"消えた女性巡査" 第7話
隣民への聞き込みので、さらにな証言が得られた。
田の自宅くにんでいた主婦が、当のことを覚えていた。
「田さんは2003の頃、よく夜にでかけていました。黒いワゴンでした」
それは、が目撃した審なと致していた。
「ある夜、の荷台から何かを運んでいるのを見かけました。そうなものでした」
その証言を受け、警察は田の元自宅と周辺を詳しく調査することを決定した。
現、田の自宅は別の所者に売却されていた。しい所者の協力を得て、敷の調査がわれた。
レーダーが裏庭の角で異常な反応を示した。
「何かが埋まっている」
現に緊張がった。
慎な発掘作業が始まった。をしずつ掘り返していく。誰も声をさなかった。スコップの音だけが、静かな庭に響いた。
さ2メートルほどの点で、きなビニール袋が発見された。
袋のには、骨が収められていた。
現にいた全員が息をんだ。
法医学者による鑑定の結果、骨は若い女性のものと判した。や骨格の特徴から、美咲の遺骨である能性がいと判断された。
そしてDNA鑑定により、それが田美咲の遺骨であることが確定した。
16の謎が、ついにらかになった。
田清が美咲を松荘に監禁し、その殺害し、遺体を自宅の庭に埋めたと見られた。
広告
ただし、田はすでにしている。や詳細な犯過程について、本のから語られることはなかった。
それでも警察は、能な限り事実を解しようとした。
田の妻、貴子は再び聞き取りに応じた。夫が犯である能性を突きつけられた彼女は、涙を流しながら話した。
「主は昔から、女性に対して異常な執着がありました。特に制を着た女性にい関を示していました」
美咲が温泉をパトロールするたび、田は彼女をじっと見つめていたという。
「主は美咲さんのことを、よく見ていました」
田は美咲に執着し、計画に犯に及んだと推測された。廃業した松荘の管理というを利用し、美咲を何らかの形で建物内へ誘い込んだ。そしてに監禁した。
田がに怪をしていたのは、美咲が抵抗したためだった能性がい。
美咲は最まで抵抗した。
壁に刻まれた「田美咲」の文字は、彼女が残した最の証拠だったのかもしれない。
その文字が、16に真実へとつながった。
2019。
田美咲の遺骨は、16ぶりに族のもとへ戻った。
それは再会と呼ぶにはあまりにも残酷で、けれど待ち続けた族にとっては、ようやく訪れた帰還でもあった。
母の千鶴子は、さな骨壺を両で抱きしめ、声をげて泣いた。
広告
「美咲……お帰りなさい。お母さんは、ずっと待っていたよ」
その声は震えていた。16、娘がどこかできているかもしれないと信じ続けてきた母の希望は、遺骨という形で終わりを告げた。それでも、千鶴子は娘を抱きしめるように骨壺をさなかった。
弟の健太も、姉との最の対面を果たした。
「姉ちゃん、真実が分かってよかった。らかに眠ってください」
健太の隣には妻と子どもがいた。自分の子に、美咲という伯母がいたことをようやく胸を張って語れる。失踪したままのではなく、最まで警察官としてきただったと伝えられる。そのことが、健太にとってせめてもの救いだった。
美咲の葬儀には、くのが参列した。
当の同僚だった田元巡査部、温泉の民、本清子、そして真実の解に尽力した佐々や警察関係者。会には、若きの美咲の写真が飾られていた。制姿の美咲は、まっすぐを見つめていた。
田は焼のでち止まり、くをげた。
「遅くなってすまなかった」
その声は誰にも聞こえないほどさかった。
吉田警部は、参列者ので静かに語った。
「田美咲巡査は、最まで警察官でした。犯に抵抗し、証拠を残しました。壁に刻まれた名が、16に真実を導きました」
会には、すすり泣く声が広がった。
事件は解決した。
しかし、くの課題も残った。
なぜ当初の捜査で松荘を徹底に調べられなかったのか。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
ETCに残らない白バイ
