"置き去り嫁の南国裁き" 第8話
だが彼らは、線を越えた。
私の母を、質という名の具として扱おうとした。
「佐藤先。彼らが接触した現の裏組織に、こちらから追加の依頼をしてください」
「追加ですか?」
「ええ。彼らが提示した報酬の10倍を払いなさい。そして、拓也さんの依頼を完遂したふりをしてもらうんです」
私は窓のをまっすぐ見据えた。
平線の彼方に、彼らがいる島が見えてくる。
「彼らに、度だけ希望を見せてあげましょう。自分たちの作戦が成功し、私を支配に置いたという最に甘いをね。その絶頂の瞬から奈落の底へ突き落とすのが、いちばんの復讐でしょう」
私の声は、自分でも驚くほどたかった。
その、スマートフォンが震えた。
拓也からだった。
私は佐藤弁護士と目をわせ、通話ボタンを押した。
「よう、百。いいらせだ。今、俺の仲がおの母親を捕まえた。真っ暗な倉庫で震えているぜ」
背から、より子とリナの歓声も聞こえる。
「さあ、交渉のだ。おの兄貴に言え。今すぐ俺たちを解放し、1億円の現と用のパスポートを用しろ。さもないと、おの母親がどうなるか分かっているよな」
私はしばらく何も答えなかった。
い沈黙。
それは、彼らへの最の、そして最の侮辱だった。
「おい、聞いてるのかよ。返事をしろ」
焦れる拓也に、私は静かに言った。
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「拓也さん。お母様はお元気ですか?」
「ああ? 元気なわけないだろ。泣いて命乞いしていたぜ。くしろよ」
「そうですか。良かったです」
「はあ? 何が良かったんだ」
「あなたが、そこまで救いようのない屑だと再確認できて。これで私の最のけは、完全に消えました」
「何を言って……」
「では、もなく伺います。直接お会いしましょう。母と緒にね」
私は通話を切った。
拓也は、その言葉の本当のに、まだ気づいていなかった。
彼が母を捕まえたとったその、本の実で本当は何が起きていたのかを。
そして、彼が抱いたその希望が、私によって完璧に設計された処刑への招待であったことを。
国の夜を切り裂くように、な鉄の扉がぎい、と音をてていた。
湿気を含んだと共に、部のへ筋のが差し込む。
「あら。随分と賑やかですわね。獄の入にしては、し騒がしすぎるのではないかしら」
凛とした、背筋が凍るほどややかな声。
部の隅でスマートフォンを囲んでいた拓也、より子、夫、リナの4が、弾かれたように顔をげた。
そこにっていたのは、かつてのでしい百ではなかった。
夜のに溶け込むようなのシルクドレス。首元には、族の誇りである粒のサファイアが鈍いを放っている。
その姿は、神崎の正当なる継承者としての威厳に満ちていた。
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「百……よくものこのこ現れやがったな」
拓也が勝ち誇ったような笑みを浮かべてちがった。
「見たか、おの兄貴。今、本にいる俺の仲から連絡があったぜ。おの事な母親、あのボロ雑巾みたいな婆さんをきっちり確保したってな」
より子も笑いした。
「百さん。あなたがどんな持ちのお嬢様だろうが、母親を質に取られたら終わりよ。今すぐ私たちのにひざまずきなさい。この靴を舐めれば、お母様の命だけは助けてあげてもいいわ」
リナも声をげた。
「そうよ。お兄さんにも言いなさい。1億円なんてけちなこと言わず、10億円、いいえ100億円用しなさいって」
彼らの目には、勝利の確信しかなかった。
質さえいれば、神崎グループの力も現警察も無効化できると信じ込んでいたのだ。
けれど私は、ただ黙って彼らを見つめていた。
言も発さず、眉ひとつかさない。
まっすぐに、のでもがく害虫を見るようなたい目で、彼らを見返した。
「おい、何とか言えよ。黙っていると、あの婆さんの指が1本ずつ届くことになるぜ」
拓也が私の肩を掴もうとした。
その瞬、私は歩がり、く言った。
「汚らわしいわ。そので私に触れないで」
それはりですらなかった。
ただい拒絶と軽蔑だけを帯びた言葉だった。
拓也は顔を歪め、スマートフォンを掲げた。
「がりやがって。今すぐ証拠のビデオ通話を見せてやるよ。
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