"赤いドレスの代償" 第9話
ガチャリと扉がき、数のスーツ姿の男性たちが入してきた。健は勢いよくをげ、るい声で挨拶をした。 「本はいところ、が社へようこそお越しくださいました!」 しかし、健の元気な挨拶は途でぴたりと自然に止まった。ゆっくりと顔をげた彼の線の先にいたのは、彼が像していたような企業の役員ではなかった。
屈なスーツ姿の男性たちので、静かに、そして凛としたたい瞳でこちらを見据えている物。それは、今朝から追いしたはずの、ただの専業主婦である私だった。 「な、ぜ……おがそこにいるんだ……!?」 健の震える抜けな声が、静まり返った応接に虚しく響き渡った。
無理もない。彼が今この部で最も待ち望んでいたのは、自社の運命を救ってくれる企業、佐藤ホールディングスの役たちだったはずだ。しかし、その屈なスーツ姿の男たちのにっていたのは、「ゴミは捨ててからていけ」と吐き捨てたばかりの妻である私だったのだから。
健の隣で、の美が苛ったようにヒールの音を鳴らしてにた。 「ちょっと、どういうつもりですか!? ここは社よ。あなたみたいなヨレヨレのおばさんが来る所じゃないわ。警備員を呼ぶわよ!」 美のかい声が響いたその瞬、私の隣にっていた、縁メガネをかけた髪混じりの男性が、静かに、しかし威厳のあるい声でをいた。
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「言葉を慎みなさい。あなたは今、佐藤ホールディングスの最財務顧問であり、々にとって最の恩である弓先に向かって暴言を吐いているのですよ」
その男性の言葉に、健と美はポカンとをけ、まるで理解できない国語を聞いたかのように固まった。 「は、お、恩……? 財務顧問……? 何の冗談だ! こいつはただの専業主婦だぞ! 卒で俺の会社を伝っていただけの、ただの無能な女だ!」 健が顔を真っ赤にして叫ぶ。その男性は呆れたようにきな溜め息をつき、スーツの内ポケットから名刺を取りしてテーブルに置いた。 「失礼いたしました。私は佐藤ホールディングスの専属弁護士、と申します。田社、あなたは26も連れ添いながら、ご自分の奥様の過を何もごなかったようですね」
弁護士のややかな線に射抜かれ、健はずさりした。 「26、まだ規模がさかった佐藤会の会社は、取引先の裏切りによって莫な負債を抱え、倒産の危に瀕していました。その、複雑に絡みった帳簿の嘘を見抜き、完璧な再建計画をてて会社を救った若き才コンサルタント。それが当26歳だった田弓先です。会は今でも弓先のことを、命の恩としてく尊敬しておられます」
その言葉を聞き、健の顔から気に血の気が引いた。
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娘の結婚式であの偉な佐藤会が、なぜ私に対して90度に腰を折ってをげたのか。その理由がようやく彼のので結びついたのだろう。
私は静かにをいた。 「あなたと結婚する、私はコンサルタントとしてのキャリアをすべて捨てました。『男の俺より稼ぐ女は嫌だ。俺が会社をきくするから、おはでしくしていろ』、あなたがそう言ったからです。当の私は、健の器用だけれど真っ直ぐなを信じていた。だから自分の経歴を隠し、ただの健の妻としてきることを選んだ。会社をちげたばかりの頃、夜に私が帳をつけ、の融資の類をえ、無謀な投資を裏で止めていたのは、すべて私の過の識があったからだ。しかし健は、会社が軌に乗るとそれをすべて自分の実力だと勘違いした。そして私を代遅れの古い女と呼び、若い美を経理として雇い入れ、私を会社から完全に追いしたのだ」
「そ、そんなの嘘だろ……。おが、あの佐藤会の恩……? じゃあ、今の業務提携の話は……」 健はすがるような目で弁護士を見た。弁護士は無慈に首を横に振った。 「業務提携? 勘違いしないでいただきたい。々が本ここへ参ったのは、そのような甘い話のためではありません」
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