"浴室の鍵" 第3話
夜になれば、起きして徘徊しようとする母をなだめて寝かしつけ、母の汚れたシーツを涙をこらえながら夜の洗面所で洗いする々。
でも番の労働は母の入浴介助だった。 に濡れたの体を支えるのは像以に過酷だった。 狭い浴でを踏ん張り、滑らないように母の体を洗うだけで、私の腰は鳴をげた。 母自もを脱がされることに抵抗をじるようになっており、お呂に入れるだけで 1 以かかることもざらだった。 性な眠と疲労で、私の体は常に鉛のようにく、はすり減っていった。
それでも浩司は母のを完全に無し続けた。 たまにリビングで母と顔をわせても、あからさまに嫌な顔をして部をていくだけだった。 義母もまた容赦なかった。 「自分の親の介護なんかで浩司に迷惑をかけるんじゃないわよ。男の嫁としての務めを怠るなんて、本当にかましいね。」 話でそう言い放つ義母の声に、私はただ「申し訳ありません」と謝ることしかできなかった。
誰にも頼れず、誰からも謝されない毎。 好きだった母の顔が、認症によってしずつげな表に変わっていくしみ。 鏡に映る自分の顔はひどくやつれ、気を失っていた。 「このまま私はここで静かにんでいくのかな?」
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夜、リビングで、そんな考えがをよぎることもなくなかった。
こんな限界ギリギリの々が数ヶ続いたあるの夕だった。 浩司は珍しく嫌でビールをみながら、突然をいた。 「おも毎変だろう。親族のつてでく引き受けてくれる男性介護師を見つけた。」 その言葉に私はを疑った。 あの浩司が私の配をしてくれて、介護を伝う配をしてくれた。 信じられないいで顔をげると、浩司の元にはどこか計算く、ひどくたい笑みが浮かんでいた。 「俺が特別に頼み込んでやったんだ。しっかり謝しろよ。」
それが全ての歯が狂い始める図だった。 翌、がのチャイムを鳴らしたその物の顔を見て、私はい違を覚えることになる。 彼の爽やかな笑顔の裏に、私と母をどん底に突き落とすおぞましい悪が隠されていることなど、るよしもなかった。
「ゆみ子おばさん、ご無汰しています。おばさんの負担をしでも減らしたいとって僕、来ました。」 翌の夕方、がの玄関にっていたのは夫の妹の息子、私にとっては義理の甥にあたる達也だった。 30 代半になる彼は、清潔のあるポロシャツにチノパンという軽な格好で、なつっこい爽やかな笑顔を浮かべていた。
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「達也くんが介護をしてくれるの?」 驚きで目を丸くする私を尻目に、リビングからどかどかと音をてて浩司がやってきた。 「昨言っただろう。達也は訪問介護の資格を持っているんだ。最はフリーで仕事を受けているらしいから、俺が特別に頼み込んで、うちのばあさんの世話を伝ってもらうことになった。」 浩司は腕を組み、まるで自分が偉な事業でも成し遂げたかのように胸を張った。
達也は々とをげた。 「おじさんから、おばあちゃんの認症がんでおばさんがで抱え込んでいるって聞きました。僕でよければ、週に数回力仕事や入浴のお伝いをさせてください。」
その言葉は、連の寝と疲労で限界に達していた私のに、温かいお茶のように染み渡った。 「ありがとう。本当に助かるわ。」 私が素直にをげると、達也は「族なんですから、臭いこと言わないでくださいよ」と屈託なく笑った。
しかし堵すると同に、私の胸の奥にはさな、しかし無できない違がチクリと刺さっていた。 あの浩司さんがわざわざおをして介護師を頼むなんて。 夫の浩司は昔から極端なほど銭に執着する男だった。 私の実母との同居が決まったも、「俺の稼いだからおの親の活費をすなんて冗談じゃない」
と激したほどだ。 々の費や母の用品すらし渋り、私が自分のわずかな貯を切り崩してやりくりしていることをっていながら、見てみぬふりをしてきた。
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