"五度目のドタキャン弁当" 第3話
「ごめんごめん。テレビ見てたら眠っちゃったのよ」
私はあの、本気で腹がった。
だから、今回ははっきり言った。
「次は許しませんよ」
するとトメはむっとした顔になった。
「ああ、やだやだ。男のお嫁さんは素直でいのに。志帆さんって、これだから」
私は表を変えなかった。
反応すれば、トメのう壺だ。
「男のお嫁さんは、私が何をしてもいつもニコニコしているし、お礼も欠かさないし、若くて美だし」
若くて美は関係ない。
喉までかかった言葉を、私はみ込んだ。
そのだった。
「ただいま!」
元気な声がして、娘のゆいが学から帰ってきた。
「あれ? おばあちゃん、いらっしゃい」
しまったとったにはもう遅かった。ゆいが玄関のドアをけると、トメはするりとのに入った。
「はあ、疲れた」
そう言いながら、汚れたのままズカズカとがり込み、ソファーに腰をろす。
「志帆さん、お茶ちょうだい」
その達成に満ちた顔に、私は苛ちを隠せなかった。
「うちは休憩所じゃありませんけど」
「むしりしてあげたのに何よ」
「頼んでません」
私は無言で麦茶をした。トメはコップを受け取ると、喉を鳴らしてんだ。
「やっぱりいたのお茶はおいしいわね」
私は引きつった笑いしかなかった。
その、洗いうがいを済ませたゆいがリビングに入ってきた。
広告
「ママ、聞いて。今の体育の100m、1番だった」
「頑張ったね」
私はゆいのを撫でた。娘は得げに胸を張った。
けれど、その様子を見ていたトメが、ふんとを鳴らした。
「でも字は相変わらずよね」
トメは、ゆいがテーブルに置いた宿題を勝に覗き込んでいた。
私はすぐに顔をげた。
「お母さん」
「こんな簡単な字なのに、きれいにけないなんて変よ」
ゆいの顔から、さっきまでの笑顔が消えた。
「お母さん、やめてください」
しかしトメは止まらなかった。
「男の孫ちゃんは、まだ4なのにもっとよ。男の子なのに、とってもきれいな字をくの。賢い子はやっぱり字がきれいよね」
いつもこうだった。
テストの点、べ方、話し方、歩き方。がいだの、癖毛が嫁に似たせいだの、好き放題言う。
「あの子も次男だけど来の悪い子じゃなかったし、やっぱり志帆さんのせいよね」
ゆいは無言で宿題を引き寄せた。
その落ち込んだ横顔を見て、私は黙っていられなかった。
「やめてくださいって言っていますよね」
しめに言うと、トメは骨に目をそらした。そしてわざとらしく計を見る。
「あら、病院にくだわ」
逃げる気満々だった。
さっきまで散々好き勝言っていたくせに、都が悪くなるとすぐこれだ。
トメはお茶をみ干すと、そそくさと帰っていった。
広告
玄関の扉が閉まる音がして、ようやくリビングは静かになった。
ゆいは宿題のノートを見つめたまま、ぽつりと言った。
「私、ダメな子かな」
「そんなことない」
わずきな声になった。
ゆいはし驚いた顔で私を見た。そして、笑った。
けれどその笑顔は、どこか寂しそうだった。
胸がぎゅっと痛んだ。
私はゆいを抱きしめた。
「ゆいは優しくて頑張りで、ママの自の子よ」
「……うん」
ゆいはさく頷いた。
その背をさすりながら、私はので決めていた。
もう姑の言葉で、この子を傷つけさせない。
その数、運会の。
私はキッチンで唐揚げのをつけていた。にんにくと醤油のりがボウルからちる。は朝4に起きてこれを揚げる。おにぎりのは昆布と、ゆいの好きな鮭。それから夫のリクエストでツナマヨ。
ゆいは今からそわそわしていた。
「リレーで転んだらどうしよう」
「丈夫よ」
「バトン落としたらどうしよう」
