"43番の帰還" 第4話
恵子は取り調べを受けることになった。
「そんな部があるなんてりませんでした」
彼女は最初そう否定した。
だが、の所者でありながらのをらないという説は、あまりに自然だった。問い詰められるうちに、恵子の表は直していった。
やがて、調査班は恵子の過に奇妙な記録を見つけた。
若い頃、彼女は期、閉鎖された精神科施設に入所していた。その記録には、本名ではなく別の名が記されていた。
「クレア」
刑事がその名を告げた瞬、恵子の顔が変わった。
「それは……違います」
声は震えていた。
夫も、兄の暁も、その名をらなかった。族の誰にも語られていない過だった。
の発見。
45という数字。
そして、クレアという別名。
複数の事実がなった、警察は恵子を逮捕する決断をした。
恵子は抵抗しなかった。ただ、さな声で繰り返した。
「私は関係ない……私は……」
だが、その言葉は誰にも届かなかった。
9、娘の方を嘆きしんできた母が、今は容疑者として連されていく。
隣の民は息をんでその景を見た。
署に戻った美咲は、の写真と彩佳のタグを並べた。
43。
45。
にあるはずの44。
そして、彩佳が語った42。
数字はを示していた。
方者リストと照らしわせると、同じ期に姿を消した子どもたちが複数していた。
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だが当は、関連性があるとは判断されなかった。
美咲は資料ので拳を握った。
9、なぜ見抜けなかったのか。
なぜのにあんな部があることに気づけなかったのか。
その悔いが、今になってくのしかかってきた。
方、彩佳は母の逮捕をらされても、特別な反応を示さなかった。
表は変わらない。
ただ、自分のに閉じ込めてきた記憶の断片を、静かに理しているようだった。
夜が更けても、捜査会議は続いた。
43と45。
クレアという名。
の迷。
そして、んだはずの。
隠されていた真実の扉は、確かにき始めていた。
恵子の逮捕、警察は彼女の過をさらにく調べた。
閉鎖された精神科施設に残されていた資料は完全だった。くは破棄され、保状態も悪かった。それでも、かろうじて残っていた断片から、ある計画の名が浮かびがった。
「壊れた子供」
それは戦の混乱期に始まり、いをかけて密かに続けられていたとされる、実験の部だった。
対象は子ども。
記録には、徹底した孤、記憶の遮断、繰り返しのによる従順化、名の剥奪、番号による管理といった言葉が並んでいた。
資料を読みめる捜査員たちは、何度もを止めた。
をとして扱っていない。
そこにかれていたのは、そういう記録だった。
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恵子にその資料を突きつけると、彼女は最初、何もらないと否定した。しかし次第にを閉ざし、線を落としたまま沈黙を続けた。
やがて、かすれた声で語り始めた。
「あれは……私が若い頃に会ったものです」
刑事たちは息を詰めた。
「私は子どもの頃、クレアと呼ばれていました」
恵子は、自分もまた施設で名を奪われ、別のとして扱われていたと告げた。
そしてさらに、彼女のから衝撃な言葉がた。
「とは、血のつながりのある族ではありません。彼はから置かれたです」
の戸籍や記録には、自然な空がかった。彼は族にづき、信頼を得ていた。しかしその裏には、かつての実験を継続する目があった能性があった。
恵子はい沈黙の、ついに自らの過ちを認めた。
「私は恐れていました。あの仕組みが、また自分に戻ってくることを」
彼女のは膝ので震えていた。
「彼らは私に言いました。しい計画が始まる。協力すれば、もう関わらなくていいと」
美咲は言葉を失った。
恵子はゆっくり顔をげた。
「私は……娘を差ししました」
その告は、部の空気を凍らせた。
母親が、自分を守るために娘を犠牲にした。
その事実は、あまりにもかった。
「私は選ばなければならなかった。自分がまた閉じ込められるか、彩佳を渡すか。
私はかった」
涙が頬を伝ったが、その涙に誰も同できなかった。
それはさでは済まされない裏切りだった。
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