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"録音機が暴いた義実家" 第25話

「母さん……」

私がわず呟いたほど、その姿は変わり果てていた。級な着物やブランド品で着飾り、町内会でも評判の奥様としてふんぞり返っていた68歳の母の面は、どこにもない。

髪混じりの髪はボサボサに乱れ、化粧のはげた顔にはいシワが刻まれ、実齢より10歳は老け込んで見えた。のスウェットを着た母は力なく子に座ると、私を見てすがるように目をうるませた。 「た、たかし、来てくれたのね! ああ、よかった……お母さん、こんなたい部刻もいたくないの」

母はアクリル板にすがりつくように両を当てた。 「ねえ、たかし、警察のに言ってちょうだい。これは族のちょっとしたき違いだって。お父さんにも言って、く私をあのに返して。ゆみさんにも謝るから、これからは優しくするから、ねえ、お願い!」

自分の置かれているが、全く理解できていない。私はアクリル板越しに母の濁った目を見据え、氷のようにたい声で告げた。 「帰るなんて、もうないよ」

「え……?」 母の顔から、わずかに残っていた表が消え失せた。 「親父はあんたとは絶対に婚すると言って、すでにた。あのは今、の売りにされている。もうすぐに渡るんだ」 「う、嘘よ! だってお父さん、あんなにあのを気に入って……」 「弓から脅し取ったおと慰謝料の600万は、親父が退職から全額払ってくれた。

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親父の老の資を、あんたたちがいつぶしたんだ。親父は今、ボロボロの賃5万円のアパートで1で暮らしているよ」

私の言葉が、い鉛の弾のように1つ1つ母の胸に突き刺さっていく。 「あ……あ……」 「仮にここからられたとしても、あんたに帰る所はない。親父から1円の財産分与も受けられないだろうし、逆に慰謝料を請求されるだ。おまけに、あのさゆりさんが町内会にことの顛末を言いふらしたおかげで、実所では、あんたは嫁からを脅し取って逮捕された欲な姑として完全にだ。あの町であんたに声をかけてくれるは、もう1もいないよ」

、世体、良妻賢母の仮面、派な――母が30かけて必に守り、見栄を張ってきたすべてのものが、完全に消滅したのだと宣告した。 「嫌、嫌だ! いやああっ! 私の、私のが……!」

母は両を抱え、アクリル板にガンガンと額を打ち付けながら、獣のように泣き喚き始めた。 「私は男の嫁として、お姑さんにいじめられながら必にあのを守ってきたのよ! なのに、どうしてこの私が、あんな女のせいでこんな目に遭わなきゃいけないのよ!!」

どこまでものせいにし、自分の罪と向きおうとしない醜い姿。私は溜息をつ吐き、静かにがった。 「もういい。そうやってのせいにして、たい塀ので泣いていればいい。

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度と俺たちに関わるな」 「待って、たかし! 待ってちょうだい、たかしぃ!」

から聞こえる母の絶叫を背に、私は振り返ることなく面会た。

続いて面会に現れたのは、妹の美穂だった。彼女もまた、見るもないほどやつれ果て、目は落ち窪んでいた。私を見るなり、 「お兄ちゃん、助けて! 私悪くないの、全部お母さんが……!」 と泣き喚いたが、私はたく瞥しただけだった。 「美穂、おはもう32歳だ。自分のやったことの責任は自分で取れ。弓のおで買ったブランドバッグも級なも全部売り払って、親父に慰謝料を返せ」 「嫌だ! 刑務所なんて嫌! お兄ちゃん、私、たった1の妹でしょう!?」

「俺の族は、弓とナナだけだ。おみたいな犯罪者の妹は、今限りでんだとうことにする」 「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」

面会の分い鉄の扉が閉まると、の泣き叫ぶ声は完全に遮断され、廊には静寂だけが残った。

警察署のると、抜けるような青空が広がっていた。たいが、照った私の頬を優しく撫でていく。

議なほど、は軽かった。38、「族だから」という呪縛に囚われ、見えない鎖で繋がれていた私自も、ようやく解放されたのだと実した。もう誰も、私たちのを邪魔するものはない。誰も弓を理尽な理由で泣かせるものはないのだ。

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