「たくさん練習したんだから丈夫」
「でも、もし……」
「今からそんなに配してたら、まで臓が持たないわよ」
私が笑うと、ゆいもしだけ笑った。
そんな話をしていた、の話が鳴った。
なぜか嫌な予がした。
私は恐る恐る受話器を取った。
「もしもし」
「志帆さん?」
やっぱりトメだった。
しかもやけにテンションがい。
「ゆいちゃん、運会でリレーにるんですって?」
「はい」
私はわず固まった。
トメに運会の話はしていない。
「どこでそれを……」
「病院の待で聞いたのよ」
広告
おすすめ作品
-
完結第25話
借金遺産の復讐~50 歳で手に入れた真の人生
娘の一生に一度の結婚式、晴れやかな舞台に連れてきたのは夫の愛人。 私は怒鳴りもせず、静かに席を譲った。 周囲の視線が刺さる中、新郎の父だけが私の心中を見抜き、深く頭を下げてくれた。 26 年間、介護と家事、夫の理不尽な暴言を全部一人で抱えて耐え続けた。 義母が残したのは 8000 万の負債だけの土地と古家、兄弟たちは借金を前に逃げ散り、夫は愛人と共に会社金を横領、契約書まで偽造し私を連帯保証人に仕立て上げようとした。 録音の証拠、離婚届、警察の逮捕状…… 積もり積もった苦しみが静かな復讐へと繋がる。 全てを失った夫は刑務所へ、私は義母の遺言と昔の才能をきっかけに上場ホールディングスの CFO に就任。 50 歳を過ぎて初めて自分の人生を手に入れた主婦の、涙と逆転の物語。 夫の裏切り、親族の薄情、莫大な借金の重圧を乗り越え、誰にも頼らず輝きを取り戻す。 長年我慢してきた女性たち必読!嫁姑|夫婦|裡の顔3.8萬字5 0 -
完結第8話
孫が暴いた毒の食卓
58歳の礼子は、夫・国彦と5歳の孫・陽太と静かに暮らしていた。 息子夫婦を事故で亡くして以来、陽太だけが礼子の生きる支えだった。だが、その頃から礼子の体には異変が起き始める。めまい、吐き気、強い眠気、原因不明の体調不良。病院では「心労」と言われ、夫が勧めるサプリメントと手料理を信じて口にしていた。 そんなある日、リビングで陽太とテレビドラマを見ていた礼子は、孫の何気ない一言に凍りつく。 「あ、これジイジのと同じだ!」 画面に映っていたのは、錠剤を砕いて料理に混ぜる場面だった。 昨日、夫は台所で何をしていたのか。礼子の体調不良は本当に偶然だったのか。そして、夫が優しい顔の裏で隠していた“とんでもない秘密”とは――。 孫の一言をきっかけに、崩れかけていた日常の真実が静かに暴かれていく。夫婦|親子関係1.3萬字5 101 -
完結第7話
消えた暖房と姑の末路
真冬のある日、ゆかりが息子と買い物から帰ると、家のエアコンが壁から消えていた。 外はマイナス3℃。暖房器具はその一台だけ。慌てて義母に電話すると、返ってきたのは信じられない一言だった。 「売ったのよ。エアコンなんて贅沢だもの」 夫が単身赴任中の義実家で、姑から嫌がらせを受け続けていたゆかり。服を勝手に着られ、夕食を捨てられ、息子まで一人で留守番させられてきた。 そして姑は、エアコンを処分したままハワイ旅行へ出かけてしまう。 凍える夜、ゆかりはついに夫へ電話をかける。 5日後、旅行から戻った姑が見たのは、売りに出された家と、もう戻ってこない嫁と孫の姿だった。 だが姑が失ったものは、家だけではなかった――。嫁姑1.0萬字5 8 -
完結第17話
田舎姑の一億円裁き
