みかん小説
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"双子の消えた春" 第15話

ははっと顔をげました。涙でぐしゃぐしゃになった顔で、信夫さんの目にも涙が滲んでいましたけれども、その元にはを経てたどり着いた穏やかな表が浮かんでいたのです。

「週、おきていてくれた」信夫さんの声は震えていました。「あの、おまでいなくなっていたら、私は何もることができなかった。あの子たちが最にどこでどう過ごしたのか、誰と緒だったのか、全部分からないままだった」

信夫さんは週の肩をく掴みました。「きていてくれてありがとう。よくでこらえてくれた」

その言葉に週はもう声もませんでした。ただ子供のように声をげて泣きじゃくりました。子さんもその傍らで膝をつき、週の背を何度も何度もさすりました。

「もうじゃないんですよ、週さん」子さんは涙ながらに言いました。「あなたは私たちの息子です。也と達也のお兄ちゃんです。これからは緒にきていきましょうね」

桜のびらがはらはらとい落ちていました。血の繋がった親子がようやく本当の会えたその瞬が柔らかくを包んでいました。

その、週は初めて双子の最のことを両親に語りました。を見て目を輝かせていた也のこと。

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辺で子供のようにり回っていた達也のこと。さな堂でべた温かい噌汁のこと。「兄さん、また来るよ」と笑ったの顔のこと。

語る週の声は涙に濡れていましたけれど、それはもうただしいだけの涙ではありませんでした。あのが確かに幸せだったのだと、あの子たちは確かに笑っていたのだと、それをようやく族に伝えることができた、らぎの涙でもあったのです。

聞きながら子さんは泣き、そして笑いました。「そう、そうですか。あの子たち、楽しそうで本当に良かった」信夫さんも目をうるませながら何度も頷いていました。がようやくれた瞬でした。

それからが流れました。週は事故に関する全ての続きを終えました。が経っていたこともあり、また彼が誠実に全てを打ちけたことが認められ、週は再び普通に社会のきていくことができました。

は折に触れ、野のあの団を尋ねるようになりました。信夫さんと子さんとでこたつを囲み、どうでもいい世話や双子の話をぽつぽつと語りう。それはに失われたはずの族のが、形を変えて静かに蘇った瞬でした。

そして再び桜のが巡ってきました。その朝、さな卓にはいつものように双子の分のつの茶碗が並べられていましたけれど、その朝はつだけいつもと違うことがありました。

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茶碗がつ並んでいたのです。つは也の、つは達也の、そしてもうつはその泊まりに来ていた週の分でした。

「さあ、できましたよ」子さんが台所から湯気の噌汁を運んできました。卓には信夫さん、子さん、そして週。双子の空の茶碗を挟んで、残された族が初めてつの卓を囲んでいました。

「いただきます」の声が静かに揃いました。窓の、町のの桜が満でした。柔らかな朝のが部いっぱいに差し込んでいます。どこかくから畑を耕すトラクターの音がのんびりと聞こえてきました。

のシャッターは随分増えてしまいました。豆腐のラッパの音ももう聞こえません。町はあの頃とはすっかり変わってしまいました。それでもになれば桜は変わらずに咲き、田んぼにはが張られます。はどんなにしみのでも、失ったものを胸に抱きながら、それでもまたがりきていくのです。

「うまいなあ」噌汁を啜った信夫さんがぽつりとつぶやきました。に笑わない父の、ほんのわずかに緩んだ元。それは格通が届いたあの夜と同じ穏やかな表でした。

子さんが笑いました。週も釣られて笑いました。つの空いた茶碗のその向こうで、きっと也と達也も、あの世の方でそっくりな笑顔を浮かべていたことでしょう。

い沈黙の果てに、族はようやく本当ので再びつになったのでした。を渡るが、静かに静かにその町を包んでいました。

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