"置き去り嫁の南国裁き" 第5話
その姿は、端から見れば絶望して言葉を失ったれな女にしか見えなかっただろう。
男がで笑い、背の者たちに声をかけた。
「おい、おら。さっさと赤いを貼れ。ここにあるものは、今から全部処分対象だ」
男たちがリビングへ踏み込もうとした、そのだった。
「お待ちください」
私の静かな声が、彼らのを止めた。
「なんだ。往際が悪いぞ。もも、おには何ひとつ残っていないんだ」
「いいえ。残っていますよ」
私はバッグのから、古びた、けれどな革のファイルを取りした。
「真実という、あなたたちが最も恐れるカードがね」
それは、私がこのに嫁ぐ、実の母から「もしもののために」と渡されていたものだった。
私はファイルをき、類を男たちのに差しした。
「これは、このと建物の真実の権利です。拓也さんと義父が持っていたのは、ただの写しに過ぎません。このの真の所者は、私の祖父が設した産管理法。そして、その法の全権は、現私が継承しています」
男の顔から余裕が消えた。
「何を言っている。の調査では、名義は確かに拓也たちになっていたはずだ」
「それは、彼らが勝に偽造した類でき換えたからです。残でしたね。私の実を舐めすぎました」
私は佐藤弁護士に目配せをした。
広告
彼はタブレットを操作し、法務局の最データと正登記の証拠を男たちに突きつけた。
「これは印私文偽造、同使、さらに産詐欺に該当します。彼らは法にしない権利を担保に、1億円を借りたことになります」
側の男たちの顔が、気に青ざめていった。
1億円の融資は、無効な担保に基づくものだった。
つまり、彼らは回収能の巨な焦げつきを抱えたに、拓也たちが国際な詐欺事件を起こした能性まで突きつけられたのだ。
「さあ、お引き取りください。このは私のものです。歩でも踏み込めば、法侵入で即刻訴えます」
私は静かに続けた。
「それと、あなたたちが探している拓也たちは、今、国の級ホテルで豪遊していますよ。私から盗んだ3000万円を使ってね」
男たちが慌てて退散していくのを見送り、私はスマートフォンをに取った。
画面には、のホテルシステムから送られてきたリアルタイムの利用細が表示されている。
別荘棟利用。
額、120万円。
シャンパン。
スイートルームアップグレード。
「いいわ。分に使いなさい。そのおは、あなたたちを縛りげるための首輪になるのだから」
実は、彼らが盗んだ3000万円の座には、特殊な送監プログラムがかけられていた。
度でもの決済でそのカードを使えば、所がピンポイントで特定され、同に現警察と連携している私の関係者へ通が届くようになっていた。
広告
その、スマートフォンが激しく震えた。
発信者は、国にいるはずの義母、より子だった。
「もしもし。お義母さん、まだお酒をんでいるじゃないんですか?」
私がたく問いかけると、受話器の向こうからをつんざくような絶叫が聞こえた。
「ちょっと百さん! どういうことよ、これ! 今ホテルのレストランでカードをしたら、『このカードには盗難届がています』って言われて、警察官が3も私たちのテーブルを取り囲んでいるのよ!」
「あら、それは変。でもお義母さん、それだけじゃないんですよ。今、あなたの背で何が起きているか見えますか?」
「え? あなた、何を言って……ちょっと、誰よ、あなたたち! しなさい! 私たちは客よ、セレブなのよ!」
派な器の割れる音と鳴が響き、話は突然切れた。
私は窓のに広がる青空を見げた。
彼らが国だとい込んでいた所は、今この瞬から逃げのない檻へと変わった。
「佐藤先。いよいよ仕げです。彼らが最も恐れている、あの物を現へ向かわせてください」
私が最に召喚した物。
その物の登こそが、義族を血の涙へ追い込む逆転劇の真の主役だった。
「百さん、あなたはいったい何者なんですか?」
員たちがうように逃げしたあと、真紀さんが震える声で尋ねた。