2003年春、千葉県の高速道路を巡回していた女性白バイ隊員・水島舞が、サービスエリアで忽然と姿を消した。 監視カメラには、彼女が白バイを降りて建物へ入る姿が残されていた。だが、その18分後、白バイに乗って走り去ったのは舞ではなく、ヘルメットで顔を隠した見知らぬ男だった。 舞本人も、白バイも見つからない。料金所の記録にも、ETCログにも、その後のはっきりした足取りは残っていなかった。 結婚を控えていた婚約者、娘の帰りを待ち続ける両親、そして答えを出せないまま止まった捜査。 10年後、古い監視映像を最新技術で解析した時、画面の隅に映っていた“あるもの”が、事件を再び動かし始める。 白いバイクは、どこへ消えたのか。 そして水島舞が最後に見た人物とは――。ミステリー|行方不明1.7萬字5 213 -
完結第11話
雪峠の五発
2006年11月15日、長野県北部。 その年最初の雪が降り始めた高木峠へ、1人の巡査が向かった。展望台に不審な車があるという匿名通報を受け、霧谷慎也は「確認だけ」のつもりでパトカーを走らせる。 だが午後6時15分、現場到着を知らせる無線を最後に、慎也からの連絡は途絶えた。 雪の展望台に残されていたのは、鍵のかかったパトカーと、車内に置かれた制帽と手袋。慎也本人だけが、吹雪の峠から忽然と姿を消していた。 事故なのか、事件なのか。誰かに連れ去られたのか。それとも、自ら山へ入ったのか。 妻と幼い娘は、答えのないまま13年を過ごすことになる。 そして2019年春。雪解けの斜面から、慎也が持っていた古い懐中電灯が見つかった。 13年間沈黙していた峠が、初めて返した小さな手がかり。 その光の先に隠されていたのは、匿名通報の本当の意味と、雪の下に封じられていた一夜の真実だった。ミステリー|行方不明1.7萬字5 535 -
完結第13話
5枚で消された妻
1994年4月、長野県の山あいにある古いビジネスホテルで、31歳の女性・高橋美幸が冷たくなって発見された。 部屋には睡眠薬の空箱と酒の瓶。夫との離婚調停を控えていたこともあり、警察は早々に「事件性なし」と判断する。記録はわずか5枚だけ。母のよし子がどれだけ訴えても、娘の死が再び調べられることはなかった。 それから12年。 美幸の夫だった男は別の町で再婚し、真面目な父親として穏やかに暮らしていた。一方、よし子は痛む膝を抱えながら、毎年娘の墓へ通い続ける。 「娘は、自分から死を選ぶような子ではない」 誰にも届かなかったその言葉が、ある夜、古い薬物帳簿に残された一つの名前によって動き出す。 12年前のホテルで、本当は何が起きたのか。 そして、たった5枚の記録が隠していた真実とは――。ミステリー|行方不明1.9萬字5 392 -
完結第13話
床下の学級日誌
1995年、福岡の小さな離島・相島に、一人の若い女教師が赴任してきた。 藤野理子、26歳。全校児童わずか11人の分校で、子どもたち一人ひとりに寄り添い、島の人々にも少しずつ受け入れられていく。だが彼女は、ある少女の腕に残る不自然な痣に気づいてしまう。 「このまま見過ごすことはできない」 そう決意した夕暮れ、理子は本土へ渡ろうとしていた。しかし、その日を境に彼女は島から姿を消す。 残された荷物、桟橋で見つかったスカーフ、そして口を閉ざした11人の子どもたち。 警察はやがて、理子が自ら島を出た可能性が高いと判断する。けれど、子どもたちは知っていた。 あの日、桟橋で本当に何が起きたのかを。 それから10年後、取り壊される分校の床下から、理子の学級日誌と万年筆が見つかる。封じられていた記憶が、静かに動き出した――。ミステリー|行方不明1.9萬字5 216 -
完結第10話
白木蓮の偽証
2003年、東京大学法学部を卒業し、都内で弁護士として働いていた藤代優一が、長野の実家へ帰省した後に姿を消した。 継母・沢子は「東京へ帰ると言って家を出ました」と涙ながらに証言し、防犯カメラにも優一らしき男の姿が映っていた。携帯電話の記録も長野から東京へ移動しており、警察は彼が東京へ向かった後に何かに巻き込まれたと考えた。 しかし17年後、空き家となった藤代家の解体工事中、庭の白木蓮の根元から一体の人骨が見つかる。 それは、東京へ帰ったはずの優一だった。 当時の捜査で継母の涙を信じた元刑事・黒瀬は、再び事件と向き合うことになる。防犯カメラに映った男は誰だったのか。なぜ携帯電話は東京まで移動していたのか。そして沢子は、何を守るために嘘をついたのか。 白木蓮の下に17年間埋められていたのは、遺体だけではなかった。ミステリー|行方不明1.5萬字5 134