みかん小説
本棚

"900円の復活定食" 第4話

翌朝9

防災センターの扉がき、野さんが勤してきた。

から入ってきた野さんの作業着には、朝の空気の匂いがしついていた。俺にとってはい夜の終わりでも、世にとっては1の始まりだ。

「戸田君、お疲れさん。よく頑張ったね」

その言で、体の力がし抜けた。

「ありがとうございます」

声がかすれていた。

野さんは監盤を見ながら、報告に取った。

「夜、警報と空調、鳴ってたみたいだね」

「はい。応急で対応しました。詳細はここにいてあります」

「分かった。報告は俺で受けとくよ。気をつけて帰ってね」

「お疲れ様でした」

俺はく息を吐いた。

やっと24が終わった。

内線とアラームをわせて10回以。客を回り、廊を歩き、までり、警報を確認し、空調を見た。昼から今まで、結局に入れたのはプロテインだけだった。

防災センターをて、更で作業着から私に着替える。脱いだ作業着は、1分の汗と埃を吸ってじた。鏡に映った自分の顔は、し青い。

「ひどい顔だな」

誰もいないロッカーで、俺はさく笑った。

駐輪へ向かうと、朝のが目に刺さった。夜通し建物のにいた体には、るさがしきつい。自転の鍵をけ、サドルにまたがる。

「1休みダイエットのつもりが、本気のダイエットになっちまった」

広告

自分で言って、ちょっとウケてしまった。

勤するに、俺は退勤する。

スーツ姿の男たちが駅の方へ歩いていく。眠そうにスマホを見ている、コンビニ袋を片に急いでいる、イヤホンをつけてだけ見ている

あっちはこれから9

こっちはこれから2休み。

そううと、しだけ勝った気がした。

だが、勝利よりも腹の減りがかった。

「腹減った」

に帰っても、凍ご飯と納豆ぐらいしかない。普段ならそれで分だ。納豆を混ぜ、凍ご飯を温め、噌汁があればそれだけで済ませられる。

しかし、24飯抜きの俺に、納豆ご飯は軽すぎる。

今の胃は、そんなものでは収まらない。

がっつりいたい。

脂と米と噌汁。

体に直接入ってくるような飯がいたい。

自転を漕ぎながら、俺はふとした。

「おお、そういえば、うちの所に“盛り”の旗がてる堂あったな」

を通るたび、気になっていただ。

構えは古い。特別おしゃれでもない。だが、先にいつも赤い旗がっている。

盛り。

あの2文字は、腹が減っているに見ると、やたらい。

「今、そこってみるか」

とは反対方向にしだけハンドルを切る。

自転で5分ほどると、その堂のに着いた。先では、盛りとかれた赤い旗が朝のに揺れている。簾はあせているが、それがかえって季をじさせた。

広告

ちょうど簾をくぐって、のジャンパーにキャップをかぶった男がてきた。無精髭をやした、がっしりした体つきの男だった。

男と瞬目がい、俺はさく会釈した。

「ごちそうさま」

男は内に向かってい声で言い、ゆっくり歩きした。腹を1回さすり、満そうに息を吐いている。

「うーん。トラックのかな」

腹が相当きつそうだ。

同じ朝に、同じ腹を抱えたがあのからてくる。その腹でてくるは、違いない気がした。

俺は自転め、簾のった。

初めて入るは、しだけ緊張する。

だが今の俺には、緊張より空腹の方がずっとかった。

俺は簾をくぐった。

「いらっしゃい」

内に入ると、女将の声がんできた。

さなだった。カウンターが5席、奥にがりが2卓。壁にはきのメニューが貼られ、古いラジオからくニュースが流れている。

カウンターには作業着の男、スーツの若い男、聞を広げた常連のおじさんが並んでいた。がりでは作業着のグループが、何かをき込みながらい声で笑っている。

「おお、結構入ってる」

でやっているなのに、朝からこの埋まり方。

だな。

油の匂いと噌汁のりが、内に満ちていた。ホテルの厨から漂うった匂いとは違う。もっとい。もっと活の匂いだ。

俺は空いていたカウンターの端に腰をろした。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: