"十七年目の「ただいま」" 第6話
私は首を振りました。
「違うわ。あなたのせいじゃない。あなたはただ、子どもだったの」
静はまた泣きました。
私は彼女の背を撫で続けました。歳の娘を抱いているつもりで、歳になった静を抱きしめました。
その、私は飯警部に連絡しました。
静はきている。
の遺体は静ではなかった。
千津の届、廃寺の記、そして静本の証言によって、沈黙していた事件はようやくきしました。
元夫の武弘にも警察から連絡が入ったと聞きました。
彼が何を言ったのか、私はりません。
りたいともいませんでした。
私に必だったのは、真実を暴いて誰かを罰することだけではありませんでした。
静に「あなたは悪くない」と伝えること。
それだけでした。
数、私は静を岐阜のへ連れて帰りました。
静のために残していたさな部の戸をけると、彼女は入でち止まりました。
机のの鉛。
壁に貼った賞状。
と乾いたびら。
歳のまま止まった部を見て、静は元を押さえました。
「お母さん……ずっと、残してたの?」
私は頷きました。
「あなたが帰ってくるとっていたから」
静は部のへ入り、机にそっと触れました。
そして、さく言いました。
「ただいま」
私は涙を拭いながら答えました。
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「おかえりなさい」
その言葉を言うために、私はきてきたのだといました。
それからしばらくして、私は引きしののをすべて静に見せました。
百通の。
誕のの。
初のの。
祭りのの。
静は通ずつに取り、震える指で便箋をきました。
「全部、私に?」
「ええ。いつか読んでもらうために」
静は声をげずに泣きました。
私は隣に座り、ただ肩を抱きました。言葉は必ありませんでした。
の空は、簡単には埋まりません。
静は夜に目を覚まし、怯えて泣くこともありました。の音に体をくすることもありました。鏡に映る自分の傷を見て、黙り込むもありました。
それでも、朝になるとで噌汁を作りました。
静は卵焼きを焼くのがで、何度も焦がしました。そのたびに、私たちはしだけ笑いました。
失われたは戻りません。
でも、これからのは作れる。
そうえるようになったのは、静が私の台所にっている姿を見たでした。
あるの、私は最のをきました。
「静。あなたが帰ってきたから、もうこのをく必はありません。これからはのではなく、あなたの隣で話します。今のご飯のこと、庭ののこと、し眠れなかった夜のこと。
全部、あなたに直接話します」
き終えると、私はそのを封筒に入れませんでした。
静に直接渡しました。
彼女は読み終えると、そっと私のを握りました。
「お母さん、待っていてくれてありがとう」
私は首を振りました。
「母親だから待てたんじゃないの。あなたがきていると、私が信じていたから待てたの」
窓のでは、柳の枝がに揺れていました。
、のに止まった私のは、ようやくきしました。
静はもう、歳の女ではありません。
けれど、私にとっては、いつまでもあの帰ってこなかった娘であり、そして今、確かに帰ってきた娘でした。
私は彼女のを握りながら、静かに目を閉じました。
い沈黙は終わりました。
母と娘のは、ここからもう度始まるのです。
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