みかん小説
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"マカオに消えた花嫁" 第7話

『あ…』という鳴。子の体が、ふわりと宙に浮いたように見えました。そして、ゴツンという、それまで度も聞いたことのない鈍い音が響いた。彼女の華奢な体は、無質なコンクリートの止めに吸い込まれるように倒れ込んでいました」

取調べの空気が、さらにくなる。 「静寂でした。のエンジン音も、くで聞こえるカジノの喧騒も、何もかもが消えった。私のに聞こえるのは、自分の臓が暴れ狂う音だけ。恐る恐る駆け寄ると、倒れた子の部から、じわりと暗い液体が広がっていくのが見えました。『子……おい、子……』。揺さぶっても返事はない。ピクリともかない。その体は、驚くほど急速にぬくもりを失っていくようだった。図しない、あまりにも突然の。パニックが全を支配しました。警察に言わなきゃ、救急を、と」

浩司はを抱え、を見つめた。 「しかし、私の脳裏を支配したのは、正義や悔ではなく、幼い頃から刷り込まれてきた、烈な『恥』のだったんです。婚旅で妻をなせた男。両親に何と言えばいい、会社には、世は何と言うだろうか。このスキャンダルは、真面目にきてきた両親の顔にを塗ることになる。その恐怖が、私から正常な判断力を完全に奪いりました。コロアンの森に、誰も来ない静かな所に……。

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それはもはや論理考ではなく、恐怖から逃れるための、な本能でした。私は震える子の遺体をのトランクに押し込み、に紛れて島をしたんです。そして、現にコンタクトを取り、持ちのを叩いてキネラという偽の分をに入れました。本に帰るという選択肢は、私のにはもうなかった。アジアの喧騒から逃れるには、田浩司というそのものを消しるしかなかったのです」

浩司は語り終えると、く項垂れた。 12、毎晩のようにで見た景。それは悪でありながら、彼が決して忘れてはならない罪の景だった。 内の静寂のに、取り返しのつかない過ちを犯した男の、静かな嗚咽だけが響いていた。

浩司の震える指が示した図の1点を頼りに、捜査チームは再びコロアンの森へとを踏み入れた。 12、絶望に駆られた浩司が、に紛れて駆け込んだ所だ。 帯の植物がい茂る森は、の罪を隠すかのように、この12でその様相をさらにく変えていた。 が入れない斜面を、捜査員たちはナタでを払いながらんでいく。 湿ったの匂いと、腐葉が発酵する独特の甘いりがち込め、汗ばんだ肌にまとわりついた。

に及ぶ捜索の末、属探がかすかな反応を示した。

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子がに付けていたネックレスだった。 その周辺のを慎に掘り起こすと、やがていものが見え始める。 それは違いなくの骨だった。12の歳を経て、に還ろうとしていた子の遺骨だった。

法医学鑑定の結果は、浩司の供述を裏付けた。 蓋骨に残された骨折の痕跡は、い衝撃によるものであることを示しており、「転倒による事故」という彼の主張と矛盾しなかった。 失踪事件は最悪の形で殺事件として捜査される能性もあったが、これにより傷害致、あるいは過失致という側面がくなった。

マカオの裁判所の法廷は、ポルトガル統治代の名残を濃く残す、の内装が厳粛な雰囲気を醸ししていた。 裁判官が話すのはポルトガル語。検察官や弁護士が話すのは広語。 浩司のには、そのどちらもをなさない音の洪として届き、イヤホンから聞こえる本語通訳の声だけが、彼を現実と繋ぎ止めていた。 褪せた囚を包んだ彼は、たださく、無力に見えた。 本の族が配した弁護士は、事故であったこと、そしてい悔悟のを繰り返し主張した。

最終に、マカオの裁判所がした判決は、過失致、遺体隠匿、そして未分証偽造の罪で、懲役7。 それは、本の量刑覚に照らしわせても決してすぎるとは言えない、妥当な判決だった。

浩司は判決を聞いても表ひとつ変えず、静かにげた。

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