"借金遺産の復讐~50 歳で手に入れた真の人生" 第20話
公証と医師は、義母に分な判断能力があったことを法に証しています。つまりこの遺言は法に完全に効であり、覆すことは能です」
私は剣をまっすぐに見据えた。剣は絶望し、そのにへり込んだ。
しかし欲に目がくらんだ浩司が顔を真っ赤にしてに乗りしてきた。
「待てよ。たとえ遺言が効でも、俺たち実子には遺留分という権利があるはずだ。最でも財産の半分は俺たち兄弟で分ける権利がある。あの 5000 万円の保険、絶対に半分はもらうからな」
浩司の言葉に恵子も「法律で守られてるんだから」と声を張りげた。親族の法律識の浅さに、私はわずさくため息をついた。
「浩司さん、恵子さん、あなたたちは根本な勘違いをしています」私は静かに、しかしはっきりとした調で告げた。
「命保険の保険は指定された受取の固の財産となります。つまりあの 5000 万円は最初から遺産分割の対象にはならず、遺留分の請求もできません。法に円の例もなく私のものになります」
「えっ……」浩司と恵子の顔からすっと表が消えた。
「そしてあなたたち実子が相続できる遺産はたったつだけです」
私は先ほど庫からてきたもうつの封筒、産登記簿謄本を指さした。
「8000 万円の借が残ったこのと古い、それが義母があなたたちに残した遺産の全てです。
広告
男の剣さんが全て相続するもよし、3 で平等に借を分けるもよし、どうぞご自由にお決めください。」
その言葉がする残酷な現実に気づいた瞬、座敷の空気は瞬にして凍りついた。
「わ、8000 万円の借!」浩司がガタガタと震えした。
「冗談じゃない。なんで俺が親の借を払わなきゃならないんだ。兄貴、おが男なんだから全部背負えよ。お、さっきまで遺産を独り占めって言ってただろうが!」
剣が慌てて言い返す。
「馬鹿なことを言うなよ。借なんて 1 円も払わないわ。私は今庭裁判所にって相続放棄の続きをするからね。このともお兄ちゃんとももう縁を切るわ。」
恵子はそう叫ぶとハンドバッグをひったくるように持ち、逃げるように玄関へとりした。
「あ、おい、恵子、待て。俺もく。俺も相続放棄するぞ。」
浩司も慌ててちがり、恵子を追って転がるように敷から逃げしていった。
つい数分まで「田の族だ、俺が引っ張っていく」と結束していた兄弟たちは、8000 万円の借をにしてあっというに散消するように逃げていったのだ。
の親戚たちも関わりいになるのを恐れて次々と無言でちがり、そそくさと帰っていく。
広々とした古い座敷に私と剣だけが残された。
剣はに両をつき、抜け殻のように呆然としていた。
広告
「どうして、どうしてこんなことに……」
彼はゆっくりと顔をあげ、私に狂った目を向けた。
「弓、おが仕組んだんだろう。お袋を洗脳して俺たちを憎むようにし向けたんだ。俺は男として誰よりもお袋のことをっていたのに…… っていた。」
私はこれまで押し殺してきたの蓋をしだけけた。
「おむつを替えたこともを握ってあげたこともないあなたが、義母のことをお荷物と呼んでいたあなたが、義母をっていたというの?」
私は鞄のからさな黒い録音レコーダーを取りした。
「義母があなたたちに 1 円も残さなかった本当の理由、それはあなた自が番よくっているはずよ。」
私は静かに再ボタンを押した。
静まり返った座敷に、かつての剣の酷な声が響き渡る。
「おい、ババア。聞こえてるなら通帳の暗証番号を教えろ。どうせもうすぐぬんだ。最くらい役にて。」
3 から余命くないと宣告された、剣が 1 度だけ義母の病を訪れたの録音データだった。
私は剣が義母に暴力を振るわないか配で、病の棚に密かにレコーダーを隠していたのだ。
音声は続く。
「邪魔なんだよ、その目。俺はおを養うために忙しいんだ。くんでを俺によこせ。おい、弓、こいつがぬまでもう俺を呼ぶな。の無駄だ。
」
バタンとドアが乱暴に閉まる音で録音は終わった。
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
雪に閉ざされた 6 人の高校山岳部
