"孫が暴いた毒の食卓" 第3話
やがて国彦は、教で習った料理を自宅で披するようになった。
煮物、炒め物、え物。
卓に並ぶ料理を、陽太は目を輝かせて見つめた。
「ジイジ、すごい!」
国彦は得そうに笑った。
「もっと美しいものを作れるようになるぞ」
私も、そんな2の様子を見ながら、久しぶりに庭の温かさをじていた。
このまま、3で穏やかに暮らしていける。
そうっていた。
けれど、その頃から半ほど経ったあたりで、私の体調は再び悪化し始めた。
最初は、サプリメントの効果がれてきたのだとった。
朝起きると、がぼんやりしている。体の芯にい鉛が入っているようで、ちがるまでにがかかる。にはい眠気に襲われ、昼でも識がのくことがあった。
国彦は配そうに私を見た。
「サプリメントはちゃんとんでるか?」
「ええ。欠かさずんでいるわ」
「むのをやめたら、もっと悪くなるかもしれない。ちゃんと続けるんだぞ。またいいものを見つけたら買ってくるから」
同じ薬やサプリメントをみ続けていると、体内に耐性ができ、効果がれることがある。
私はその識があったため、国彦の言葉に疑問を持たなかった。
言われた通り、サプリメントをみ続けた。
しかし、それからさらに半ほど経つと、症状はらかにくなった。
がぼうっとする覚が常に起こり、ひどいにはベッドから起きがることさえできない。
広告
急な吐き気に襲われることもあった。
病院へっても、原因は分からなかった。
医師は検査結果を見ながら首をひねり、労や疲労の能性をにした。
幸い、国彦は自宅にいるには積極に事を伝ってくれた。所の主婦仲も、陽太の送り迎えや、国彦のいないの事を伝ってくれた。
周囲に支えられながら、私はどうにか々を過ごしていた。
ある夜、私は呂に入ろうとして廊を歩いていた。
壁にを添えながら、ゆっくり浴へ向かう。計を見ると、20だった。
その、突然目のが暗くなった。
元がぐらりと揺れ、体に力が入らなくなる。私は何かにつかまろうとしたが、指先は空を切った。
そのまま廊に倒れ込んだ。
どれくらいが経ったのか分からない。
次に目をけた、私のそばには国彦がっていた。
「気がついたか?」
私はぼんやりと夫の顔を見げた。
「どうしちゃったのかしら……」
国彦は私を抱き起こしながら言った。
「疲れてるんだろう。今はもうベッドで休んだ方がいい」
私は言われるまま部に戻った。
しかし、ベッドに座って計を見た瞬、胸のにさな疑がまれた。
23だった。
私が呂に入ろうとしたのは20。
つまり、3が経っていた。
その、国彦は救急を呼ばず、私を見ていただけなのだろうか。
広告
私は国彦の背を見つめた。
彼はいつも通り優しく、布団をえ、を枕元に置いてくれた。
翌朝も、国彦は私のために料理を作り、甲斐甲斐しく病してくれた。
その様子を見ていると、昨夜の違は気のせいだったのかもしれないとえた。
疲れていたから、の覚がおかしくなっていたのかもしれない。
そう自分に言い聞かせた。
けれど、体調はそれからも改善しなかった。
むしろしずつ悪化していった。
最では起きがれないも増え、事もおぼつかない。
「おばあちゃん、丈夫?」
陽太まで配そうに私をのぞき込むようになった。
「陽太にまで配かけて、ごめんね」
私がそう言うと、陽太はさなで私のを握った。
「今ね、幼稚園の先が救急のこと教えてくれたんだよ」
「そう。それは良かったわね」
「おばあちゃんに何かあったら、僕が救急を呼んであげるからね」
その言葉に、私は胸が詰まった。
「ええ。陽太がいればね」
さな孫の優しさだけが、私を支えていた。
そんなある、国彦が方の物件を客に紹介するため、数を空けることになった。
発の朝、国彦は玄関で私に何度もを押した。
「何かあればすぐに話をかけてくれ。くれぐれも無理をするんじゃないぞ」
「ええ、分かっているわ。私は丈夫だから、気をつけてってきて」
国彦は台所の方を指さした。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
夫が毎日3回トイレを磨く理由
結婚五年。紗季は、温厚で家事にも協力的な夫・玲央と、四歳の娘・莉乃と平穏に暮らしていた。ただ一つ奇妙だったのは、夫が毎日三回もトイレを掃除し、誰にも触らせなかったこと。 ある日、法医学者の親友・美代子が、トイレの排水設備から人間の歯と古い血痕の痕跡を発見する。調査を進めると、この家では六年前、玲央と同棲していた婚約者が突然姿を消していた。夫婦|真実|真相1.5万字5 165 -
完結第23話
母の小さな食卓
三年ぶりに実家へ帰った直人は、母の誕生日の食卓に、ご飯と味噌汁、漬物しかないことに驚く。冷蔵庫もほぼ空なのに、玄関には弟へ渡す高価なりんごが三箱も積まれていた。 さらに母の通帳には、弟へ毎月八万円を送った記録が残されていた。弟ばかりを優先する母への古い不満がよみがえるが、その金は、直人が失業した三年前から、息子・悠人の学費として渡されていたものだった。裡の顔|親子関係|修羅場2.8万字5 360 -
完結第16話
離婚3か月後、元義母に300万円を要求された私
