"白いドレスの告白" 第2話
代から美で名だったが、8のを経て、さらに洗練された雰囲気をまとっていた。都内の名デパートで働いているという彼女は、品なワンピースを着て、控えめながら華やかなアクセサリーをにつけていた。
髪は肩まで伸ばし、柔らかくパーマをかけている。っているだけで、そのの空気がしるくなるようだった。
美智子の周りには自然とが集まった。
「デパートの仕事は変だけど、お客様との会いが楽しいの」
彼女がそう話すと、周囲の女性たちは憧れの差しを向けた。
当、デパート勤務は女性にとって形の職業だった。都会で働き、綺麗なに囲まれ、くのと接する仕事。それは方に残った同級たちにとって、しい世界のようにも見えた。
やがて美智子が、恥ずかしそうに声を落とした。
「実は、来結婚することが決まっているんです」
瞬、会が静まり、そのすぐに祝福の声ががった。
「本当?」
「おめでとう!」
「相はどんな?」
美智子は頬を染めながら答えた。
「商社マンで、とても優しい方なんです。学の友の紹介でりって、プロポーズされたの」
彼女の幸せそうな笑顔を見て、誰もがから祝っているように見えた。代に密かに美智子へ憧れていた男性たちも、複雑な表を浮かべながら祝福の言葉を送っていた。
広告
しかし会の隅で、静かにグラスを傾けている女性がいた。
田京子、26歳。
美智子と同じクラスだった。
京子はな茶のワンピースを着て、控えめな化粧をしていた。髪はく切り揃えられ、特にを加えた様子もない。アクセサリーもなく、持っているハンドバッグも古びていた。
彼女は元静岡のさな会社で事務員として働いていた。特別な変化もなく、8を過ごしてきた。毎同じ仕事をし、と職を往復し、週末はで静かに過ごす。
そんな平凡な々だった。
京子はくから美智子を見つめた。
相変わらず綺麗だな。
ので、そうつぶやいた。
代から、美智子は常に注目のだった。勉もスポーツもそこそこできて、何より男子徒たちの憧れだった。文化祭では主役を務め、体育祭では応援団として皆を引っ張った。
方の京子は、成績は悪くなかったものの、目たないだった。
美智子が輝けば輝くほど、京子は自分の平凡さを痛した。
2の、同じ男子徒を好きになったことがあった。しかし彼の線はいつも美智子に向いていた。京子のなど、彼の目にはほとんど入っていないようだった。
その恋は、静かに終わった。
けれど、その記憶は8が過ぎても消えていなかった。
同窓会がむにつれ、京子の胸には複雑なが広がっていった。
広告
美智子は相変わらず幸せそうで、自分は何も変わっていない。
8というは、2の距を縮めなかった。
むしろ、さらに広げたようにえた。
美智子は都会で華やかに働き、素敵な結婚相まで見つけた。
京子は元で平凡な仕事を続け、結婚の予定もなかった。
この差は、体何なのだろう。
京子はグラスのビールを気にみ干した。
酒のが喉を通る。
その勢いに押されるように、彼女はちがった。
そして、笑顔で囲まれている美智子のもとへ歩いていった。
京子がづくと、美智子が気づいて振り返った。
「美智子ちゃん、久しぶり」
京子の声はしかった。
美智子はすぐに笑顔になり、両をわせるようにしてんだ。
「京子ちゃん。本当に久しぶりね。元気だった?」
2は軽く抱きった。
美智子からは、ほのかに品なの匂いがした。京子はそのりに気づき、自分のに染みついた煙と酒の匂いが急に気になった。
「京の活はどう? 変じゃない?」
京子が尋ねると、美智子はし考えるように首を傾け、それからるく答えた。
「最初は戸惑ったけど、今は慣れたわ。毎刺激で楽しいの」
その言葉を聞きながら、京子はうなずいた。
美智子に悪気はない。
それは分かっていた。
しかし、彼女が楽しそうに語れば語るほど、京子のにはさな棘が増えていった。
しばらく況を話した、京子はふとをいた。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