「5 人が帰って来ないんだ…」 一人テントで待ち続けた少年の叫びが吹雪に飲まれる。 計画書を偽り、顧問の許可なしで冬山へ踏み込んだ 6 人の高校生。 予期せぬホワイトアウト、装備不足、分断された仲間たち。 凍てつく岩木山で繰り広げられた、冷たく残酷な 6 人の冬山物語。 生き残った二人が一生抱え続ける後悔と、4 人の少年たちの最後の足跡。 60 年経った今も遺族が山を見上げて涙する、実録山岳遭難ノンフィクション。裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.7萬字5 4 -
完結第12話
世田谷一家殺害事件:隠された真実
昭和から平成を跨ぎ、25 年も国民の心に重くのしかかった世田谷一家惨殺事件。 長年流れていた外国人犯・国際組織の説は、すべて犯人が仕掛けた壮大な罠だった。 今回、長年閉ざされていた目撃証言、パソコンに残る夫婦の秘密相談記録、最新 DNA 鑑定の結果が一斉に明らかに。 地域で穏やかな人物として知られた隣人が、なぜ一家四人を惨殺するに至ったのか。 先祖から背負わされた重い十字架、古き因縁、一家が踏み込んでしまった禁忌の領域 —— 邸宅の壁に刻まれた 25 年分の悲しみと真実、一語一句逃さずお伝えします。裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.8萬字5 4 -
完結第9話
五度目のドタキャン弁当
娘の運動会当日、姑から突然の電話が入った。 「やっぱり今日は長男孫の誕生日会に行くから」 これでドタキャンは5回目。朝4時から作った唐揚げ、卵焼き、ミートボール、娘のために詰めた重箱いっぱいのお弁当は、また姑の気まぐれに振り回されることになった。 しかも姑は、普段から長男家族ばかりを優先し、次男の娘であるゆいを平気で比べて傷つけてきた人だった。 落ち込む娘を見て、母はついに心を決める。 もう、姑のわがままに振り回されない。 そんな中、運動会の昼休み、親が仕事で来られず1人でいたクラスメイトの男の子を、ゆいがお弁当に誘う。 「ママ、よかったね。いっぱい作って正解だったね」 姑に踏みにじられたはずのお弁当は、思いがけない出会いをつなぎ、やがて家族の未来を大きく変えていく――。嫁姑|親子関係1.4萬字5 6 -
完結第8話
孫が暴いた毒の食卓
58歳の礼子は、夫・国彦と5歳の孫・陽太と静かに暮らしていた。 息子夫婦を事故で亡くして以来、陽太だけが礼子の生きる支えだった。だが、その頃から礼子の体には異変が起き始める。めまい、吐き気、強い眠気、原因不明の体調不良。病院では「心労」と言われ、夫が勧めるサプリメントと手料理を信じて口にしていた。 そんなある日、リビングで陽太とテレビドラマを見ていた礼子は、孫の何気ない一言に凍りつく。 「あ、これジイジのと同じだ!」 画面に映っていたのは、錠剤を砕いて料理に混ぜる場面だった。 昨日、夫は台所で何をしていたのか。礼子の体調不良は本当に偶然だったのか。そして、夫が優しい顔の裏で隠していた“とんでもない秘密”とは――。 孫の一言をきっかけに、崩れかけていた日常の真実が静かに暴かれていく。夫婦|親子関係1.3萬字5 168 -
完結第14話
空っぽの珈琲サーバー
何者かに襲われ、視力を失った夫・達樹。 妻の望美は、そんな夫と車椅子生活の義母を支えるため、365日休む間もなくパートを3つ掛け持ちし、家事も介護もすべて背負っていた。中学生の息子・信吾も、母を助けながら家族を支えていた。 そんなある日、仕事から帰った望美に、達樹が満足そうに言う。 「今日のコーヒー、豆を変えた? 味に深みがあるね」 しかし、望美がキッチンを確認すると、コーヒーサーバーは空っぽだった。豆もなく、その日、達樹がコーヒーを飲めるはずはなかった。 なぜ、飲んでいないコーヒーの味が分かったのか。 その一言をきっかけに、望美は夫が長年隠してきた“ある嘘”に気づいてしまう。 盲目の夫、美人眼科医、息子が撮影した一本の動画――。 空っぽのコーヒーサーバーが、偽りの家族を静かに崩していく。夫婦|修羅場2.1萬字5 0 -
完結第7話
消えた暖房と姑の末路