離婚から三か月後、美緒のもとへ元義母から電話が入る。事故で入院した元夫・達也のため、今すぐ三百万円を持ってこいというのだ。美緒は鼻で笑い、「新しいお嫁さんに頼んでください」と断る。 ところが、社長令嬢だと信じられていた新妻・優奈は、達也の金を持って姿を消していた。さらに達也は見栄を守るため借金を重ね、実母には内容を偽った書類へ実印まで押させていた。 しかも「命に関わる治療費」という三百万円には、滞納した返済やカード代まで含まれていた。美緒を再び財布として利用するための嘘だったのだ。嫁姑|夫婦|金銭問題1.5万字5 315 -
完結第20話
置き去り後27分
給与口座の通帳と暗証番号を義母へ渡すよう迫られた美和。拒絶すると、夫は彼女を真冬の国道へ置き去りにし、「怖い思いをすれば折れる」と走り去った。 美和は泣いて追いすがらず、900メートル先のファミレスで夜を明かす。翌朝、夫から届いていたのは41件の着信と、「すぐに戻った」という釈明だった。 だが店を出ようとした美和を、見知らぬトラック運転手が呼び止める。彼のドライブレコーダーには、夫が戻ったのは27分後だったこと、さらに義母との電話で置き去りの目的を語る肉声まで残されていた。 口座を守るための夫婦喧嘩だと思っていた夫。しかし映像が暴いたのは、妻を恐怖で屈服させようとした計画的な支配だった。美和は金だけでなく、自分の人生を決める権利を取り戻すため、24年間の結婚に静かに決着をつける。夫婦|第二の人生|ATM扱い|金銭問題2.2万字5 506 -
完結第14話
赤ちゃんの声が聞こえる姪が、夫の嘘を見抜いた日
生後一か月の息子を見た六歳の姪・美久は、「赤ちゃん、お父さんにひどいことをしないでって言ってる」と告げる。その言葉に、夫・徹だけが激しく動揺した。 育児をせず、暴言を重ねる夫に違和感を抱き始めた亜鳥。やがて美久が書斎で見つけた封筒から、亜鳥を被保険者、徹を受取人とする高額な生命保険の書類が発見される。 さらに調べると、徹には隠していた借金と別の女性がいた。夫婦|真実|真相|親子関係1.4万字5 665 -
完結第12話
私にだけハズレ料理を出す義母の誤算
月に一度の義実家での食事会。真希にだけ、焦げたご飯、肉のない煮物、殻付きのエビ、骨だらけの刺身が出される。しかし夫・隆は「偶然だ」「被害妄想だ」と、母親を庇い続けた。 妊娠を知った真希は、わが子を守るため、記録を残しながら静かに脱出の準備を始める。そんな中、義母は「誰がハズレを引くかしら」と、中身の違うメンチカツを食卓へ並べた。 真希が選んだ一つを切ると、中から現れたのは肉ではなく、形を整えたかまぼこ。長年「偶然」で隠されてきた嫌がらせが、夫と義父の前で初めて暴かれる。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場1.3万字5 943 -
完結第10話
31年間、母が捨てなかったマットレスの秘密
31年間、両親が頑なに使い続けてきた古いマットレス。中央は大きく沈み、父の腰痛も悪化していたが、母はなぜか買い替えを拒み続けていた。 息子のデイヴィッドは、両親を旅行へ連れ出した隙に新しいものと交換しようとする。ところが搬出業者から、「お母様を寝室へ入れず、まず一人で確認してください」と切迫した電話が入る。 マットレスの下から現れたのは、古い手紙や小さな靴、写真、ぬいぐるみ。そこには両親が31年間、息子にさえ存在を明かさなかった幼い娘・グレースの記憶が封じられていた。 娘を失った悲しみから逃げるため、名前すら口にしなくなった父。そして誰にも見つからない場所で、毎年娘へ手紙を書き続けた母。古い寝台が取り払われた日、沈黙の下に閉じ込められていた家族の時間が、ようやく光の中へ戻り始める。ミステリー|真実|真相|親子関係1.5万字5 551 -
完結第15話
午前2時17分、亡き妻が病室を訪れる
午前2時17分。夜勤看護師の由衣は、面会時間を過ぎた病棟で黒いコートの女性を目撃する。 女性が立ち止まったのは、家族との連絡を拒み続ける71歳の患者・久世修一の病室前。だが受付記録にも防犯カメラにも姿はなく、乗り込んだエレベーターからも忽然と消えていた。 修一は女性の特徴を聞くと顔色を変え、10年間疎遠だった娘へ連絡してほしいと頼む。やがて判明したのは、黒いコートが10年前に亡くなった妻・美佐子のものと同じだったこと。そして彼女が息を引き取った時刻も、午前2時17分だった。 妻の最期に間に合わなかった父と、その父を許せなかった娘。再び同じ時刻にエレベーターが開く夜、10年間止まっていた家族の時間が静かに動き始める。ミステリー|夫婦|真実|真相1.4万字5 118 -
完結第20話
妻のスマホに残っていた半年先の「2名様」
妻の美和を亡くして半年。直人は解約できずにいた妻のスマートフォンから、6日後に迫ったレストランの予約を見つける。 予約したのは、亡くなる12日前。日時は何の記念日でもない土曜日の夜で、人数は「2名」。相手を知らされていなかった直人は迷った末、店へ電話をかける。 そこで告げられたのは、美和が封筒を預けていること、そして彼女が来られない場合も、直人だけで料理を食べてほしいという願いだった。 最初の一皿を食べ終えた時、ようやく渡された妻の手紙。そこに記されていたのは別れの言葉ではなく、残される夫が一人でも暮らしていけるように用意された、最初の「練習」だった。夫婦|真相1.9万字5 1979