消えた水色の妹
2001年、姉の結婚式の日に突然姿を消した24歳の看護師・小百合。 財布も携帯電話も残したまま、非常口へ向かった彼女の最後の姿だけが、防犯カメラに記録されていた。 家族は7年間、必死に彼女を捜し続けた。 そして夫となった男も、誰よりも協力的な家族として小百合を探し続けていた。 しかし、引っ越しを前に開けられたベランダの作業部屋で見つかったのは、誰も予想しなかった7年前の痕跡だった。 壁の中に隠されていた一本の携帯電話と、残されたわずかな言葉。 あの日、結婚式の裏側で何が起きていたのか。 そして、最も信頼されていた人物が隠していた真実とは――。ミステリー|行方不明1.9萬字5 796 -
完結第10話
トウモロコシ畑に消えた母
1999年、長野の静かな村で起きた不可解な事件。 朝のトウモロコシ畑で発見された農家の女性は、周囲から「親孝行な婿」に守られていたはずだった。 しかし、現場に残された小さな痕跡と、15年後に開かれた古い証拠が、誰も疑わなかった男の裏の顔を暴いていく。 家族を支える優しい婿の仮面の裏に隠されていたものとは――。 長い年月を経て、静かな村に埋もれていた真実が、ついに明らかになる。ミステリー|行方不明1.5萬字5 248 -
完結第11話
最後の定期券
30年間、毎朝駅へ向かい続けた父。 定年後、突然姿を消した彼の行き先は、30年前に消えた小さな駅だった。 娘が父の部屋で見つけた一枚の古い切符と、「必ず迎えに行く」という謎の言葉。そこから、父が誰にも話さなかった過去が少しずつ明らかになっていく。 父が30年間守り続けていた約束とは何だったのか。 そして、あの日駅から消えた少女の行方は――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 581 -
完結第11話
飛騨の農家に消えた嫁
1995年、岐阜県飛騨地方の山あいにある和牛農家へ嫁いだ27歳のゆき子。 よく働き、誰にも逆らわず、慣れない村で必死に暮らしていた彼女は、ある冬の日、牛舎へ向かったまま姿を消した。片方だけ残された長靴。消えた青いジャンパー。そして、家族が語った「自分から出て行った」という言葉。 警察は深く調べることなく、失踪は家出として処理された。 それから8年。村では何事もなかったように季節が巡り、義父の幻蔵は“誠実な畜産農家”として周囲から慕われ続けていた。 しかし、牛舎裏の堆肥の山から見つかった人骨が、止まっていた時間を動かす。 長年誰も近づけなかった壺のそば。夜ごと繰り返された寝言。真冬の洗車場で執拗に洗われた軽トラック。 誰も探さなかった若妻は、8年間どこにいたのか。 そして、家の体面を守るために義父が隠し続けたものとは――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 372 -
完結第11話
6秒の着信
2019年10月、紅葉の雪岳山を訪れた若い恋人、ジフンとアリン。 翌年に結婚を控えた2人は、記念写真を残すために山へ向かった。登山口の防犯カメラには、笑い合いながら歩く幸せそうな姿が映っていた。 しかし午後3時過ぎ、2人は分岐点でなぜか正反対の道へ進む。 そして、そのまま山の中から忽然と姿を消した。 大規模な捜索が行われても、足跡も荷物も見つからない。事故なのか、失踪なのか、それとも誰かが2人を誘い込んだのか。真相が分からないまま、3年の月日が流れていく。 やがて2022年、登山道近くの泥の中から、アリンの携帯電話が発見される。 そこに残されていたのは、最後に撮られた1枚の写真と、わずか6秒間の通話記録。 「そのまま来てください。彼も着きました」 その短すぎる声が、3年間“山で消えた”と思われていた恋人たちの、本当の行き先を暴き始める――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 389