"孫が暴いた毒の食卓" 第4話
「事は蔵庫に作って入れてある。今は礼子の好きな筑煮にしたんだ。欲がなくても、ちゃんとべるんだぞ」
「分かってるわ。いつもありがとう」
料理教に通い続けた国彦は、今ではどんな料理も作れるようになっていた。数を空けるなどは、作り置きの料理を用してくれる。
このも、私の好物ばかりを作ってくれたらしい。
私は夫の優しさに謝していた。
国彦を見送ったあと、所の主婦仲に陽太を預け、私はリビングで休んでいた。
相変わらず体はく、もはっきりしない。に眠気に襲われ、喉ばかりが乾く。
自分の体は体どうしてしまったのだろう。
そう考えていると、正午をらせるオルゴールが鳴った。
正直、欲はほとんどなかった。
それでもべなければもっと体調が悪くなるとい、私は蔵庫から国彦が作っておいてくれた筑煮を取りした。
子レンジで温め、ダイニングの子に座る。
湯気のつ筑煮を箸でしずつに運んだ。はいつも通りだった。参、鶏肉、れんこん、しいたけ。国彦が丁寧に作ったのだと分かるだった。
しかし、半分ほどべたところで、突然界が暗くなった。
目のの景がぐるぐると回り始める。
胃の奥から激しい吐き気が込みげた。
私は慌てて洗面台へ向かおうと子からちがった。
広告
その瞬、から力が抜けた。
体がへ崩れ落ちる。
腕に力を入れようとしても、指先がかない。呼吸が浅くなり、胸が苦しくなっていく。
スマホはテーブルのにあった。
を伸ばしても届かない。
国彦に話をすることもできない。
このままんでしまうのかもしれない。
そうったところで、識がのいた。
次に気がついた、私は病院のベッドに寝かされていた。
い井。
点滴の管。
消毒液の匂い。
ゆっくり顔を横に向けると、陽太が配そうに私を見つめていた。
「おばあちゃん、丈夫?」
「陽太……どうして病院にいるの?」
陽太は泣きそうな顔で答えた。
「僕が幼稚園から帰ったら、おばあちゃんが倒れてたんだよ。だから救急を呼んだんだ」
私は息をのんだ。
あの、幼稚園で救急の呼び方を習ったと言っていた陽太。
そのさな識が、私の命を救ってくれた。
「そうだったの……配かけてごめんね」
「無事でよかったよ。本当に配した」
陽太はしきれず、泣きじゃくった。
私はく方ので、陽太のを撫でた。
しばらくすると、医師がやってきた。
「気がつきましたね」
「あの、私は体どうしてしまったのでしょうか」
医師は検査結果のを見ながら、し言葉を選ぶようにした。
「原因はまだはっきり分かりません。ただ、血液検査の結果、肝臓の数値に異常が見られます」
広告
「肝臓ですか?」
「画像検査もいましたが、肝臓そのものに異常は見られません」
私は眉を寄せた。
「それは、どういうことでしょうか」
医師はしを置いて言った。
「考えられる能性としては、何かしらの異物を摂取したことです」
私は驚いた。
「今は、夫が作った筑煮をべただけです。あとは、いつもんでいるサプリメントをんだだけで……」
「サプリメントですか?」
「ええ。以こちらでもお話ししたビタミン剤です」
私がそう言うと、医師はし考え込んだ。
「あくまで能性の問題ですが、そのサプリメントを持参していただけませんか」
「サプリメントをですか?」
「はい。成分のに、体にわないものがあるのかもしれません」
医師は能性はいと言いながらも、体調良の原因を特定する必があると話した。
私はうなずいた。
「分かりました。次回受診するに持参します」
そのは点滴を受け、帰宅することになった。
けれど私のには、言葉にならないが芽えていた。
病院から戻ったの夕方、私はリビングのソファに座っていた。
体はまだく、くたびに力が抜けるようだった。陽太は私のそばかられようとせず、配そうに何度も顔をのぞき込んできた。
「おばあちゃんの好きなドラマが始まったよ」
陽太がテレビをつけた。
画面には、昔の2ドラマの再放送が映しされた。
私は陽太と並んでソファに座り、ぼんやりと画面を眺めた。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
夫が毎日3回トイレを磨く理由
結婚五年。紗季は、温厚で家事にも協力的な夫・玲央と、四歳の娘・莉乃と平穏に暮らしていた。ただ一つ奇妙だったのは、夫が毎日三回もトイレを掃除し、誰にも触らせなかったこと。 ある日、法医学者の親友・美代子が、トイレの排水設備から人間の歯と古い血痕の痕跡を発見する。調査を進めると、この家では六年前、玲央と同棲していた婚約者が突然姿を消していた。夫婦|真実|真相1.5万字5 165 -
完結第23話
母の小さな食卓
三年ぶりに実家へ帰った直人は、母の誕生日の食卓に、ご飯と味噌汁、漬物しかないことに驚く。冷蔵庫もほぼ空なのに、玄関には弟へ渡す高価なりんごが三箱も積まれていた。 さらに母の通帳には、弟へ毎月八万円を送った記録が残されていた。弟ばかりを優先する母への古い不満がよみがえるが、その金は、直人が失業した三年前から、息子・悠人の学費として渡されていたものだった。裡の顔|親子関係|修羅場2.8万字5 360 -
完結第16話
離婚3か月後、元義母に300万円を要求された私