真冬のある日、ゆかりが息子と買い物から帰ると、家のエアコンが壁から消えていた。 外はマイナス3℃。暖房器具はその一台だけ。慌てて義母に電話すると、返ってきたのは信じられない一言だった。 「売ったのよ。エアコンなんて贅沢だもの」 夫が単身赴任中の義実家で、姑から嫌がらせを受け続けていたゆかり。服を勝手に着られ、夕食を捨てられ、息子まで一人で留守番させられてきた。 そして姑は、エアコンを処分したままハワイ旅行へ出かけてしまう。 凍える夜、ゆかりはついに夫へ電話をかける。 5日後、旅行から戻った姑が見たのは、売りに出された家と、もう戻ってこない嫁と孫の姿だった。 だが姑が失ったものは、家だけではなかった――。嫁姑1.0萬字5 35 -
完結第11話
新潟校十二年の悪闇
1992年、新潟県小学校女教師失踪事件|12年後、校長の醜悪な裏顔がついに暴かれた 1992年、新潟の田舎町小学校で、一人の30代女性教師が忽然と姿を消した。 通学路、自宅、学校施設、周辺の山林……警察が徹底的に捜索したものの、彼女の痕跡は一つも見つからなかった。 当時、失踪は「自発的な家出」「遠方への転居」と断定され、事件は迷宮入り。 誰もがこの謎を忘れかけた12年間。 誰も信じなかった真実が、ついに白日の下に晒される。 穏やかで人格者と慕われていた校長先生。 その裏に隠された、人間性を失った醜悪な素顔。 女教師が二度と帰らなかった本当の理由、閉ざされた学校の闇、隠蔽された12年の悪事―― 全ての真相が今、明かされる。因果応報|裡の顔|遺體発見|行方不明1.7萬字5 318 -
完結第15話
置き去り嫁の南国裁き
実家の母を看病して戻ってきた小百合を待っていたのは、家具も家族も消えた、空っぽの二世帯住宅だった。 夫・拓也、義父母、義妹は、小百合だけを置き去りにして海外へ移住していた。キッチンに残されていたのは、義母からの一通の手紙。 「あなたは家政婦みたいなものだったし、もう用済みだから置いていくわね」 5年間、義家族に見下され、家政婦のように扱われても耐えてきた小百合。だが彼らは知らなかった。自分たちが捨てた“地味で貧乏臭い嫁”こそ、この家と土地、そして彼らが憧れた海外リゾートにまで深く関わる、ある一族の人間だったことを。 さらに義家族は、小百合の実家の財産にまで手をつけ、勝ち誇ったように南国から嘲笑の電話をかけてくる。 その一言で、小百合の中に残っていた最後の情けは消えた。 彼らが楽園だと思っていた場所は、数時間後、逃げ場のない檻へと変わる。 置き去りにされた嫁の沈黙は、敗北ではなかった。 すべてを奪われた夜から、義家族を地獄へ落とす完璧な逆転劇が始まる――。因果応報|夫婦2.3萬字5 2001 -
完結第8話
48億の離婚届
59歳の中村恵子は、32年間連れ添った夫から突然、離婚届を差し出される。 夫・浩司は地元で信頼される弁護士。新しい人生の相手は、30歳以上年下の女性だった。財産分与の条件もすでに整えられ、恵子に残されたのは、最低限の生活支援だけ。 家庭を支え、夫の名誉を守り続けてきた32年は、冷たい書類の上ではほとんど意味を持たなかった。 しかし離婚後、恵子のもとに1本の電話が入る。 相手は、亡き父の事業を支えていた弁護士。そこで告げられたのは、父が生前、娘のために密かに残していた家族信託の存在だった。 その総資産は、約48億円。 夫が合理的に進めた離婚は、皮肉にも恵子の人生を縛っていた扉を開く鍵となる。 すべてを失ったと思った女性が、父の残した真実によって、静かに自分の人生を取り戻していく――。夫婦|熟年離婚1.2萬字5 229 -
完結第19話
いただきますのない食卓、私は家を出た
毎日朝晩 5 人分の食事を作り、家族の体調や好みを全部気にかけてきた 27 年。 だけど食卓に並ぶ温かい料理を前に、誰一人「いただきます」の一言も口にしない。 「私はもう、この家に必要ないのね」 静かにそうつぶやいた翌朝、私は荷物をまとめて家を出た。 当たり前にされ続けた愛情が、何も言われず消えていく悲しみの物語。 自分を犠牲にして家族のためだけに生きてきた全ての女性に届けたい一冊。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|金銭問題2.9萬字5 263