"五度目のドタキャン弁当" 第5話
夫も朝からそれほどべないだ。私はさくため息をついた。
その、1の男の子がそうに周りを見回しているのが目に入った。
ゆいのクラスメイトの、はるき君だった。
私が気づくのと同に、ゆいが駆け寄った。
「はるき君、どうしたの?」
はるき君は申し訳なさそうに子のつばをいじっていた。
「お父さんとお母さん、仕事でまだ来てないみたいで……」
周りの族が弁当を広げて賑やかにしている、彼だけが1だった。
すると、ゆいはぱっと顔を輝かせ、はるき君のを引っ張って戻ってきた。
「ねえ、ママ。はるき君も緒にべていいでしょ?」
私はびきりの笑顔で言った。
「もちろん。いっぱいあるから、たくさんべて」
はるき君は慮していた。
「でも、悪いよ」
ゆいは箸を渡して、あっけらかんと言った。
「おばあちゃんが約束破ったせいで、いっぱい余ってるの。たくさんべてね」
「ゆい」
わずたしなめたが、否定はできなかった。
私は唐揚げとミートボールを皿に乗せて渡した。はるき君はそれを見て、ごくりと唾をみ込んだ。
「ママの唐揚げ、おいしいんだから」
「そうよ。たくさんべてくれると嬉しいわ」
夫もニコニコしながらたいお茶を渡した。
「でも……」
その、はるき君のお腹がぐうっと鳴った。
ゆいが吹きした。
「お腹空いてるじゃん。慮しないでべて」
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直、私ははるき君のべっぷりに見とれていた。
男の子ってこんなにべるのか。
唐揚げを頬張り、ミートボールをに入れ、おにぎりも次々にべていく。見ていて気持ちいいほどだった。
夫もしたように頷いた。
「見てて気持ちいいな」
「そうね。作った甲斐があるわ」
はるき君は「おいしい、おいしい」と言いながら、きれいに弁当を平らげた。
「ごちそうさまでした。こんなにおいしいお弁当、初めてべました」
私が照れていると、ゆいがにこにこしながら言った。
「ママ、よかったね。いっぱい作って正解だったね」
その言に、胸がじんわり温かくなった。
姑に踏みにじられたとっていた弁当が、誰かを笑顔にした。
娘とクラスメイトの笑顔に、私は救われた気がした。
午の競技も予定通りみ、とうとう最の選抜リレーが始まった。
「ゆい、頑張れ!」
私は誰よりきな声で応援した。
ゆいは真剣な顔でバトンを受け取り、全力でった。涼しい顔で1抜き、歓声ががる。最までり切り、次の者にバトンを渡した瞬、ゆいは私たちを見てにかっと笑った。
私はで拍した。
最の運会だった。
姑が来なかったことを、もう残だとはわなかった。
翌、よくれた曜の昼過ぎ。
私は洗濯物を干しながら、昨のはるき君のべっぷりをい返していた。
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唐揚げを頬張るあの幸せそうな顔をいすと、自然と笑みがこぼれる。
すると突然、インターホンが鳴った。
私はを拭きながら急いで玄関へ向かった。モニターを見ると、スーツ姿の男性がっていた。ろには、はるき君の姿もある。
「どちら様でしょうか?」
玄関をけると、はるき君が元気にをげた。
「ゆいちゃんママ、こんにちは」
「こんにちは」
男性も丁寧にをげた。
「初めまして。突然申し訳ありません。昨は息子がお世話になりました」
「はるき君のお父さんでしたか」
「はい」
落ち着きのある優しそうなだった。背筋が伸びていて、物腰は柔らかい。私は慌てて言った。
「よかったらへお入りください」
「いえ、どうかここで」
はるき君のお父さんは困ったように笑った。
「お弁当を全部べてしまったそうで、本当に申し訳ありませんでした」
私は慌ててを振った。
「いえいえ。むしろ助かりました」
「助かった?」
はるき君のお父さんが議そうに首をかしげる。
その、私のろからゆいが顔をした。
「あのね」
ゆいは満面の笑みで説を始めた。
「うちのおばあちゃんがまた約束破ったの」
「ゆい、やめなさい」
けれど娘は止まらなかった。
「おばあちゃんの命令でお弁当をいっぱい作ったのにドタキャン。しかも5回目」
私は慌ててをげた。
「すみません、娘が余計なことを」
しかし、はるき君のお父さんは穏やかに首を振った。なぜかしだけ苦笑しているようにも見えた。
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