"消えた女性巡査" 第5話
の階段はところどころ腐り、を置くたびに気な音をてた。
はったより広かった。かつて酒類の貯蔵庫として使われていたのだろう。壁には棚が残り、空の瓶や箱が散乱していた。
その奥に、さな部があった。
扉は古く、属の取っには錆が浮いていた。そして、その扉には側から鍵がかけられていた。
吉田警部は息を止めた。
「けろ」
鍵を慎にし、扉を押しける。
は狭い部だった。窓はなく、のはまったく入らない。懐灯のが壁をなぞった、の隅で属がかすかにった。
錠だった。
そのくには、さな鍵が落ちていた。
誰もすぐには声をせなかった。
佐々は喉が乾くのをじながら、の点を見つめた。
吉田警部が、静かに言った。
「これは事件だ」
その瞬、そこにいた全員が確信した。
田美咲の失踪は、やはり事件だったのだ。
科学捜査研究所による詳細な鑑定が始まった。16という歳により証拠は劣化していたが、DNA鑑定などの最技術により、わずかな報を拾いげることができた。
部の壁には、何かで削ったような跡があった。
を当てると、それは文字のように見えた。
「た……な……か」
技術者が息をんだ。
鑑定の結果、それは「田美咲」と読める文字だった。
おそらく、美咲自が何かいもので壁に刻んだものだった。
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佐々は震える声で呟いた。
「美咲さんは、ここにいたんだ」
錠から検されたわずかなDNAは、美咲のものと致した。警察官として採取されていた資料と照され、結果は確だった。
「違いない。田美咲はここに監禁されていた」
吉田警部は確信を込めて言った。
しかし、たな疑問がまれた。
美咲は今どこにいるのか。
きているのか、くなっているのか。
そして、犯は誰なのか。
の発見は、16止まっていた事件を気にかし始めた。
松荘のが発見された、捜査はさらに拡された。
警察はレーダーを使い、建物の周囲まで徹底に調べた。雑に覆われた裏、崩れかけた塀のく、へ続く細い。そのすべてが捜索対象になった。
やがて建物の裏、雑のから異常な反応が検された。
「何かが埋まっている」
現に緊張がった。
慎な発掘作業が始まった。をしずつ取り除くと、さ1メートルほどの点からい布のようなものが現れた。
それは警察官の制だった。
「美咲の制だ……」
現に呼ばれた田元巡査部は、に汚れた制を見た瞬、膝から力が抜けそうになった。
階級章、名札の痕跡、サイズ。すべてが美咲のものと致した。
しかし、遺体は見つからなかった。
制とともに、美咲の所持品の部が埋められていただけだった。
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「犯は証拠隠滅を図ったのか」
吉田警部は、現を見つめながら言った。
状況から、美咲は松荘で何者かに監禁され、その、別の所へ移された能性がまった。あるいは殺害され、遺体だけが別の所に運ばれたのかもしれない。
捜査本部は再び設置され、規模な捜査が始まった。
だが、16という歳は犯の特定を困難にしていた。当の松荘の関係者への聞き込みがわれたが、廃業の従業員は散り散りになり、連絡を取ることすら難しいもかった。
それでも、唯連絡が取れた元従業員からな証言が得られた。
「廃業の頃、たまに建物にが入りしていました。夜に気がついていたこともあります」
「どんなでしたか」
刑事が尋ねると、元従業員は記憶をたどるように目を細めた。
「はっきりとは分かりません。ただ、の男性だったといます。で来ていました」
松荘に自由に入りできるの物。
そして、美咲を監禁するだけの力を持つ男性。
犯像がしずつ浮かびがってきた。
事件は全国ニュースでも報された。16に消えた女性巡査が、廃旅館のに監禁されていた能性がある。その衝撃はきく、くのが報提供に応じた。
そので、温泉で写真館を営むという男性から証言が寄せられた。
は73歳。散歩が趣で、昔から松荘のくまでよく歩いていた。
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