"隠された十五年の物語" 第11話
湯呑みはつ。
茶はくの茶で買った、居の特産品ではないごく普通の番茶だった。
はずつそれをんだ。
それからちがった。
の玄関の鍵はわざと閉めずにそのをった。
ノートの番最の裏表に、裏返しにこうかれていた。
「ただいま」
それはのにわたるい々を、たったで言い表すい言葉だった。
宅はもう度くく息を吐いた。
窓のでは夜がゆっくりと訪れ始めていた。
「、黒田のへこう」
「はい」
「あの蔵へこう」
「はい」
はただ静かに頷いた。
に消えた女に、ようやく々がを差し伸べにく朝が今訪れようとしていた。
そのの来事を、宅警部は何経っても鮮に覚えていた。
カセットテープを聴き終えた翌朝、まだ夜が完全にけきらないい、宅とはをし、の町にある黒田のへ向かった。
捜索差押許を取得したでの慎な訪問だった。
その朝の黒田の様子は、本の取調べ調として警察署に詳しく記録されることになる。
訪問したのは午過ぎだった。
寝起きの黒田が玄関にてきて、宅の刑事証を見た瞬、肩が瞬きく揺れた。
だがそれきり揺は見せなかった。
「やっと来てくれたか」
とく呟いたという。
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黒田はもう歳を超えていた。
腰は曲がり、肩は落ちていた。
、岸本夫婦がこの町へ移りんだ頃の、代半の頃の面はもう残っていなかった。
任同を求められた、彼は着を枚羽織り、奥にいる妻に「ってくる」と言だけ告げ、に玄関をてきた。
妻は玄関先にち尽くしたまま、しばらくけなかった。
そののうちに、黒田の父の畑の奥にある古い蔵が捜索のためけられた。
蔵はらく使われていないらしく、入の鉄の錠は赤茶に錆びついていた。
鑑識の若い職員が慎に錠を壊し扉をけた瞬、内側からたいのにおいが流れした。
はが剥きしのだった。
職員たちはゆっくりと慎にを掘りめていった。
そして入から数メートルほどの浅い所から、さない骨の破片が現れた。
それは骨だった。
宅は蔵の入にち、その破片を見届けた。
何も言わなかった。
ただ空を見げた。
の青い空が、蔵の根の縁に細く切り取られて見えていた。
しずつ、しずつ骨の全体が掘りされていく、のからつののさな字ペンダントが現れた。
鎖は半分腐していたが、字表面の細かい彫刻はまだはっきりと残っていた。
平成、美が叔母のをる首からげていた、世界につしかないペンダントだった。
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「美ちゃん」
宅はのでゆっくりとその名を呼んだ。
桜並ので笑う女が、ようやくいのから自分のもとへ帰ってきたのだ。
が経っていた。
その、宅はもうつの調査をめていた。
ノートの最に記されていた所と古い記者の名。
それを頼りに、岸本夫婦があの朝郵便で送りしたもうセットの記録の方を追い続けていたのだ。
宛先は隣のの方に勤めていた宮坂という記者だった。
宮坂は社会事件の記事を執してきた物で、平成の崎美失踪事件についても当追加取材を続けていた。
記事ので警察が黒田を証拠分で釈放したことに対し、宮坂はい疑問を投げかけていただった。
ノートの記述から、岸本は平成代半ば頃から度々宮坂のもとを訪ね、互いにい信頼を築いていた様子がうかがえた。
黒田の取りをいつか記事にして世にらしめたいという夫婦の願いを、宮坂は黙って聞きメモを取り、期を待つことに同していた物だった。
しかし宅がその方の本部へ問いわせて分かったのは、宮坂がもうこの世にいないということだった。
宮坂は平成の、の町のをてからわずか半、自宅で脳溢血を起こして倒れ、そのまま識を取り戻さずにくなったという。
享歳。
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