離婚から三か月後、美緒のもとへ元義母から電話が入る。事故で入院した元夫・達也のため、今すぐ三百万円を持ってこいというのだ。美緒は鼻で笑い、「新しいお嫁さんに頼んでください」と断る。 ところが、社長令嬢だと信じられていた新妻・優奈は、達也の金を持って姿を消していた。さらに達也は見栄を守るため借金を重ね、実母には内容を偽った書類へ実印まで押させていた。 しかも「命に関わる治療費」という三百万円には、滞納した返済やカード代まで含まれていた。美緒を再び財布として利用するための嘘だったのだ。嫁姑|夫婦|金銭問題1.5万字5 315 -
完結第20話
置き去り後27分
給与口座の通帳と暗証番号を義母へ渡すよう迫られた美和。拒絶すると、夫は彼女を真冬の国道へ置き去りにし、「怖い思いをすれば折れる」と走り去った。 美和は泣いて追いすがらず、900メートル先のファミレスで夜を明かす。翌朝、夫から届いていたのは41件の着信と、「すぐに戻った」という釈明だった。 だが店を出ようとした美和を、見知らぬトラック運転手が呼び止める。彼のドライブレコーダーには、夫が戻ったのは27分後だったこと、さらに義母との電話で置き去りの目的を語る肉声まで残されていた。 口座を守るための夫婦喧嘩だと思っていた夫。しかし映像が暴いたのは、妻を恐怖で屈服させようとした計画的な支配だった。美和は金だけでなく、自分の人生を決める権利を取り戻すため、24年間の結婚に静かに決着をつける。夫婦|第二の人生|ATM扱い|金銭問題2.2万字5 506 -
完結第14話
赤ちゃんの声が聞こえる姪が、夫の嘘を見抜いた日
生後一か月の息子を見た六歳の姪・美久は、「赤ちゃん、お父さんにひどいことをしないでって言ってる」と告げる。その言葉に、夫・徹だけが激しく動揺した。 育児をせず、暴言を重ねる夫に違和感を抱き始めた亜鳥。やがて美久が書斎で見つけた封筒から、亜鳥を被保険者、徹を受取人とする高額な生命保険の書類が発見される。 さらに調べると、徹には隠していた借金と別の女性がいた。夫婦|真実|真相|親子関係1.4万字5 665 -
完結第12話
私にだけハズレ料理を出す義母の誤算
月に一度の義実家での食事会。真希にだけ、焦げたご飯、肉のない煮物、殻付きのエビ、骨だらけの刺身が出される。しかし夫・隆は「偶然だ」「被害妄想だ」と、母親を庇い続けた。 妊娠を知った真希は、わが子を守るため、記録を残しながら静かに脱出の準備を始める。そんな中、義母は「誰がハズレを引くかしら」と、中身の違うメンチカツを食卓へ並べた。 真希が選んだ一つを切ると、中から現れたのは肉ではなく、形を整えたかまぼこ。長年「偶然」で隠されてきた嫌がらせが、夫と義父の前で初めて暴かれる。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場1.3万字5 943 -
完結第10話
31年間、母が捨てなかったマットレスの秘密
31年間、両親が頑なに使い続けてきた古いマットレス。中央は大きく沈み、父の腰痛も悪化していたが、母はなぜか買い替えを拒み続けていた。 息子のデイヴィッドは、両親を旅行へ連れ出した隙に新しいものと交換しようとする。ところが搬出業者から、「お母様を寝室へ入れず、まず一人で確認してください」と切迫した電話が入る。 マットレスの下から現れたのは、古い手紙や小さな靴、写真、ぬいぐるみ。そこには両親が31年間、息子にさえ存在を明かさなかった幼い娘・グレースの記憶が封じられていた。 娘を失った悲しみから逃げるため、名前すら口にしなくなった父。そして誰にも見つからない場所で、毎年娘へ手紙を書き続けた母。古い寝台が取り払われた日、沈黙の下に閉じ込められていた家族の時間が、ようやく光の中へ戻り始める。ミステリー|真実|真相|親子関係1.5万字5 551 -
完結第15話
午前2時17分、亡き妻が病室を訪れる
午前2時17分。夜勤看護師の由衣は、面会時間を過ぎた病棟で黒いコートの女性を目撃する。 女性が立ち止まったのは、家族との連絡を拒み続ける71歳の患者・久世修一の病室前。だが受付記録にも防犯カメラにも姿はなく、乗り込んだエレベーターからも忽然と消えていた。 修一は女性の特徴を聞くと顔色を変え、10年間疎遠だった娘へ連絡してほしいと頼む。やがて判明したのは、黒いコートが10年前に亡くなった妻・美佐子のものと同じだったこと。そして彼女が息を引き取った時刻も、午前2時17分だった。 妻の最期に間に合わなかった父と、その父を許せなかった娘。再び同じ時刻にエレベーターが開く夜、10年間止まっていた家族の時間が静かに動き始める。ミステリー|夫婦|真実|真相1.4万字5 118 -
完結第20話
妻のスマホに残っていた半年先の「2名様」
妻の美和を亡くして半年。直人は解約できずにいた妻のスマートフォンから、6日後に迫ったレストランの予約を見つける。 予約したのは、亡くなる12日前。日時は何の記念日でもない土曜日の夜で、人数は「2名」。相手を知らされていなかった直人は迷った末、店へ電話をかける。 そこで告げられたのは、美和が封筒を預けていること、そして彼女が来られない場合も、直人だけで料理を食べてほしいという願いだった。 最初の一皿を食べ終えた時、ようやく渡された妻の手紙。そこに記されていたのは別れの言葉ではなく、残される夫が一人でも暮らしていけるように用意された、最初の「練習」だった。夫婦|真相1.9万字5 1979