論は次第に歪んでいった。

「母親がちゃんと見ていなかったのでは」

「子役の仕事をさせるからこんなことに」

「親の責任だ」

しみに沈む子へ、世の指は向けられた。

子は毎、閉ざされた撮所の鉄に座り込んだ。

「翔太、ておいで」

声が枯れても、名を呼び続けた。

けれど、鉄かなかった。

は、黒監督が事件の1ヶに製作費の部を着していた状況証拠をつかんでいた。だが、当の会計追跡の段は限られ、層部からの圧力もなり、決定な証拠には届かなかった。

テレビ局の野局は、事件が引くことを恐れていた。

く片付けてくれ。うちの局のイメージに傷がついたら困る」

その話を受けたは、証拠分を理由に捜査報告を急いで締めくくった。

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事件は、単純な失踪として分類された。

捜査は事実、止まった。

は事件ファイルを引きしの奥へしまいながら、拳を握りしめた。

証拠品目録には、翔太の止まった腕計が記されていた。

そのさな計が、にすべての嘘を打ち砕く鍵になるとは、そのにも像できなかった。

事件から3が過ぎた昭63、黒孝志監督は、失踪事件のを踏み台にしたかのように成功をねていた。

作ドラマを次々と成功させ、業界最の演として名をめた。受賞式の台でトロフィーを掲げる姿は、テレビや聞で何度も取りげられた。

はスピーチで、しばしば翔太の名にした。

「この栄を、先にってしまったうちの末っ子、翔太に捧げます」

そう言って言葉を詰まらせ、目元を押さえる。

客席は静まり返り、々は黒だと称えた。

方で、子の暮らしは崩れていった。

縫製の内職も続けられなくなり、さな堂の伝いを点々としながら、かろうじて活をつないだ。子どもを失った罪悪と、世からのない言葉が、子のと体をしずつ削っていった。

、翔太の誕が来ると、子はアンパンを買った。

翔太が番好きだったパンだった。

子は固く閉ざされた撮所の鉄にアンパンを置き、そこをれられなかった。

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「翔太、今も買ってきたよ」

そう呟いても、返事はなかった。

は部署を異したも、翔太の事件を忘れなかった。

彼は自費で事件ファイルを複製し、密かに保管していた。休になると、姿を消した徹の方を探し回った。

ある方の事現で働いていたを見つけた。

さん、15の撮所の件で話が聞きたい」

がそう言うと、は顔を失った。

「私は何もりません。帰ってください」

彼は震えるで現の扉を乱暴に閉めた。

その頃、黒監督は着していた製作費を元に独した制作会社をげ、テレビ業界の実力者としてさらに力をめていた。誰も簡単にはせないになっていた。

が流れるに、子の病状は取り返しのつかないほど悪化していった。

期を悟った子は、最の力を振り絞って翔太の遺品を理した。

古いの箱に、翔太の装、いズック靴の片方、さな絵記帳、そして止まった腕計を入れた。

子は絵記帳をに取った。

ページをくと、翔太のたどたどしい絵と文字が目にび込んできた。撮所の絵、母親の似顔絵、アンパンの絵。子どもらしい線の1つ1つが、子の胸を崩れ落ちそうにさせた。

子は最のページまでめくることができなかった。

そのまま絵記帳を箱の奥にしまい、蓋を閉じた。

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