"支えを手放す日" 第6話
その、美奈が静かにをいた。
彼があなたに何と説していたかはりませんが、事実だけをお伝えします。
美奈は担当のにさく頷きかけた。
は元の類を枚めくり、事務な声で読みげ始めた。
孝志様名義の座には現まとまった貯蓄はございません。
料の振り込みはございますが、毎のカードの引き落とし額がそれをきく回っており、分は全て美奈様の個座からの自送によって補填されておりました。
な、レーナは言葉を失い、ブランドバッグを抱えるに力が入った。
つまり、美奈が静かに続ける。
彼の活は私が毎おを補填しなければヶとも成りたない自転操業だったということです。
やめろ。それ以言うな。
孝志はちがり、美奈に向かってを振りげようとした。
しかしそのは空を切った。
美奈が歩も引かずややかな線で彼を見ていたからだ。
事実を言われてるのなら、ご自の力で証なさればいいではありませんか?
今から送は切ありません。カードも使えません。
それでも今までと同じように余裕のある活を続けて見せればいいのです。
美奈の言葉は孝志の逃げを完全に塞いでいた。
証するだと、どうやって。
孝志のので激しい絶望が渦を巻き始めた。
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貯はない。クレジットカードは使えない。実への仕送りも止まり、次から次へと支払いの請求が来るだろう。
あ、孝志ははっとあることに気づいた。
俺の、俺のはどうなる?
あののローンはもちろん、引き落とし座は変更させていただきます。
美奈の代わりにが徹な事実を告げた。
これまでは美奈様の座から引き落とされておりましたが、来からは孝志様の座へのご請求となります。
払えるわけがないだろう、あんな額なローン。
孝志の鳴のような声が空港のロビーに虚しく響いた。
孝志さん。
レーナが歩、また歩と彼から距を置き始めた。
あなた、本当に何もないんですね。元奥さんのおで私にいい顔をしてただけ。
レーナ、違う。俺は ——。
孝志が必にを伸ばそうとした、彼のスマートフォンの着信音が再びけたたましく鳴り響いた。
今度はメッセージの通ではない。話だ。
画面に表示された文字を見て孝志は完全に凍りついた。
母。
それは孝志にとって決して避けては通れない現実からの最初の着信だった。
画面に表示された「実 母」という文字。
ブーブーと鳴り続けるスマートフォンを孝志は震えるで見つめていた。
たくない。
しかし、ここで無をすればでどんな面倒なことになるかわからない。
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孝志は腹を決めて通話ボタンを押し、そっとに当てた。
もしもし。
孝志、どういうことなの?
話の向こうから響いてきたのは母親のひどく取り乱した切り声だった。
あまりにも声がきすぎて、隣にいるレーナやしれた所につ美奈たちにまでその声が漏れ聞こえている。
母さん、声がきいよ。落ち着いて。
落ち着けるわけないでしょう。
さっき藤堂っていう弁護士から分い封筒が届いたのよ。毎の仕送りを今で打ち切るって。どういうことなの、あんた?会社をクビにでもなったの?
母親のパニックに孝志はのから血の気が引いていくのをじた。
弁護士からの通。
美奈はそこまで計算してを回していたのだ。
違う。クビじゃない。それはちょっとした違いで ——。
違いではありません。
孝志の苦しい言い訳を切り裂くように美奈が静かにをいた。
あなたのお母様にも正確な事実をっていただく必がありましたので、本あなたがハワイから帰国するにわせて内容証郵便が届くように配しておきました。
お、どこまで計算してたんだ。
スマートフォンを握りしめたまま、みに満ちた目で元妻を睨みつけた。
恐ろしい女だ。いつからこんな嫌がらせを計画してたんだ。俺がレーナと旅にくとったから慌てて準備したんだろう。
孝志の荒れた声に美奈はしだけ目を伏せた。
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