息子の結婚式の日、佐藤かよ子は新婦レナから、招待客の前で「田舎くさい年寄り」と侮辱された。 京都で小さな京友禅の工房を守り、女手ひとつで息子を育ててきた母。けれど、息子は妻を止めることもなく、ただその場で黙っていた。 涙を見せず、笑顔で披露宴を終えたかよ子は、帰りの新幹線の中で静かに決意する。 この屈辱は、絶対に忘れない。 やがて、息子夫婦は会社の資金難に陥り、見下していたはずの母に助けを求めてくる。だが彼らは知らなかった。 “田舎の年寄り”と笑ったその母が、実は彼らの人生を一瞬で変えるほどの力を持っていたことを。 そして、1億円の融資契約に隠された本当の意味を――。親不孝|親子関係2.5萬字5 0 -
完結第8話
十一年目の父欄
11年ぶりにアメリカから帰国した高村浩は、実家の玄関に並んだ2つのランドセルを見て言葉を失う。 母が1人で暮らしているはずの家に、小学生の男の子と女の子がいた。しかも、学校の書類に書かれていた姓は「高村」。母は「知り合いの子を預かっているだけ」と言うが、浩の胸には消えない違和感が残る。 やがて彼は、母の部屋で一枚の戸籍謄本を見つける。 そこに記されていたのは、優太とひなという二人の子どもの名前。そして、父の欄にあったのは、11年間何も知らず海外で生きてきた自分自身の名前だった。 なぜ母は、二人の子どもを隠して育てていたのか。 11年前、浩が日本を離れた後、この家で何が起きていたのか。 帰国した息子が知ることになるのは、母が一人で抱え続けた秘密と、失われた11年の重さだった。親子関係1.1萬字5 299 -
完結第19話
いただきますのない食卓、私は家を出た
毎日朝晩 5 人分の食事を作り、家族の体調や好みを全部気にかけてきた 27 年。 だけど食卓に並ぶ温かい料理を前に、誰一人「いただきます」の一言も口にしない。 「私はもう、この家に必要ないのね」 静かにそうつぶやいた翌朝、私は荷物をまとめて家を出た。 当たり前にされ続けた愛情が、何も言われず消えていく悲しみの物語。 自分を犠牲にして家族のためだけに生きてきた全ての女性に届けたい一冊。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|金銭問題2.9萬字5 263 -
完結第17話
支えを手放す日
【離婚後――私は静かに仕送りを止めた。何も知らない元夫は愛人との海外旅行から笑顔で帰国した――だが空港で呼び止められた瞬間、その笑顔は消えた】 二十年間、夫のすべてを陰で支え続けた私。 借金の返済、毎月の仕送り、住まいと車の支払い、夫が外で見栄を張るための費用…… 彼は私の善意を当然だと思い、感謝もせず愛人と海外旅行へ出かけた。 離婚を決めた私は、騒ぎ立てず静かにすべての支えを断ち切った。 ハワイから満面の笑みで帰国した元夫。 空港で私と対面した瞬間、彼の虚構の自由は一気に崩れ落ちる。 使えないカード、入れない家、売れない高級車、絶縁した娘、莫大な慰謝料請求。 「あなたの笑顔も自由も、私の善意の上に成り立っていただけです」 激情なく淡々と告げた一言が、彼に何より重く突き刺さる。 優しさは永遠に捧げ続けるものではない。自分を守るため、支えを手放すことは冷たさではない。 誰かの犠牲の上に安楽を得ている人へ、必ず心に響く物語です。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|金銭問題2.6萬字5 540 -
完結第17話
砂の城の贅沢:見下した夫婦への逆襲劇
