"白いドレスの告白" 第1話
昭57515、京都内のホテルで、ひとつの結婚式がわれていた。
いで飾られた式には、両の親族、職の同僚、そして代の同級たちが集まっていた。会の央には、純のウェディングドレスを着た婦がっている。
田京子、34歳。
彼女は郎の田誠の隣で、静かにを向いていた。田は33歳の会社員で、真面目で穏やかな性格の男だった。京子の両親も、ようやく娘が幸せをつかんだのだと、堵した表で席についていた。
神父の問いかけが、式に響いた。
「健やかなるも、病めるも、互いをし続けることを誓いますか」
田ははっきりと答えた。
「はい、誓います」
続いて京子の番になった。
彼女はさく息を吸い、唇をかした。
「はい……誓います」
声は震えていた。
田はそれを緊張のせいだとい、そっと京子のを握った。京子もかすかにうなずいたが、その指先はたかった。
式は滞りなくみ、やがて披宴が始まった。
乾杯の音が取られ、料理が運ばれ、会は華やかな空気に包まれていた。京子は婦席に座り、来賓の祝福に微笑み返していた。けれどその笑顔はどこかく、目だけがくを見ていた。
披宴が盤に差しかかった頃だった。
代の同級たちが座るテーブルから、ひそやかな会話が聞こえてきた。
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「京子ちゃん、やっと結婚できてよかったわね」
「そうね。美智子ちゃんのことがあってから、ずっと元気がなかったものね」
その名がた瞬、京子の顔から血の気が引いた。
佐藤美智子。
8、昭49の伊豆旅に忽然と姿を消した、京子の代の親友だった。
「本当にかわいそうだったわよね、美智子ちゃん。あんなに幸せそうだったのに」
「まさか旅に失踪するなんて」
「京子ちゃんも、あの緒だったからつらかったでしょうね」
京子のが震えた。
持っていたグラスが、皿に触れてさく音をてた。田がすぐに気づき、配そうに顔を覗き込んだ。
「京子、丈夫? 顔が悪いよ」
京子は無理に笑おうとした。
「丈夫です。し、暑いだけです」
しかし、胸の奥では8の記憶が気に蘇っていた。
夜の。
展望台。
美智子の笑顔。
そして、自分の両に残った触。
京子は耐えきれず、突然子からちがった。
「し、お洗いに」
周囲が驚いて見げる、彼女はに会をた。
そのろ姿を、代の同級、吉田桂子が審そうに見つめていた。京子の様子があまりにも切迫していたからだった。
披宴会の扉が閉まる。
賑やかな音楽と拍がざかる。
京子は廊をみ、化粧に入った。鏡のでち止まると、いドレス姿の自分がそこに映っていた。
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幸せな嫁の姿。
けれど京子の目には、それがひどく違いに見えた。
彼女は洗面台に両をつき、震える声でつぶやいた。
「美智子ちゃん……ごめんなさい」
唇が震えた。
「本当に、ごめんなさい」
化粧の入くまで追ってきていた桂子は、その声を聞いてを止めた。
京子は鏡のの自分を見つめたまま、さらにさく言った。
「もう耐えられない。毎、毎晩、あなたの顔が浮かぶの。私がやったこと……私が……」
桂子は息をんだ。
京子の言葉が何をするのか、すぐには理解できなかった。しかしそれが単なる悔やしみではないことだけは分かった。
8の失踪事件。
そして、京子のから漏れた「私がやったこと」という言葉。
幸せの絶頂であるはずの結婚式の、隠されていた真実が、静かに表面へ浮かびがろうとしていた。
話は8、昭495にさかのぼる。
京都内のとあるレストランに、懐かしい顔が集まっていた。静岡県内のを卒業して8。久しぶりの同窓会だった。
当はまだ、連絡を取るにも黒話を使う代だった。幹事たちは何度も話をかけ、葉を送り、ようやくこの集まりを実現させた。
会には約30名のクラスメイトが集まり、昔話にを咲かせていた。入のくでは、再会した者同士がを取りって笑い、奥のテーブルでは、すでにビールを片に代の失敗談で盛りがっていた。
そので、誰もがわず目を向ける女性がいた。
佐藤美智子、26歳。
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