"十年目の数珠" 第5話
田の件で失ったという80万円よりはるかにきな利益をげ、名古でられた事業になった。
再婚し、しい族もできた。
だが、酒の席であのの話がると、吉田は必ず話題を変えた。表が固まり、それ以話そうとしなかった。
同僚たちは、何かろめたいことがあるのではないかと囁いた。
さらに奇妙なことに、1990代初め頃から吉田は寺に頻繁に通い始めた。毎のようにきなお布施をし、法にも欠かさず参加した。
周囲の々は、事業がうまくいっているから徳を積もうとしているのだろうと考えた。
しかし吉田の表は、いつもかった。
最も奇妙な変化を見せたのは、俊だった。
事件も俊は寺に残り続けたが、以とはらかに違っていた。数はさらに減り、参加者たちとの関わりを避けた。
夜2、3になっても、本堂にかりがともることがあった。俊は1で礼拝を続けていた。何を懺悔しているのか、何を祈っているのか、誰にも分からなかった。
1992、平成4の、俊は突然寺をれた。
「別の所で修したい」
職にはそう告げた。
数で荷物をまとめ、をりた。正確なき先は分からなかったが、静岡県のにあるさな寺へ向かったという噂だけが残った。
俊がった、職は彼の部を理した。
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その、部の片隅の壁の裏から、さな箱を見つけた。
箱のには、古いと写真が入っていた。
写真には若い頃の俊らしき物と、スーツ姿の男性が写っていた。男性の顔には妙な見覚えがあったが、職には誰なのか分からなかった。
には、「許してほしい」という言葉が何度もかれていた。誰かに送ろうとして、途でやめたもののようだった。
職はその箱を保管したが、な気持ちは消えなかった。
1995、平成7。
田が消えてから正確に10が経った。
法に田は失踪宣告を受け、族は彼を公式に見送らなければならなくなった。田の妻と子どもたちは、その、再び寺を訪れた。
寺は以と同じように見えた。
けれど々は変わっていた。
誰かはり、誰かは老い、そして誰も真実を語らなかった。
その、寺では古い建物の修繕事がめられていた。根を直し、壁を補修し、老朽化した部の板をす作業がわれていた。
作業員たちが、僧侶の部の1つを空にし、古い板を剥がしただった。
からが現れた。
その片隅のだけ、が違っていた。
まるで誰かが度掘り返し、また戻したように見えた。
作業員の1がスコップで浅く掘ると、何かいものに触れた。
古い布切れだった。
慎に取りすと、布に包まれたさなものがてきた。
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茶の製の数珠だった。
10が経っていたが、形は残っていた。さな属の飾りも、そのままついていた。
職が呼ばれ、数珠を見た瞬、顔が固まった。
田誠がいつもにつけていた、あの数珠だった。
そして、その数珠が見つかった部は、かつて俊が使っていた部だった。
職はすぐに警察へ通報した。
午になると警察官が寺に到着し、の現を確認した。田の数珠が発見された部は、違いなく俊が使用していた部だった。
俊は1992に寺をれて以来、その部には誰もくんでいなかった。
警察はをさらに詳しく調べた。
しかし数珠以には、何も見つからなかった。遺体も、類も、別の遺留品もなかった。
それでも、数珠1つで分だった。
10に単純失踪として処理された事件は、再び捜査対象になった。
警察はまず、俊の方を追った。
1992に野の寺をれた、俊は静岡県のさな寺へったことが確認された。しかし1994頃、その寺もれ、そのの取りは途絶えていた。
還俗したという噂もあった。
別の域へ移ったという話もあった。
正確なことは、誰にも分からなかった。
警察は職からさらに詳しい話を聞いた。
職は、俊がる、妙に急いでいたことを話した。さらに、部を理したに見つけた箱と、写真についても説した。
警察はその箱を確認した。
には「許してほしい」という内容が繰り返しかれていた。
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