半年間、夫と義家族の侮辱に耐え、雑用係のように扱われてきた私。ついに離婚を告げられた直後、元夫は憧れの女医と再婚し、「お前はもう用済みだ、無能な主婦は俺の人生に不要」と嘲笑った。 だが彼は知らない。自分の実家の繁栄、手にした富と地位、所有するブラックカードは、全て私が裏で支援していたものだと。 傲慢な一言からわずか10分後、私は即座に義実家の全ての信用枠・ブラックカードを完全停止。彼らが当たり前のように享受してきた贅沢は一瞬で砂の城となり、隠し続けた横領犯罪も全て暴かれ、偽エリートの女医と共に絶望の底へ。 人を見下し、恩を仇で返した愚か者たちの、完全逆転復讐劇が今、完結する。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|金銭問題2.6萬字5 123 -
完結第7話
古家を見下した嫁の豹変、後悔だけが残る
「田舎のボロ家なんて無理!こんな古臭い環境で子育てできない」 38年間大切に守り抜いた私の実家を、一言でゴミ扱いした息子嫁。 都会暮らしが自慢の彼女は、SNSで私の家を馬鹿にし、友達と笑い合った。 自分たちの狭いマンションから逃げたくて、田舎の実家を見下げ、私たち夫婦の優しさを踏みにじった。 息子まで妻に同調し、「古すぎて住めない」「昭和の価値観は時代遅れ」と、生まれ育った故郷を否定した。 援助950万、結婚資金、マンション頭金、毎月の孫養育費… 全身全霊で支えてきた息子家族に、最後に残されたのは屈辱だけだった。 ならば、証明してやる。 私たち夫婦は退職金を全てかけ、1850万円を投じて実家を全面リフォーム。 ボロ屋だった古家は、高級旅館のようなモダン和風邸宅に生まれ変わった。 30畳の吹き抜けリビング、最新アイランドキッチン、檜風呂&ジェットバス、職人仕立ての日本庭園。 資産価値4500万円の豪邸に、生まれ変わった我が家。 SNSの投稿を見た途端、態度を180度変えた息子嫁。 見学に来て絶句し、驚き、羨み、すぐに身勝手な要求を突きつけた。 「お母さん、家を交換しましょう!」 「私たちのマンションと替えて、この家を孫のために譲ってよ!」 数ヶ月前にボロ屋と侮辱したくせに、価値が上がった途端、強欲をむき出しにする。 都合のいい時だけ家族を語り、孫を盾に自分の欲を満たそうとする。 だが、そんな身勝手な願い、叶えるはずもない。 私たちは弁護士と相談し、法的に完全な準備を整え、毅然と反撃した。 過去の侮辱、SNSでの悪口、身勝手な言い分を全て突き返し、完全拒否。 「この家は私たちの財産。他人に譲るつもりは一切ない」 家族だからといって、理不尽な要求を受け入れる必要はない。 尊厳を踏みにじられた私たちが、守るべきものを守っただけ。 欲をかき、人を見下し、恩を忘れた強欲な息子嫁。 高級邸宅を前に叶わぬ夢を見て、面目を完全に失い、後悔と屈辱の地獄が始まった。 人を見下す者は、必ず自分が見下される。 恩を知らぬ強欲者に待つのは、自業自得の結末だけだ。 私たちは愛する夫と、思い出と価値に満ちた我が家で、幸せな老後を手に入れた。 自分の尊厳は、自分で守る。 理不尽な家族に、我慢する必要はない。嫁姑|夫婦|真実|金銭問題9.9千字5 148 -
完結第28話
70 円扱いされた 31 万仕送り~贔屓する義両親との決別
毎月 31 万円、節約しながら義両親へ仕送りを続けていた嫁。 だけど義両親は義妹の 20 万円だけを褒め、私の 31 万を「たった 70 円」と侮辱。 理不尽な言葉に我慢の限界、一言「じゃあ仕送りやめます」と宣言。 翌月から完全に送金を断ったら、義実家の生活が一気に崩壊し… 義両親の豹変ぶりがリアルで胸がスッキリ! 親族の偏った贔屓、見返りを求める義両親に苦しむ嫁必見の実話。嫁姑|夫婦|親子関係|金銭問題4.3萬字5 1097