みかん小説
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"赤いドレスの代償" 第21話

私はこれまで押し殺してきたの蓋をしだけけた。 「おむつを変えたことも、を握ってあげたこともないあなたが? 義母のこと『お荷物』と呼び捨てにしていたあなたが、義母をっていたというの?」

私は鞄のから、さな黒いICレコーダーを取りした。 「義母があなたたちに1円も残さなかった本当の理由、それはあなた自番よく分かっているはずよ」 私は静かに再ボタンを押した。静まり返った座敷に、かつての健の残酷な声が響き渡る。

『おいババァ! 聞こえてるなら通帳の暗証番号を教えろ! どうせもうすぐぬんだ、最くらい役にて!』

、から「もうくない」と宣告された、健が1度だけ義母の病を訪れたの録音データだった。私は健が義母に暴力を振るわないか配で、病の棚に密かにレコーダーを隠していたのだ。音声は続く。

『なんだよ、その目は。俺はおを養うために忙しいんだ。んで、を俺によこせ! おい、弓、こいつがぬまでもう俺を呼ぶな、の無駄だ!』 バタンとドアが乱暴に閉まる音で録音は終わった。

の顔は、完全に真っになっていた。自分が吐き捨てた醜い言葉の数々が、何を経て、これほどまでに残酷な形で自分に突き刺さるとは像もしていなかったのだろう。

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「義母は認症で記憶が混濁していても、あなたのあの言葉とたい目ははっきりと理解していました」 私は録音をしまいながら静かに言った。 「あの、あなたが帰った、義母は子供のように声をげて泣きました。あんなに育てた覚えはないと。そして私にをついて謝ってくれたんです。『弓さん、今まで本当にごめんなさい。私の最の財産は、どうかあなたが受け取って』とね」

義母からの遺産はただのおではない。私の8の苦しみと報われなかった々への、義母なりの最の贖罪だったのだ。 「会社の借5000万円、そしてこのの借8000万円。わせて1億3000万円の負債」 私はいつくばる健を見ろした。 「兄弟全員が相続放棄をすれば、男であるあなたがそのすべてを1で背負うことになります」

をパクパクとかしたが、声にならなかった。彼のプライドも財産も族も会社も、今完全に崩壊したのだ。しかし、私の静かなる復讐はまだ終わっていなかった。 「健さん」 私は鞄のから、最にもう1つの緑を取りし、彼のの届く所に置いた。 「あなたが私に突きつけた、この婚届。今すぐここにサインと捺印をしてください」

はビクッと体を震わせた。婚すれば、彼は本当にたった1で、1億3000万円の借獄に落ちることになる。

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しかし彼がサインを躊躇していると、私はたく微笑んで、次なる獄への扉をいた。 「まだサインを迷う理由があるのかしら? そういえば、あのの美さん、昨警察に逮捕されたそうですよ」 「え……?」 健の顔が、絶望とは違う、たな恐怖に引きつった。彼がまだらない最の裏切りと真実が、ここからかされるのだ。

「た、逮捕……? 美が逮捕された、だと……!?」 健のかすれた声が、線の匂いが漂う暗い座敷に落ちた。彼の目はうつろに泳ぎ、元はだらしなく半きになっている。1億3000万円という絶望な借の事実を突きつけられ、すでにともに限界を迎えていた彼にとって、その言葉は完全に理解の範疇を超えているようだった。

「ええ、昨の夕方のことです」 私は畳のに正座したまま、まるで今気を伝えるような、ごく自然で落ち着いた声で答えた。 「投資詐欺に遭って分無しになった美さんは、パニックに陥りました。そして、あなたの会社の庫に残っていた現をすべて鞄に詰め込み、へ逃しようとしたんです。しかし、すでに会社の財務を管理に置いていた佐藤ホールディングスの監査チームが、彼女のきを完全に監していました。彼女は空港へ向かう途で、業務横領の容疑で警察に引き渡されました」

は喉の奥で「ひっ」と鳴をげた。自分がし、のすべてをかけてに入れようとした若い美しいが、自分を裏切っただけでなく、犯罪者として錠をかけられたのだ。

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