みかん小説
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"支えを手放す日" 第1話

これからは自由だ。

もうあの面倒な妻の顔を見ることもない。

その声はくのがき交う空港の到着ロビーで、際るく響いた。

ハワイからの直便が到着したばかりの午。

きなスーツケースを転がしながら歩いてくるのは孝志、48歳。

焼けした顔にはのフライトの疲れなど微もじさせない、勝ち誇ったような笑みが浮かんでいる。

ふふ、本当に最でしたね。

隣を歩くのは元妻であり、現の孝志のである佐々レーナ、35歳だ。

彼女の細い腕には今回の旅で孝志に買ってもらったばかりの真しい級ブランドのバッグが事そうに抱えられている。

ああ、最だったな。

これからはでこうやって贅沢なを楽しもう。

俺を縛るものはもう何もないんだからな。

でも奥さん。あ、もういか。ってないですか?婚したばかりなのに私と旅なんて。

あいつは非常にい女だからな。俺がいなきゃ何もできないし、文句つ言えないさ。

それになんだかんだ言って俺のの回りのことやうちの親の世話も放りせない性格なんだよ。

孝志はおかしそうにふんわり笑った。

席を抜いたって俺の活は今まで通りだ。

あいつはこれからも俺の座に黙っておを振り込み続ける、そういう女なんだよ。

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ああ、孝志さんってば。悪いでもそんな余裕のある孝志さん、私好きです。

は顔を見わせ楽しげに笑い声をげた。

だがこの孝志は全く気づいていなかった。

自分が自由だと信じて疑わないその翼が体誰の力で羽ばたけているのかを。

そして数分にはその翼が完全に折れ、たい面へと叩き落とされることになるということ。

到着ゲートからしれた柱の。

そこにの女性が静かにっていた。

美奈、44歳の元妻である。

グレーの落ち着いたスーツにを包んだ美奈は到着ロビーからてくる々を無表のまま見つめていた。

りに震えているわけではない。

しみに暮れて涙を流しているわけでもない。

ただひたすらに静かだった。

元のスマートフォンがく震えた。

画面に目を落とすと顧問弁護士である藤堂稽古からのメッセージが表示されている。

送止、実への援助終、共座の紐付け解除、全て予定通り本続き完いたしました。

その文章を読み美奈は「確認いたしました」とだけ返信した。

続いて別の通が入る。

学の娘、彩佳からだ。

お母さん、終わった。

美奈の指先が画面ので迷いなくく。

終わったよ。

メッセージを送信し、スマートフォンをバッグにしまうと美奈は顔をげた。

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線の先にはと腕を組み、周囲の目を気にすることなくはしゃぐ元夫の姿がある。

20、夫の活費、彼の実への援助、夫が作った借の理、そして彼がで見栄を張るための交際費まで。

美奈は自の職業から静におを管理し、黙って彼を支え続けてきた。

どれだけ尽くしても謝されることはなく、浮気や理尽な求にも耐えんできた。

全ては族だからという、ただつの理由のためだった。

しかしそのにはもう終わった。

彼がとの旅を計画し、当然のように美奈が管理するカードで決済をした、美奈ので何かが完全にめ切ったのだ。

あれ?おい、嘘だろ?

に孝志のが止まった。

彼の線が混みので静かに佇む美奈を捉えたのだ。

瞬孝志の顔に驚きのがった。

しかしそれはすぐに消えり、いつもの見したような憂いへと変わっていく。

わざわざ迎えに来たのか。おも暇なだな。

孝志はレーナを連れたまま堂々とした取りで美奈の方へと歩み寄ってきた。

レーナは突然現れた元妻の姿にし構えたが、孝志の余裕のある態度を見てすぐに勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

あら、お迎えですか?ご苦労様です。

レーナの嫌な言葉にも美奈はじない。

未練があるのは分かるが、みっともない真似は寄せよう。

俺たちはもうなんだ。

孝志は呆れたようにため息をつく。

普通ならここで元妻が泣き叫ぶか、りに任せて声を荒げる面だろう。

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