空っぽのリビングに夕が忍び寄っている。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
娘の遺した手紙
娘の葬儀を終えたその夜、43歳の佐藤陽子は夫から家を追い出された。 「もうお前を置いておく理由はない」 20年間支えてきた夫から浴びせられた冷たい言葉。さらに夫は、亡くなったばかりの娘の保険金を手に入れようとしていた。 しかし、夫が知らなかったのは、陽子が何も持たない専業主婦ではなかったこと。 祖父から受け継いだ700億円規模の資産、そして夫の裏切りを暴くために動き始めた秘密の調査。 やがて明らかになる、娘の死に隠された真実。 最後まで母を思い続けた娘が残した一通の手紙が、止まっていた家族の時間を動かし始める――。夫婦|親子関係1.8萬字5 280 -
完結第10話
捨てられた妻の逆転相続
十年間、義母の介護を一人で背負い続けた妻・恵子。 しかし、四十九日の法要が終わった直後、夫から告げられたのは「もう君の役目は終わった」という冷たい離婚宣告だった。 家族のために尽くしてきた年月を、ただの「役目」としか見ていなかった夫と息子。 何も言い返さず家を出た恵子だったが、翌日、誰も知らなかった一通の封筒が加納家で見つかる。 そこに記されていた亡き義母の最後の意思が、家族の運命を大きく変えていく――。嫁姑|夫婦|介護1.4萬字5 655 -
完結第9話
捨てられた妻の逆転人生
30年間家族を支え続けた妻・美智子に、夫は突然「もうお前は必要ない」と離婚届を突きつけた。 専業主婦として何も生み出していないと思われていた美智子は、何も言い返さず家を去る。 しかし翌朝、夫が残された古いファイルを開いた瞬間、30年間隠されていた衝撃の真実が明らかになる。 会社を支えていた取引先、危機を救った技術、築き上げた成功――そのすべての裏側には、誰にも知られず夫を支え続けた美智子の存在があった。 「家政婦」と呼ばれた妻が、本当は誰よりも会社と家族を守っていた理由とは。 そして、すべてを失った夫が初めて気づいた、取り返せない30年間の後悔とは――。因果応報|夫婦|熟年離婚1.4萬字5 2409 -
完結第10話
退職祝いは離婚届
38年間、仕事一筋で家族を支えてきた黒田俊夫。 退職祝いの夜、彼は妻・真由美に言った。 「これからは、二人でゆっくりしよう」 しかし、その言葉を聞いた真由美は笑わなかった。彼女が静かに差し出したのは、白い封筒に入った離婚届だった。 若い頃に交わした旅行の約束。何度も後回しにされた夫婦の時間。「退職したら」「落ち着いたら」「今度こそ」と言われ続けた38年。 俊夫にとっては、これから始まるはずの老後だった。けれど真由美にとっては、もう待ち続ける時間の終わりだった。 妻はなぜ、夫の退職の日を選んで家を出たのか。 そして俊夫は、妻がいなくなった家で初めて、自分が見てこなかったものに気づいていく――。夫婦|第二の人生|熟年離婚1.5萬字5 1098 -
完結第11話
22年目の母席
7歳の時から、美緒を育ててきた高瀬京子。 血のつながりはなくても、熱を出した夜にそばにいたのも、弁当を作ったのも、卒業式や成人式に付き添ったのも、すべて京子だった。美緒もまた、いつしか彼女を「お母さん」と呼ぶようになっていた。 しかし結婚式を前に、22年間ほとんど姿を見せなかった実母・麗子が現れる。 実の母親という分かりやすい肩書。結婚祝いの200万円。そして、相手方の家族が求める“普通の形”。 やがて美緒は、京子に告げる。 「今回は、麗子さんにお願いしたい」 さらに結婚式当日だけは、自分を「京子さん」として扱ってほしいと頼まれた京子。22年間積み重ねてきた日々は、たった一言で母親の席から外されてしまう。 本当の母親とは、産んだ人なのか。それとも、そばに居続けた人なのか。 娘の結婚式を前に、京子が初めて自分の傷と向き合う、静かな家族の物語。因果応報|親子関係1.7萬字5 1781 -
完結第10話
墓前の偽息子
夫の命日、文子は一人息子の誠と並んで墓前に手を合わせていた。 その時、文子の携帯に「誠」から電話がかかってくる。 しかし、本物の誠は今、すぐ隣で父の墓に手を合わせていた。 電話口の男は、息子のふりをして言った。 「母さん、仏間の金庫の暗証番号を教えてくれないか」 相手は、文子の家に金庫があることも、最近暗証番号を変えたことも知っていた。さらに電話の向こうから聞こえてきたのは、誠の妻・和子の声だった。 これはただの詐欺なのか。 それとも、家族の中に裏切り者がいるのか。 亡き夫が残した言葉を胸に、文子は慌てず、静かに確かめることを選ぶ。 そして家へ戻った母子が見たのは、想像もしなかった妻の本性だった――。因果応報|親子関係1.5萬字5 1704 -
完結第12話
不機嫌夫の末路
夫の大地は、気に入らないことがあると黙り込む人だった。 怒鳴るわけでも、手を上げるわけでもない。ただ返事をしない。目を合わせない。家の中を冷たい沈黙で満たし、妻の望美が謝るまで何事もなかったように振る舞う。 望美はそれを、夫婦ならよくあることだと思い込んでいた。 しかしある日、大地の沈黙は4歳の娘・ひなにまで向けられる。父親に無視された娘は、布団の中で小さくつぶやいた。 「パパ、ひなのこと嫌いになっちゃったの?」 その一言で、望美は自分の幼い頃を思い出す。父の機嫌を読み、母が謝る姿を見ながら育ったあの日々。そして今、自分も同じことを娘に繰り返させようとしていることに気づいてしまう。 夫と向き合おうとした望美に、大地は言い放つ。 「そっちの方こそモラハラだろ?」 届かない言葉。変わらない沈黙。けれど、4歳の娘が口にしたある一言が、望美の中で長く続いてきた連鎖を断ち切る決意へと変わっていく。夫婦|親子関係1.7萬字5 848 -
完結第15話
300万円の口止め料
義父が倒れた日、夫は私の口座に突然300万円を振り込み、「病院には絶対に来るな」と命じた。 22年間、義父の通院や介護の手続きを支えてきたのは私だった。だからこそ、夫の不自然な言葉に胸騒ぎを覚え、私は命令を破って病院へ向かう。 個室の扉の前で聞こえてきたのは、弱った義父に書類へ署名させようとする夫の声だった。 「雪には300万円を渡した。もう納得している」 その瞬間、私は悟る。あの300万円は感謝の金ではなく、私を義父から遠ざけるための口止め料だったのだ。 夫が隠していた4500万円の借金。義父の家と土地を狙う計画。そして、病室に持ち込まれた分厚い書類。 けれど夫はまだ知らなかった。 義父が数年前から、自分の意思と大切な人を守るために、ある“本物の備え”を残していたことを――。夫婦|金銭問題2.3萬字5 787 -
完結第13話
消えた託児代7万円
2001年、東京の外れにある義実家で暮らす保育士のゆいは、夫の妹・安奈から何度も娘の子守りを押しつけられていた。 「保育士でしょ?」 「家族なんだから」 「今日だけお願い」 そう言われるたび、ゆいは仕事帰りに1歳のクレアを風呂に入れ、寝かしつけ、夜泣きにも起きてきた。けれど夫も義母も、それを“当然の手伝い”としか見ていなかった。 ある朝5時半、安奈は39度の熱を出したクレアを抱えて現れる。 「娘の子守りよろしく」 仕事を理由に断ろうとするゆいへ、夫は笑って言った。 「保育士なんだから慣れてるだろ。ケチくさいこと言うなよ」 その一言で、ゆいの中で何かが切れた。 なぜ安奈は、そこまで頻繁に娘を預けていたのか。 なぜ“仕事”と言って家を空ける日が増えていたのか。 そして、クレアの父親だけが知らなかった事実とは――。 便利な保育士として扱われ続けた嫁が、初めて「無理です」と告げた日、義家族の隠された嘘が静かに崩れ始める。兄弟姉妹|夫婦1.9萬字5 957